畠山美術館 琳派から近代洋画へ

改築工事で休館していた畠山美術館の開館記念展の第2弾
「琳派から近代洋画へ」を拝見して来ました。


今回の展覧会には畠山美術館が誇る琳派の歴史を彩る名品が展示
されますが、中でも私が拝見したかったのが本阿弥光悦の赤楽
茶碗 銘「雪峯」です。

なだれるように掛けられた白釉を山嶺に振る積もる白雪に、火割れ
を雪解けの渓流になぞらえて光悦自ら命名したと伝えられています。

最大幅1.2cm、深さ5mmの深い金繕いが印象的ですが、歴史的に
見て金で仕上げられた最初の器と言われています。

今回の展示は360度拝見できたので分かったのですが、大きな溝が
ある右側面もかなり複雑に金繕いされていたのです。
満身創痍の器ですが、エポックメーキングな作品としての堂々たる
品格は素晴らしいものがあります。

会期末が3月16日日曜日と迫っていますが、ご都合をつけてご覧に
なるのをお勧めします。
入館は完全予約制、ミュージアムショップも含めて支払いはキャッシュ
レスですのでご注意下さい。
(ロッカーの小銭100円がなかったのですが、受付で貸して下さる
という徹底振りです。)


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2025年4月から始められる講座

2025年4月から始められるカルチャーセンターの講座を
ご案内致します。

・港北カルチャーセンター 毎月第1土曜日 13:00~15:00
・産経学園ユーカリが丘 毎月第3月曜日 10:15~12:15/13~15
・NHK文化センターさいたま 毎月第4月 13~15/15:30~17:30
・NHK文化センター千葉 毎月第4水曜日 13:30~15:30
・NHK文化センター柏 毎月第4日曜日 13:00~15:00

◯キャンセル待ち承り中
・カルチャープラザ公津の杜 毎月第1月曜日 10:30~12:30
・NHK学園市川オープンスクール 毎月第1金 13~/15:30~
・JEUGIA八千代緑が丘 毎月第2金曜日 10:00~12:00
・NHK文化センター千葉 毎月第2火曜日 10:00~/13:00~
・NHK学園市川オープンスクール 毎月第2金 15:30~
・NHK文化センター柏 毎月第3金曜日 13:00~15:00
・NHK文化センター千葉 毎月第4木曜日 10:00~/13:00~

新しいことを始めるにふさわしい春です。
日本文化に触れられる金繕いを始めてみませんか?


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不思議な割れ方

骨董の器には不思議な割れ方をするものがあります。

この時代、まだまだ焼成技術が成熟していないので、このような
問題が起きます。
無理矢理この形に整形されたものが、何らかの刺激(電子レンジに
かけた、ぶつけたなど)をきっかけに割れてしまうわけです。
特徴は厚みが変わる高台の周囲を回っていることでしょうか。

合わせたとしても完全にはまらず、ずれてしまう場合もありますが、
この器の場合はピッタリはまります。

仕上げをするとぐるっと回るラインが特徴的な感じになるかと
思いますが、まだまだ未熟だった日本の陶芸技術に思いを馳せて
容認してあげるのもよろしいかと思います。


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染付の復活

藤那海工房 金繕い教室のUさんの作品をご紹介致します。
平鉢の割れの接着です。


かなりダイナミックに割れてしまったのを接着し、金泥で仕上げられて
います。
その結果、ラフな筆致で描かれた花文様が損なわれていました。
それを金泥の上から染付の色に近い色漆で描き出すことによって緩和
しています。

この方法は度々ご紹介していますが、Uさんの作品が秀逸なのが色の
濃淡をつけているところです。
これによってより元の印象に近くなり、割れによる痛々しさが拭われた
と思います。

この技法にチャレンジする方はUさんの作品を参考にして、ご自分の
作品がどのようにしたらより良くなるかをお考え頂けたら嬉しいです。


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アイ・リンクタウン 展望ロビー

NHK学園市川オープンスクールがある市川駅前のザ タワーズ
ウエストには展望施設があります。


45階 展望ロビーからの眺め

先般「マツコの知らない世界」で夜景の穴場スポットとして紹介
されました。
私が行った日は残念ながら富士山は望めませんでしたが、スカイツリーを
含む夜景はやはり良いです。

