花森安治のデザイン

先般、雑誌「暮らしの手帖」の思い出をブログに書いたところ、
金繕い教室に来て下さっている方から「花森安治のデザイン」という
本を頂戴しました。

10年前に出版されたものですが、生誕100年を記念して表紙原画、
書籍装丁、カット、手書き文字など約300点が掲載されたものです。

その多種多様な表現方法にページをめくるたびにワクワクします。
やはり真骨頂はわざとパースを外した歪みでしょうか。

デザインを学んだものとしてハッとしたのが、新聞広告の版下です。
印刷のための原稿なので、関係者でなければ目にすることはないものです。

今ならパソコンの画面で簡単に変更が可能ですが、この時代は写植を切り
抜き、手書き文字を添え、ミリ単位で検討したと思われます。
そこにこれでしかありえないというレイアウトを突き詰めて求められたで
あろう痕跡が見えます。

巻末に花森氏と共に「暮らしの手帖」を創刊した大橋氏の文章があります。
表紙の絵を描く際の花森氏の様子を伝えたものですが、表紙として出来が
よくなかった時、大橋氏の様子を見て察し、描き直していたそうです。

稀代の編集者・花森安治の葛藤振りを見ますと、凡人の私なぞの葛藤は
まだまだという気持ちになりました。


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これからでも間に合う2021.4月

新年度が始まりました。
コロナ対策はしっかりしつつ、新しく金繕い始める方をお迎えして
います。

これからでもお申し込みが間に合うカルチャーセンターの教室を
ご案内いたします。

カルチャープラザ公津の杜 毎月第1月曜日 10:30-12:30/13:30-15:30
(5月31日月曜日からスタート)

NHK文化センター
さいたまアリーナ教室 毎月第4月曜日 13:00-15:00/15:30-17:30
横浜教室 毎月第4水曜日 10:30-12:30/13:30-15:30

なお私個人が主宰している藤那海工房の金繕い教室につきましては、コンタクト
のページからお問い合わせ下さい。

昨年から、おうち時間を充実させるものとして金繕い(金継ぎ)が注目を集めて
いるようです。
新年度からチャレンジしてみませんか?


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急須の蓋 補強

NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
急須の蓋の補強です。


以前からご紹介していますが、急須の蓋は使用頻度が高い分、割れてしまう
ことも多い品です。
問題は熱がかかること、持って移動することなどから和紙による補強を
お勧めしています。

Hさんの場合、白化粧土の表面は接着の接合線通りに仕上げ、裏面は三日月
形に補強して仕上げられました。

仕上げの色は柏教室で流行っている「薫銀泥」という人工的に硫化させている
色です。
裏面には馴染み、表面では適度なアクセントになりました。

各教室で補強をされている方がおられますが、特に裏面の磨き上げずに釉薬の
凸凹に合わせた塩梅を参考にして頂きたいです。


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内外で違う形

NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。
磁器の片口のひびの金繕いです。


片口という形で磁器製というのは少し珍しいと思います。
磁器といっても揺らぎのある形で温かみがある魅力的な器です。

こちらにひびが入っていたのですが、底面に近づいたところで二股に
分かれています。
これは厚みがあるところでひびが入る力が分散したからで珍しいことでは
ありません。

Mさんが疑問に思われたのが内外で二股に分かれた形が違うことです。
これも理由をご説明して納得して頂きました。

理由は車が曲がる時の内輪差みたいなものなのです。
厚みが増える分、内側と外側のカーブに違いが出てきます。
それで形も変わってくるのです。

傷の形が違うので内外で形を合わせることは出来ません。
傷なりに仕上げて頂くのが一番自然だと思います。

Mさんは作業が丁寧な方で、今まで何回もその作品をご紹介させて頂いて
います。
今回の仕上げも全く問題なしに綺麗な仕上げになっています。
この片口も早速食卓に復活されていることかと思います。


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花の季節 2021

桜を始め、次々花が咲いて春を実感する季節になりました。

近隣の農家さんが畑で栽培しているチューリップです。
作物の連作を避けてかと思いますが、近隣へのサービスもある
のではないかと考えています。

昨年の今頃は緊急事態宣言で巣篭もり生活になり、買い物のついでに
花のスケッチをする日々でした。
未だコロナ禍の渦中にはありますが、昨年とは違う生活の中で花を
見ることが出来ていることに感慨深くなりました。

昨年春からお休みしていた西登戸教室もいよいよ5月から再始動する
ことになりました。
しっかり対策をしながら少しずつでも日常が取り戻せることを嬉しく
思っています。


