漆塗り椀 塗り直しに出してみた

日常使いしている漆塗りのお椀が、購入後15年して痛みが
気になる状態になりました。

水を入れたまま放置してしまったりしたので、致し方ない
痛みです。

金繕いの教室を受講して下さっている方々から漆塗りの器の塗り直しに
困ったというお話をよく聞いていたので、お試しがてら塗り直しに
出してみました。

困ったという理由は、受け付けてくれるところがないというのと、塗り直しの
代金がとても高いというお悩みに集約されます。
私のお椀の場合、塗り直しに応じてくれる浄法寺塗りの滴生舎とわかって
いたので滴生舎に問い合わせしました。
元々高価なお椀ではないのですが、往復の送料と塗り直し代合計が新しく
購入するより安価に済む代金でした。


結果はこの通り、新品のようです。
浄法寺塗りは仕上げの磨きをしていないので、しっとりとした落ち着いた
質感をしています。
これが使っていると透明感のある艶や輝きが出るので、自分のお椀を
育てたと感じます。

ご存知の方も多いと思いますが、浄法寺は国内最大の漆の生産地でも
あります。
国内で使用されている漆のうち、国産はわずか2%で、その内の約7割が
浄法寺とその周辺地域で採られる「浄法寺漆」です。
そのクオリティーの高さから、日本最高峰と称されます。

今回塗り直しを依頼したのは、浄法寺漆と製作者の岩館隆さんに敬意を
表したところがあります。
15年間育てたお椀がリセットしてしまったのですが、また育てる楽しみが
出来ました。


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