NOA 錆漆は硬化する

以前のブログで播与漆工さんの「すぐ塗れ〜る」は、佐藤喜代松
商店さんの「MR」という漆ですと書きました。
MRは加熱しない精製方法で酵素を失わせないという本漆です。
MRには他に3シリーズあり、その中の「NOA」というシリーズに
ついて書きたいと思います。

NOAは皮膚科の医師との研究で、たんぱく質を添加することにより
「かぶれにくい漆」を実現しました。
その他に低温低湿でも硬化するという特徴があります。
冬には大変便利な性質なので、私は重宝して使っています。

しかしこのNOAについてネット上で「錆漆は硬化しない」と流布
しているようなので、実験してみました。
作ったのは2種類の錆漆です。
①(砥の粉10+水4)+NOA生漆4 (重量比)
②(砥の粉+水:何とかまとまる程度)+NOA生漆(ペースト状)

②は本漆の金繕いで説明されていることがある感覚で作るパターン
ですが、①はきちんと計量しています。
作製方法は、①②共以下の手順です。

a.砥の粉と水を先によく練る
b.生漆を少量ずつ、3回程度に分けて混ぜる
c.1mmまでの厚みでつける

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硬化の環境は、温度20度前後、湿度40%程度です。
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3日後、紙ヤスリ(左)とカッター(右)で削ってみました。
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結論は「どちらも硬化した」です。

今回自分で実験してみて、ネットの情報が正確ではない場合が
あるということを実感しました。
NOAは、佐藤喜代松商店さんが研究の末、販売されているものです。
それはきちんとデータを公開していることでもお分かり頂けると
思います。
もしネットの硬化しないという情報で使用を躊躇されている方が
おられましたら、安心してお使い頂けるものですとお勧めしたいと
考えています。

注)NOAは「かぶれにくい漆」ではありますが、本漆としての
使用方法を守らなければ、かぶれます。お間違いのないよう。


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