藍 1株枯れる

風の強い日は屋内に取り込むまでの過保護振りで育てていた
今年の藍ですが、1株枯れてしまいました。

突然、次々葉が枯れ始めて、ついにほとんど葉がなくなってしまいました。
この状態は去年と同じ。
また水の遣りすぎで根腐れさせてしまったのかと思っていたところ、
白い虫を発見!
慌ててオルトラン粒状を散布しました。

最初に枯れ始めた株は、全く葉がなくなってしまいましたが、隣の株は
葉裏に白い虫がびっしり付くものの、オルトランの効果で全滅させられ
ました。

この虫をアブラムシだと思い込んでいたのですが「葉裏 白い虫」と
検索して出てきたのが、「コナジラミ」という名前です。
シラミとついていますがカメムシ目の虫で羽があり、どこからともなく
飛来して繁殖するようです。

強い繁殖力で次々成虫になり、宿主を弱らせます。
我が家の藍の場合は、あっという間に枯らせて隣の株、隣のプランターへ
移っていったのが去年の状況だと理解しました。
降雨で葉が濡れる地植えと違い、乾燥しやすいマンションベランダの
プランターではよくある虫害のようです。
100%飛来を防ぐのは無理なので、定期的に効果のある薬剤を散布する
ことにしました。

敵がわかれば対策も打てます。
しかしこれがわかるまでに去年の6株と今年の1株を枯らせてしまった
かと思うと…
自分の観察力の甘さにがっくりきています。


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何度もやり直す

NHK学園市川オープンスクールのKさんの作品をご紹介致します。
マグカップの縁の欠けです。


ご家庭で最も生じるであろう、ちょっとした欠けです。
こちらを本当に美しく仕上げられました。

画像をクリックし拡大して、ご覧頂くとその美しさがお分かり頂けると
思います。
全く刷毛目が入っていない均一な仕上げです。

この仕上がりは欠損の埋め方が完璧であることが必須条件ではありますが、
Kさんが納得いくまで何度も仕上げをやり直した結果なのです。

Kさんは大変熱心に受講して下さっており、普通はお話しないような深い
質問をなさいます。
それを聞くだけでなく何度もやり直した結果、ここまでの域に達せ
られたのです。

金繕いの時間は破損を埋めることに大半の時間が費やされるため、仕上げ
はそう頻繁に行うものではありません。
しかし結果として見えるのは仕上げなので、どなたも美しく完成させたいと
思われるでしょう。
そのためには努力が必要と改めて思わせてくれたKさんの作品でした。


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ゴジラの香炉 漆繕い

プロレスラーの藤原喜明さんを、ご存じの方は多いと思います。
雑誌「盆栽世界」を購入して下さった方は、連載ページを見て
頂くと氏の多彩な一面をご覧頂けると思います。

藤原さんの才能の一つが陶芸です。
趣味の域を超えてプロの域に達しておられます。
作られた作品の一つが今回ご依頼頂いた「ゴジラの香炉」です。

頭の部分が別パーツになっており、そこを外してお香を中にセットします。
頭部を戻すと口からお香の煙が立ち上るという仕組みになっています。

焼締の肌がゴジラの感じを出しているだけでなく、背中のヒレの数、形
まで忠実に作られた藤原さんのこだわりが凝縮された一品です。


その大切な品の尻尾の先が割れてしまっていました。
ご依頼は金・銀などで化粧せず、なるべく目立たせないことと
いうものでした。
そこで本漆で接着し、漆繕いで完成させることにしました。

以下の画像は完成したところです。


わかって見なければ気がつかないようにはなったかなと思って
納品したのですが、藤原さんからも「本当にわからないね。素晴らしい。」
とのコメントを頂き、安堵したところです。

ゴジラも尻尾の先を取り戻して威厳が回復したようです。

今回の工夫ポイントは、接着の際のゴジラの姿勢です。
尻尾の接着部が水平になるように固定して固化させました。
また焼締の肌に馴染むようにカッター以外の道具を使って削りの
作業を行ったのも、ご希望の仕上がり感に貢献したと思います。

