ゴジラの香炉 漆繕い

プロレスラーの藤原喜明さんを、ご存じの方は多いと思います。
雑誌「盆栽世界」を購入して下さった方は、連載ページを見て
頂くと氏の多彩な一面をご覧頂けると思います。

藤原さんの才能の一つが陶芸です。
趣味の域を超えてプロの域に達しておられます。
作られた作品の一つが今回ご依頼頂いた「ゴジラの香炉」です。

頭の部分が別パーツになっており、そこを外してお香を中にセットします。
頭部を戻すと口からお香の煙が立ち上るという仕組みになっています。

焼締の肌がゴジラの感じを出しているだけでなく、背中のヒレの数、形
まで忠実に作られた藤原さんのこだわりが凝縮された一品です。


その大切な品の尻尾の先が割れてしまっていました。
ご依頼は金・銀などで化粧せず、なるべく目立たせないことと
いうものでした。
そこで本漆で接着し、漆繕いで完成させることにしました。

以下の画像は完成したところです。


わかって見なければ気がつかないようにはなったかなと思って
納品したのですが、藤原さんからも「本当にわからないね。素晴らしい。」
とのコメントを頂き、安堵したところです。

ゴジラも尻尾の先を取り戻して威厳が回復したようです。

今回の工夫ポイントは、接着の際のゴジラの姿勢です。
尻尾の接着部が水平になるように固定して固化させました。
また焼締の肌に馴染むようにカッター以外の道具を使って削りの
作業を行ったのも、ご希望の仕上がり感に貢献したと思います。

先般の鹿児島睦さんの板皿の金繕いのブログでも書きましたが、
ご要望に応じて手段は選択しています。
器によって最も良い手段を考え、教室でもお話ししていきたいと
思っております。


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