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江戸屋さんの漆刷毛
漆刷毛や江戸屋さんは以前のブログでご紹介してきました。
今回、江戸屋さんの引き出しに漆刷毛が収められているところを
撮影させて頂けましたので、ご紹介致します。
分、寸の単位で色々なサイズがあります。
江戸屋さんの漆刷毛は「通し」といって、先端から尾部まで毛が
入っています。
この人間の頭髪を使った刷毛は江戸時代に発明された物ですが、人間の
髪の毛がいいと至るまでにどれだけ試行錯誤されたのでしょうか。
ここにも日本人ならではの工夫を感じます。
短面に板が回っているのがお分かりになるかと思います。
これを切り、毛を仕立てる必要があります。
すぐ使える状態にはなっていませんので、ご注意下さい。
漆刷毛について2
「金繕いの本」の貝合わせの項で、新うるしを塗る道具として
漆刷毛を使用しています。
貝合わせの金箔が最もきれいに貼れるのが、この漆刷毛なので本では
こちらを使用しました。
しかしカリキュラムの一環で貝合わせを始めて制作される方に、漆刷毛は
少々高額です。
(太さにもよりますが、大体¥3,000以上です)
よって教室ではリーズナブルでありながら、結果の良い筆をご紹介
しています。
(白鳥教室のみ)
穂先の材料は羊がメインで、馬毛も少しブレンドされています。
これが程よい腰の強さとなっています。
穂先のカットの仕方と、適切な長さで、まずまずの結果が出るのだと思って
います。
先般、漆刷毛と間違ってペンキ塗り刷毛をお求めになってしまった方が
おられました。
残念ですが、これは貝合わせには全く適しません。
良い制作のために漆刷毛をお求めになりたい方は、お勧めの販売店が
ありますし、刷毛を使うための仕立て方についてもご説明致します。
教室であらかじめご相談下さい。
追記
以前のブログで「漆刷毛」について書いています。
詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
漆刷毛
漆刷毛とはその名の通り、漆を塗る為の道具です。
金繕いの作業では漆刷毛を使うことはありませんが、漆器の
塗り直しなどでは漆刷毛を使います。
画像は三分(幅約9mm)のものです。
切ってから長期間乾燥させた毛髪の中から真っ直ぐなものを選別し、
油抜きをした後に糊漆で固め、檜の正目の板で合わせて固く締め付け、
十分に乾燥してから鉋で整形し、最後に毛先を切り出して仕上げて
あります。
そうです。
漆刷毛の毛は、人毛です。
日本人女性の髪が最適と言われていましたが、昭和50年頃から日本産の
毛髪が入手困難になり、現在ではほとんど中国産毛髪で賄われていると
思われます。
細く柔らかいながらも腰が強い毛髪を使った漆刷毛は、明暦年間(江戸時代
初頭 1655〜1658年)に、初代泉清吉の考案と言われています。
東洋人の毛髪は、断面が正円と聞いたことがあります。
このようなところが、刷毛に適していたのでしょう。
実際使ってみますと、粘り気のある漆を均一に引き延ばしてくれるのは、
他の材質の刷毛にはない感触です。
お求めになっても、すぐに使うことは出来ません。
漆刷毛はまず仕立てることが必要です。
手順については教室でご説明致しますので、でんぷんのりと細めの凧糸を
持っておいで下さい。
参考 日本の美術 第451号 漆工品の修理
映画「バカ塗りの娘」
お勧め下さる方があって映画「バカ塗りの娘」を見てきました。
「バカ塗り」とは津軽塗を指します。
バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫なことから「バカ塗」
と言われます。
NHK「大奥」で徳川家光を演じ好評を博した堀田真由演じる津軽塗
職人を目指しつつも引っ込み思案な娘が、ある挑戦で道を開くまでの
様子を描きます。
私としては漆を混ぜたり、漆刷毛で漆を塗る音がきっちり捉えられている
こと、48工程もある津軽塗の制作の様子が丁寧に追われているところに
感銘しました。
漆塗の職人では食べていけないという厳しい現実が示されますが、文部科学
大臣賞を獲ったこともある名工の祖父の漆はやってもやっても、さらに
追い求めたいというセリフに奥深さを感じました。
弘前の四季の移ろいの中、大きな事件が起きる訳でもなく淡々と日常を
追う映画です。
派手さはありませんが、日本の漆芸の中でも多彩な技法を持つ津軽塗に
親しんで頂ければと思います。
ついつい買っちゃう
時々ご紹介していますが、ついつい買ってしまうのが特殊切手です。
今回は「江戸–東京シリーズ第1集 日本橋」です。
84円と63円それぞれアンティーク風のイラストが魅力的です。
漆刷毛の購入先の江戸屋さんも出ています。
決してコレクターではないのですが、これは使えない…
刷毛・ブラシ専門店 江戸屋
