漆器の急須

NHK学園市川オープンスクールのTさんの作品をご紹介致します。
漆器の急須の把手が折れていました。

画像の正面に把手がついていたのですが、それが根元からスッパリ折れて
いました。

この形の急須をお持ちの方がおられるかと思います。
鄙びた感じに温かみがあって魅力的な漆器です。

しかし大きな問題点があります。
木取りの都合上、仕方のないことだと思いますが、縦に木目が走って
います。
その結果、荷重のかかる把手が折れてしまいやすいのです。

急須の把手は急須自体の重さばかりでなく、中に入ったお茶の重みも
支えます。
当然、お茶は熱湯です。
把手が破損すれば火傷の心配があり、再破損は避けなければなりません。
残念ながら根元から折れた把手を再破損しないように本体に固定するのは
簡単ではないのです。

という事情からTさんは把手を根元から削り取り、その後を本体に合わせて
漆を塗ることで分からなくしてしまいました。

今後は急須の本体を包むように持ってお使いになることになりますが、
漆器の特性でお茶の熱さは手に伝わりにくいと思います。

Tさんの丁寧な作業で痕跡はすっかり分からなくなりました。
新たな形として大事に使って頂けると思います。


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