金繕いから学ぶ 文様の格

「金繕いから学ぶ 文様の格」と題して1日講座を行います。
10月30日水曜日 13:30〜15:00
NHK文化センター千葉教室

近年、金繕いはただ破損を直すだけではなく、蒔絵をプラスして
オリジナリティを求める傾向にあります。
そこで必要になるのが文様に関する知識です。

あまり知られていませんが日本では文様に厳密な格付けがあります。
その知識を踏まえた上で作品に最も相応しい文様を選択すべきでは
ないでしょうか。

この講座では一般の文様辞典にはない知識をご紹介します。
お聞き頂くことで日本文化に対する造詣を深めて頂ければ幸いです。
ご参加をお待ちしております。

教室講座(NHK文化センター千葉教室で受講して頂く)

オンデマンド(リアルタイムでの視聴〜ご都合が良い時に視聴)


カテゴリー: お知らせ, 展覧会•イベント, 日本の文化 |

花器の金繕い

私が金繕いを承った花器をご紹介します。
象嵌で繊細な柄を入れたものですが、縁周辺が割れてしまって
いました。



破片を接着後、欠損部分を埋めました。
仕上げは縁に金彩が入っているので、基本的に金泥を使用。
縁下の染付部分のみ薫銀泥を使いました。
その結果、程よく馴染んだのではないでしょうか。

この花器は持ち主の方が作家さんにオーダーして作って貰った
ものとお聞きしております。
唯一無二のものとして完成した姿を気に入って下さっていれば
嬉しいです。


カテゴリー: 基本のき, 日常の風景 |

金が馴染む

藤那海工房 金繕い教室のTさんの作品をご紹介します。
お抹茶茶碗の割れです。


オレンジ色の枇杷釉に白抜きで雪輪文様が入っている優美な抹茶
茶碗が鳥脚様に割れていました。
周囲に欠損も多かったのですが、これを根気よく埋められて金泥で
仕上げておられます。
枇杷釉と金泥の馴染みがよく、目立ち過ぎず存在感があるのは金泥
ならでは。

Oさんの作品は度々紹介させて頂いておりますが、とても丁寧な作業を
される方です。
その手で作られる美しい下地があってこその美しい仕上がりをご覧
下さい。

「この程度でいいんです。」と諦めがちな方には是非参考にして頂き
たいと思います。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

シー陶器・シーグラス 箸置き・アクセサリー作り2024

随分時間が経ってしまったのですが、今年3月に行ったシー陶器・
シーグラスで作るアクセサリー作りのご報告です。


こうして並べてみると、ご参加の皆様それぞれで大変面白い作品が
完成していると思います。

相応の時間がかかる金繕いと違い、1日のワークショップで完成する
のも魅力だと考えています。

とはいえじっくり取り組むのが性に合うので、もう行わない予定?


カテゴリー: 展覧会•イベント, 生徒さんの作品 |

呼び継ぎにチャレンジ

藤那海工房 土曜日クラスのSさんの作品をご紹介します。
飯茶碗の呼び継ぎです。


呼び継ぎとは金繕いの技法の一つで、共継ぎと呼ばれる元々同じ
器の破片を使うのではなく、全く別の器の破片を欠損部に入れる
接着方法を指します。

Sさんの作品の場合、陶器の飯茶碗に敢えて磁器の破片を入れています。
その結果、本体と入れた破片の厚みが随分違いましたので、主に内側
でその差を調整しています。(内側の接合線が太くなる)

金繕いを習っている方々からすると「いつかは呼び継ぎ」というくらい
憧れの手法です。
というのも呼び継ぎを行うには
1.ある程度欠損のある本体
2.欠損部を埋める破片
が必要になるからです。

特に2.の欠損を埋める破片は意匠性も重要になってきますので、より
ハードルが上がります。

やってみたい、とお考えの方は、上記の2点に該当する器集めから
始めてみてはいかがでしょう?
集め方については、教室でご相談にのっております。


カテゴリー: 基本のき, 生徒さんの作品 |

2024年 第1回+第2〜3回 草木染め

今年行った草木染め講座の2回目と3回目の様子をお知らせ
します。
全てご参加の方々の作品です。


ピンクの絞り染めがあった帯揚げをやしゃぶしの鉄媒染で渋く


輪ゴムで縛っただけの簡単絞り染め
意図しない柄に染まるのが楽しみ


第2回目の方々 綿や竹の素材もしっかり染まりました


変色してしまった白いブラウスを玉ねぎの鉄媒染で渋く変身



第3回の方々 蘇芳、玉ねぎの鉄媒染で渋くしたものが好評

ご参加の方にはお手持ちのものを染め直して蘇らせて頂いたり、新しい
白生地をお好みの色に染めたりと楽しんで頂きました。

実は2回目までは順調だった藍が記録的な酷暑で枯れてしまって、3回目
にはわずか5gの葉で1回だけという事態に。
来年は涼しくなるという保証はないので、酷暑対策をどうしたものかと
悩んでいます。

