着彩する

NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介致します。
かなり珍しく、難しい金繕いです。

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一見、どこが損傷していたのか、わからないかと思いますが、画像の上方と
11時くらいのあたりが、2破片なくなっていた器なのです。
金泥が蒔かれているので、見分けがつくと思います。

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拡大すると、お分かりになるでしょうか?

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裏面から見ると、大きく損なっているのがハッキリします。

まず大きく損なっていた部分を別素材で作り込み、金泥で仕上げられて
います。
さらに染付の柄が入った部分を銀泥に変えます。
そして元々の柄を新うるしで着彩されました。
この作業によって大きく損なっている印象が拭えます。

言葉で言うと簡単ですが、輪花になっている器の形を戻すのは並大抵の
ことではありません。
実際に一番時間がかかったのが、この作業でした。
仕上げに入ってからも問題があればやり直しをされ、より完璧な
状態にされてから、着彩に挑まれたのです。

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着彩の作業が出来たのは、欠損がない同柄のお皿をお持ちだったことも
重要な要素です。
そして何よりHさんがガラス絵の作家さんであることが一番の理由です。
特に着彩の技術をご説明していないにも関わらず、この完成度なの
ですから。

Hさんは「頑張って続ければ、必ず完成します。」と教室の皆さんに
お話されていましたが、全くその通りだと思いました。
根気よく器の欠損を埋められ仕上げに至った経緯は、尊敬の一言に
尽きます。
ぜひ参考になさって下さい。


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