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切子ガラスのひび

産経学園ユーカリが丘校のNさんの作品をご紹介します。
切子ガラスのカップのひびです。


まずひびを止めて頂き、表面の欠損を埋めてプラチナ箔で仕上げ
られました。
ブルーの被せガラスにはプラチナの色がよく合います。

Nさんはすでにガラスの金繕いのご経験がありますので、途中の作業、
仕上げ共、順調になさいました。
特に仕上げの線はとても綺麗にまとめられていると思います。

ガラスは陶磁器の金繕いを基本にしていますが、特性の違いから少し手順が
違います。
まずは特性の違いを理解し、手順を把握して頂きたいと思います。


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トクサの旅立ち

新芽が出る前がトクサの刈り時です。


途中から切ったとしても、そこから新たに伸びてくるわけではないので、
しっかり根元から切ります。

その後、細ずぎるものや痛んだものを取り除いて箱に平に干します。
干す場所は日当たりが良く、通風もある室内で構いません。
時々混ぜて天地を変えるようにします。
影干しや束ねて干すと、後でカビが発生する場合がありますので、
気をつけて下さい。

このところ、どのくらいの期間干せば良いのかという質問を多く受けます。
干す期間は1週間程度で構いません。
切った時にお分かりになるかと思いますが、トクサはかなりの水分を含んで
います。
これが飛べばいいのです。

同じく質問が多いのが色の問題です。
この件は干す期間と同様、これまでのブログで何回も取り上げていますが、
緑色のままで構わないというのが正解です。
道具としては枯れ色になる必要はないからです。

自宅マンションが4月から大規模改修に入るので、刈り取った後の鉢を
生徒さんが預かって下さいました。
手前の鉢3つが私のものです。
引き取りに伺う時には新芽がある程度大きくなっていると思います。

 


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変形のひび

港北カルチャーセンターのMさんの作品をご紹介致します。
お茶碗に入った変形のひびの仕上げです。


このタイプのひびに遭遇した方もおられると思います。
上下に分かれてひびが入るのですが、これが口をぎゅっと結んだような
形でとても美しいとは言えません。

現象としてはもう少し破損した時の衝撃が強ければUFO型に破片が外れて
いたものが、端が寸止めで止まり、ひびとなったものです。

仕上げの常套手段としては器に元々ある柄を流用して被せてしまうの
ですが、Mさんのお茶碗の場合縦縞模様でそれも出来ません。

そこでお勧めしたのが上のひびは縁の口紅(鉄釉の覆輪)に馴染ませる
ように銀泥で仕上げ、内側の面に当たる部分は生成り色の釉薬に馴染む
金泥で仕上げるというものです。

画像では銀泥が仕上げたばかりなので白いのですが、いずれ口紅に馴染んで
来るでしょう。
Mさんご本人にも気に入って頂けたようです。

もう1点ご紹介しますのが、日常の破損で最も多い小さな欠けの金繕いです。
初心者の頃、ドキドキしながら仕上げの作業をされていたMさんですが、
今や堂々たる完璧な仕上げです。

このような作品を拝見すると、何事も練習、経験なのだと感じます。
是非「この程度でいいんです。」と適当に妥協せず、チャレンジを続けて
頂きたいと思います。


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赤いバラ

先日、太田流礼法の家元に花活けのお稽古をして頂く機会を得ました。
その際に花材として使ったのが真紅のバラです。

7年ほど前にお家元が活けられた赤いバラがあまりに素敵だったので
リクエストさせて頂いたのです。
それだけでなく私自身が深い赤色が好きというのもあります。

今のお子さんはランドセルに多彩な色が用意されているように、色の好み
も多様化していると思います。
しかし私の子供の頃は小学校低学年の女の子に好きな色はと聞いたら
「ピンク」と答えるのが定番だったように思います。
そんな中で私は「赤!」と答えるちょっと変わった子供だったかもしれ
ません。

ご存知のように赤い色は人間に活動力を与えます。
この色を見てやっぱり素敵と思えるので、私の気持ちは元気と言っても
いいのではないでしょうか。


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思いがけず

NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介致します。
急須のひびです。


2箇所に入っていたひびを止められ、金泥で仕上げられました。
黄瀬戸系のベージュ色の釉薬に金が程よく馴染んでいます。

実はこの急須はHさんが普段使われていたものではなく、ご自宅を片付けて
いたら偶然出てきたものなのだそうです。
講座を受講するにあたって、いい教材になるとお持ちになりました。
完成してみると元々の急須の良さが際立ち、使いたくなる品に変身しました。

このように元の印象が変化するのも金繕いの醍醐味かと思います。
この急須はただ仕舞われていたものから、実際に使われるものへと新しく
生まれ変わりました。


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