展望ロビーのさらに上に外にある展望デッキにも出られます。
3階から45階に上がるエレベーターもシースルーなので、ちょっとした
アトラクション感覚も味わえます。

夜景でなくても他に遮るものない見晴らしの中、江戸川のゆったりした
流れを見るのもいいものです。
もしおついでがあればお立ち寄り下さい。


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ツートン

藤那海工房 金繕いクラスのSさんの作品をご紹介します。
小さい破片になった割れの接着です。


マグカップの縁が小さく2つの破片に分かれて割れていました。
これを接着し、破損した部分を埋めた後の仕上げがツートンに
なっています。

下半分の益子調の鉄釉の部分は薫銀泥で仕上げられ、上半分の粉引
のベージュ色の部分は銀泥で仕上げられています。

銀泥がいずれ硫化して淡い金色になったあたりで色止めすると
現状よりさらに馴染むと思います。

Sさんの作品でお分かり頂けたように、一つの破損を全体同じ色で
仕上げなければならないことはありません。
今回のように破損の状態が美しいと言いづらい場合は特に工夫が
あっていいと思います。

仕上げはあくまでも破損部分のお化粧です。
実使用は破損が埋まった段階で問題ないのです。
目立たせてアピールするもよし、目立たなくするのもよし。
自由に発想して下さい。


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貝絵 公津の杜教室

金繕い教室のカリキュラムに「ハマグリ貝に金箔を貼る」
というのがあるのですが、そこから発展して貝絵に
チャレンジする方が増えています。
今回はカルチャープラザ公津の杜の生徒さんの作品をご紹介します。

まずは先日まで在籍されていたMZさんの作品。
テーマは波うさぎです。

「波うさぎ」とは古来から親しまれているモチーフで謡曲の「竹生島」
に起源を発します。
琵琶湖を渡る船から見たさざなみが立つ湖面の様子から草原を駆ける
うさぎを連想したというものです。
MZさんはその定番の画題を可愛らしい表現でまとめられています。

もう1点、MOさんの作品は制作されていた秋の季節に合わせて栗が画題
になっています。

元々、絵を描くのがお好きだったので、のびのびと構成されているのが
わかります。
特にイガの表現に工夫されて完成に至りました。

お二人とも画題の選定から黄金分割を使ったレイアウトまで真摯に取り
組んで下さり、初めてにも関わらず大変クオリティーの高い作品が完成した
と思っています。
機会を見てまたチャレンジして頂くと、新しい世界が見えるのではないかと
考えています。


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風呂敷 小布

以前のブログにも書いていますが、風呂敷を愛用しています。
特に「濱紋様」という横浜捺染のデザインがお気に入りで
時々新作をチェックしては購入しています。

今回、購入したのは「そばちょこならべ」(手前)と「大玉文様」
(奥)です。
サイズは小布という50cm角で器の運搬に丁度いいのです。

風呂敷の結び方を教えておられる生徒さんが風呂敷は包むものによって
変幻自在なところが魅力とおっしゃっておられましたが、本当にその
通りだと思います。
そういう柔軟さを自分の心構えとしても持っておきたいですね。


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目立たせない

藤那海工房 金繕い教室のSさんの作品をご紹介致します。
マット黒釉の大皿の欠けです。


ざらざらとしたテクスチャーがついた黒釉に馴染ませるように仕上げ
に採用されたのが薫銀泥です。
人工的に銀泥を燻したガンメタリックというか濃いグレーの銀泥です。
これが釉薬に馴染んで一見、どこが欠損したのかわからなくなっています。

この薫銀泥のいいところは蒔いた後に時間が経っても変色がないところ
です。
通常、銀泥というと硫化で変化が現れますが、蒔いた当初からこの濃い
グレーのままを維持します。
最初から狙いの色に出来ることや預かり物で返却後も同じ状態を維持
出来ることから好まれる方が多いものです。

大抵は今回のSさんの作品のように元々の釉薬に馴染ませる方が多いの
ですが、モダンな感じがする色味から敢えて目立たせる使い方も面白い
のではという意見もあり、今後お使いになる方のアイディアを期待して
いるところです。


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蒔絵皿揃え

先日に続き、NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの
作品をご紹介致します。
こちらは金繕いではなく、完品の取り皿に蒔絵を施されました。

グリーンの単色でシンプルなお皿にOさんご自身がセレクトした文様を
蒔絵されました。
Oさんは和の文様に精通されているので、5点のセレクトも秀逸です。
それを黄金分割でしっかり計算して柄の配置を決めています。

使用したのは金泥、銀泥のみです。
それが複雑に見えるのは柄のセレクトとレイアウトの妙だと考えます。

もし同様にシンプルなお皿をお持ちでしたら、このようなチャレンジを
してみませんか?
全く違う器に蘇るのは一緒でも金繕いと違う醍醐味があると思います。


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