先般の鹿児島睦さんの板皿の金繕いのブログでも書きましたが、
ご要望に応じて手段は選択しています。
器によって最も良い手段を考え、教室でもお話ししていきたいと
思っております。


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ふたもん 梅干しの壺

鹿児島睦さんの話題を続けます。
先般、塩の壺を入手したと書きましたが、購入しそびれた
「ふたもん 梅干しの壺」を入手しました。


塩の壺は塩の色が映えるようにグレーでしたが、梅干しの壺は
紫蘇漬けの赤が映えるように白です。

蓋のレリーフのデザインも違います。
鳥にあしらわれた花は梅でしょう。

ぽってりした形は、何だか幸せになります。
中の大倉さんプロデュースの梅干しを食べてしまった後は、
また梅干しを入れてもよし、他のものを入れても良いかと
思います。

鹿児島睦さんのファンの方、
おむすび まるさんかくのお食事に魅せられている方、
是非お求め下さい!

 


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穂先を整える

本漆にしても新うるしにしても、筆は中性洗剤(台所洗剤)で
洗うことをお勧めしています。
洗った後はどのように処理されているでしょうか?

濡れているうちにキャップに入れないと、毛がキャップの中で逆立って
しまいます。
しかしキャップに入れる前に大事なことがあります。
穂先を整えることです。

軸に近い腹とか腰と言われる胴の部分をしっかり指先でまとめて
膨らまないように締めます。
さらに命毛と言われる先端部分は、軸と芯が通るように位置を決めます。

ほんの数秒で出来る作業ですが、これを怠ると穂先は膨らんで広がり
ますし、穂先は自分の意思とは違うところに線を描きます。

太い線しか描けませんという方は、もしかするとこの手入れが足りない
のかもしれません。
いい仕上げは、道具の手入れから。
ちょっと気にして試してみて下さい。


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鹿児島睦さんの板皿 金繕い

このところ特別な金繕いを完成させたので、順次ご紹介したいと
思います。
まず「おむすび まるさんかく」の店主、大倉千枝子さんから
ご依頼頂いた鹿児島睦さんの板皿です。


鹿児島睦さんは、動物や植物をモチーフにした図案を入れた作品が
人気の作家さんです。
ご依頼頂いたお皿は、大倉さんが鹿児島さんに屏風をイメージして
オーダーしたもので、とても思い入れのある作品です。
3枚組の状態が鹿児島さんの作品集にも掲載されています。
それが大きい破片と小さい破片2つに割れてしまいました。

大倉さんからのご依頼は、出来るだけ鹿児島さんの世界観を損なわない
状態で金繕いすることでした。
実は画像に写っている右上の小さい破片と大きな破片には、ひびが
入っていたのですが、これを本漆で直すと、しっかり表面に色が
出てしまいます。
なるべくこれを目立たなくするために、新うるしでの金繕いを選択
されました。

上の画像を見て頂くと、そのひびの入り具合がわかると思います。

さらに仕上げは白い釉薬の部分は金泥で、青い釉薬で図案が入って
いる部分は銀泥で仕上げをしました。
銀泥で仕上げた部分は、いずれ硫化して青い釉薬に馴染んでくるのを
計算してあります。
このあたりはカラーリストでもある大倉さんと綿密に打ち合わせ
致しました。

本来長さのあるお皿の場合は裏面から補強をお勧めするのですが、
3枚組ですので、この1枚だけ補強してしまうと大倉さんが大切に
している鹿児島さんの世界観を損なうことになります。
そこで使用の際には注意して扱って頂くことで、回避しました。

今回の作品のように、ご依頼主からのご要望に出来るだけ応える
のが重要だと考えています。
そのためには「〜でなければいけない」というような固定観念に
固執する必要はないかと思います。