漆刷毛を求めて日本橋の江戸屋さんに行ってきました。
江戸屋さんは享保3年(1718年)創業。
建物は大正13年(1924年)建築で登録有形文化財になっています。
木造2階建て、人造石洗い出し仕上げのファサードは刷毛を表し、
看板建築と呼ばれるものです。
関東大震災の後、再建された現在の建物は、今年94歳。
時代の荒波から守られた建物はファサードだけでなく、内部も
魅力があります。
小さな引き出しには約3,000種類にも及ぶ商品が丁寧にしまわれて
います。
ガラス戸を開けて中に入るのは少々勇気がいりますが、外観だけでなく
引き出しが並ぶ様をご覧頂きたいと思います。
江戸屋さんの漆刷毛は、全通しと言われる端から端まで毛が入った
タイプです。
画像のサイズは8分(24mm)。
人間の髪の毛で作られた穂先は、平滑に塗るだけでなく細部までしっかり
塗ることにかけても他の追従を許しません。
(拙著では貝合わせの金箔貼りの際に使用しています。)
なお購入したままでは使えませんので、お求めになりましたら仕立てる
方法を教室でご確認下さい。
【豆知識】看板建築とは
大正期から昭和初期にかけて道路側の全面を看板のように仕上げた店舗建築。
銅板貼りが多い。
代用成功
ナチュラル系の雑貨店で購入した掃除用ブラシを、拭き漆の
道具として使ってみました。
本来の漆刷毛は、下の画像のようなものです。
これは本漆を綺麗に均一に塗り上げられます。
しかし拭き漆では、それほど厳密でなくてもよいと考えました。
雑貨店で買って来た掃除ブラシは、面相筆がたくさん植わっている
ような形になっているので、根元がすけています。
これが本漆を落としやすいのではないかと思ったのですが、まさに
狙い通りでした。
本漆を扱われる方はご存知と思いますが、作業終わりに行う漆刷毛の
始末は、漆で刷毛が固まってしまわないように時間をかけて刷毛の根元を
ヘラで叩いて油で洗浄します。
これがなかなか大変な作業であることは勿論、また作業を始める時には
油を完全に落とし切っていないと、塗った漆が固化しなくなります。
このブラシはその手間を一気に解決してくれました。
あまり耐久性はないと思いますが、価格が安いので、それも気にならない
と思います。
希望の実る木の下で
友人のアーティスト大古瀬和美さんのグループ展が、日本橋の
ギャラリー砂翁&トモスで行われているのに、出かけてきました。
「祈り」をテーマにした、大古瀬さんの作品です。
金箔を貼った上に、じっくり制作した色の積み重ねがとても美しいです。
大古瀬さんの作品は、シンプルな構成がインパクトがありますが、この
積み重ねが見る者を引き寄せるように思います。
右側が、白から作り始めた最新作です。
白というと、私には原点というイメージがあります。
大古瀬さんの新しいスタイルの始まりとして、とても期待しています。
グループ展の他の方々の作品です。
6人それぞれの作風なのに、何か統一した空間に見えるのが、
グループ展の魅力です。
ギャラリー砂翁&トモスは、開店したばかりのコレド室町2•3からも
近いですし、小津和紙店や漆刷毛の江戸屋さんなど、金繕いをされて
いる方が興味を持たれるお店の近くでもあります。
会期が8日(金)までですので、お近くにおでかけの際にはお立ち寄り
頂ければ幸いです。
希望 vol.8 ー 言葉 ー
このブログでご紹介するのも3回目になりました「希望」展。
開催されている日本橋のギャラリー砂翁に行ってきました。
毎回ご案内していますが、この展覧会の売上金の一部は岩手県の
子ども環境研究所「森と風のがっこう」に寄付されます。
アーティストの作品を購入して頂くことで、復興の一助になるの
はもちろんですが、アーティストの作品がお求めになりやすい価格に
なっておりますので、お気に召した作品があれば大変よい機会に
なるかと思います。
画像左に写っているのが、友人のアーティスト大古瀬和美さんの作品
です。
今回は片桐さんの黒檀の額に入った作品が展示されています。
モノトーン調の作品ですが、極薄の和紙にメタリックなパールの
インクをのせたものなのだそうです。
また版画のように見えますが、ローラーで描いた1点物です。
ざらざらしたテクスチャーとパールのきらめきに深みを感じます。
これは手間をかけて制作されている証だと思います。
同様に片桐さんの額に入った作品があります。
ちょっとしたスペースに飾れる小さな作品は、意外にありません。
私が特にオススメなのが、細い長方形の作品です。
黒檀材でこのバランス!
とても格好いいです。
立体作品もあります。
参加している作家それぞれのスタイルが見られるのも魅力です。
金繕いをなさっている方なら目が止まってしまうのが、この
作品かもしれません。
海上がりと思われる陶片が組み込まれています。
近隣には小津和紙、漆刷毛の江戸屋さんもあります。
よろしかったらお出かけ下さい。
3月15日(土)までです。