とはいえ来年もチャレンジする予定です。


カテゴリー: 展覧会•イベント, 植物•スケッチ |

2024年10月からの教室

まだ申し込みが間に合う2024年10月から受講可能な教室をご案内
致します。

●港北カルチャー 毎月第1土曜日 13:00~15:00 10月5日初日
●ユーカリが丘  毎月第3月曜日 10:15~12:15/13:00~15:00
10月21日初日
●NHK文化センター柏 毎月第3日曜日 10:00~12:00/13:00~15:00
10月27日初日
●NHK文化センターさいたまアリーナ
毎月第4月曜日 13:00~15:00/15:30~17:30
●藤那海工房 西登戸教室
毎月第2水曜日 14:30~16:30   開始日随時

西登戸教室以外のカルチャーセンターの教室はそれぞれの教室に
お問い合わせ下さい。

ようやく秋らしく涼しくなったところで金繕いにチャレンジしてみませんか?
お申し込みをお待ちしております。


カテゴリー: お知らせ |

美しい曲線

港北カルチャーセンターのFさんの作品をご紹介致します。
大鉢の割れの金繕いです。


角が割れてしまったのを接着し金泥で仕上げられました。

この仕上げのラインが元々の絵付けである房つきの紐のラインと
呼応してとても美しいのです。

こういった美しさがある場合は更に蒔絵するなどプラスする必要は
ないと考えています。
本来は破損した傷なのですが、人智の及ばない美しさあるのが
金繕いの醍醐味です。
ご堪能下さい。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

難しい復元

NHK文化センター柏教室のTさんの作品をご紹介します。
急須蓋のつまみの金繕いです。


目立たないように薫銀泥で仕上げられているので、画像では
わかりにくいと思いますが、つまみの2/3位が破損して失われて
いました。

この急須は柏駅近くのショップで取り扱いのある作家さん物の急須で
過去から数えて拝見するのは3個目になります。
りんごのヘタのように見えるつまみが愛らしい素敵な急須で、この
つまみは空気穴も兼ねています。

たまたま同じクラスに大きさ違いの急須を直しにお持ちになった方が
おられて、形がわかったので作業の手掛かりになりました。

コツコツと根気よく形を復元されたので、作家さんのオリジナルに
極めて近い完成度になっているかと思います。

金繕いは元々の作り手へのリスペクトでもあると思います。
殊に今回のような個性的な形だと苦労も伴いますが、完成した時の
満足度もひとしおだと思います。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

和敬塾本館見学

目白にある旧細川侯爵邸である和敬塾本館を見学して来ました。



(内部の画像はSNSで公開NGなので、頂いたパンフレット、葉書で)

旧細川侯爵邸は昭和11年、細川護立侯の自邸として建築されました。
イギリスのチューダー・ゴシック様式を基調とする洋風建築ですが、
内部には和室や東洋風のインテリアも併せ持つ自由な折衷様式の華族
邸宅建築です。

細川護立侯自身はわずか9年しか居住出来ず、戦後はオランダに接収
されます。
この時にダイニングルームがシャワー室に、つなぎの和室が壁を立てて
二間に改造されたりしてしまいますが、現在は創建当時に極力近づけて
公開されています。
(貴重な壁材なども触ってOKなのは嬉しい!)

特徴的なのは華麗なインテリアでありながら“もしも”の場合に備えて
各部屋が必ず2方向避難が可能なように設計されていることです。
これは二二六事件の直後に設計された影響ではないかと思われます。

毎年5月から12月の月2回、原則木曜日にあらかじめ申込の上、
見学が出来るようになっています。
案内人の丸山さん(男性)の語り口が軽妙で、1時間20分とは思えない
くらい楽しい見学会でした。

恐らく年内の見学は一杯だと思います。
毎年1月中旬くらいにその年の見学日が公開になりますので、是非
細川護立侯好みの個性的なインテリアを堪能して頂きたいと思い
ます。


カテゴリー: 展覧会•イベント, 日常の風景 |