今後は銀泥の硫化の様子で、もうひと手間加えるか否かが課題です。


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漆の装飾と技法展

現在、根津美術館で行われている「初めての古美術鑑賞ー漆の
装飾と技法ー」展に行ってきました。

このような美術館の企画展の魅力は、実物で確認しながら技法を
整理できることだと思います。
漆の本を見れば基本の技術は解説されていますが、やはり実物で
拝見出来るのが一番です。
今回の展示もわかりやすく整理されていて勉強になりました。

私のもう一つの狙いは作品作りの参考になるものがないかという
ところにもあります。
こちらも得るところがありました。

根津美術館は海外の方から大変人気がある美術館なのだそうです。
竹林のエントランス、ゆとりのある展示、緑豊かな日本庭園は
海外では得られない魅力だと思います。

現在の展示は7月8日日曜日までです。
終了が迫っておりますので、ご興味のある方はお早めに!


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ウレタン塗装の塗り直し

教室でやってみたいとお声が上がるのが、ウレタン塗装の
木工品の塗り直しです。

木の温かさが良いので、木工品をお使いの方は多いと思います。
漆塗り以外の市販されている木工品の多くは、ウレタン塗装という
樹脂で塗装されています。

これが経年変化でハゲてしまうことが多く、そのまま使っていると
本体の木部まで傷んできます。
(ひび、痩せ、カビ発生など)
泣く泣く諦めておられたかもしれませんが、修復出来ます。

上の画像は私が拭き漆という本漆の技法で直しているものですが、
新うるしでも可能です。

状態に応じて手順をお話し致しますので、まずは教室にお持ち下さい。
気に入った物は是非直してお使い下さい。


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マグカップ 把手の竹補強

NHK文化センター 柏教室のUさんの作品をご紹介致します。
マグカップの把手が割れてしまったのを接着し、再使用が可能
なように竹で補強されました。


作家さんもののマグカップの把手が5か所で割れ、4つのパーツに
分解していました。
接着後、把手の内側を竹で補強してあります。
これによって、やや大ぶりなマグカップも再使用が可能になっています。

難しかったのが把手の形状が不定形で、竹の加工が複雑になったことです。
Uさんはそれをクリアし、把手自体に馴染ませるのも異例の早さでした。
このあたりは手作業がお好きなUさんの天性のものと思われます。

竹を使用した把手の補強は、竹の曲げ加工や把手自体に馴染ませる手間
はかかりますが、今回の作品のようにカップ部が重いものですと安心感が
大きいと思います。
このマグカップは金繕いを頼まれたもので、持ち主に返却されます。
そのような場合、より安全な方法で修復されるのがよろしいかと思います。

把手内側にしか補強が入っていないので、作家さんの意匠を崩すことなく
仕上げられています。
高い完成度に持ち主の方も驚かれること間違いなしです。


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金泥 混ぜても可?

先日、金泥が残り少なくなった場合、混ぜてもいいでしょうか?と
質問を受けました。

上の画像は教材としてお出ししている「純金泥」です。
全く同じパッケージの物でしたら、混ぜてしまっても問題ありません。

上の画像は本漆で使われることが多い「金消」です。
「金泥」と「金消」は以前別のものとされていました。
それは金消に膠が含まれていたからです。

現在の「金消」には膠成分は含まれていないので、同じく金箔を
粉にしたものと考えていいかと思います。

ただパッケージが違いますので、先の物と混ぜることは出来ません。
金の純度、粒子の細かさが違う可能性があるからです。
金の純度が違えば、仕上がりが斑らになってしまうかもしれません。
粒子の細かさが違えば、蒔くタイミングにも違いが出ます。

パッケージが同じもの、すなわち同じメーカーのものを使い続ける
のが良いかと思います。
教室でお出ししている金泥は、渋谷の日本画材店「ウエマツ」で
販売されています。

ウエマツ
東京都渋谷区渋谷2-20-8
(渋谷・ヒカリエ 2軒左隣り)
tel 03 - 3400 - 5556
open 10:00 〜 19:00 (日曜日 休み)
※ネット販売なし 代引きにて購入可能


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