カテゴリー別アーカイブ: 基本のき

細い線信仰?

仕上げの線は、器に合っている太さであればよいと
お話しています。

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大雑把に言えば、磁器の薄手のものは細めの線が合いますし、
ざっくりした陶器は太い線が合います。

しかしなぜか器の感じに関わらず、細い線が最上のものという
方がおられます。
細い線を描かなければならないとおっしゃいます。
そのご様子は「細い線信仰」なるものが存在するようです。

確かに細い線を描くのにはテクニックが必要です。
それが最上という感覚に結びついているのだと思います。

私もかな書の練習のおかげで、かなり細い線を描くことが出来る
ようにはなっています。
しかし実際の仕上げで糸のように細い線を描くことはありません。

磁器であれ、陶器であれ、ある程度の質量を持つものには、相応の
太さが必要だと考えています。
そして大前提として、仕上げとは欠損を埋めた跡を化粧するものです。
まずは欠損をしっかり覆うことを優先し、線の太さは出来る範囲で
良いかと思います。


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漆刷毛について2

「金繕いの本」の貝合わせの項で、新うるしを塗る道具として
漆刷毛を使用しています。

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貝合わせの金箔が最もきれいに貼れるのが、この漆刷毛なので本では
こちらを使用しました。
しかしカリキュラムの一環で貝合わせを始めて制作される方に、漆刷毛は
少々高額です。
(太さにもよりますが、大体¥3,000以上です)

よって教室ではリーズナブルでありながら、結果の良い筆をご紹介
しています。
(白鳥教室のみ)

金繕い 金継ぎ 平筆

穂先の材料は羊がメインで、馬毛も少しブレンドされています。
これが程よい腰の強さとなっています。
穂先のカットの仕方と、適切な長さで、まずまずの結果が出るのだと思って
います。

先般、漆刷毛と間違ってペンキ塗り刷毛をお求めになってしまった方が
おられました。

金繕い 金継ぎ ペンキ塗り刷毛

残念ですが、これは貝合わせには全く適しません。

良い制作のために漆刷毛をお求めになりたい方は、お勧めの販売店が
ありますし、刷毛を使うための仕立て方についてもご説明致します。
教室であらかじめご相談下さい。

追記
以前のブログで「漆刷毛」について書いています。
詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。


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ぴったり

藤那海工房の教室に来て下さっているOさんの道具箱を
ご紹介致します。
ここまで綺麗に収めている方はいらっしゃらないので、撮影
させて頂きました。

金繕い 金継ぎ 道具箱

まず外観です。
平面積はB5版くらいで、かなりコンパクトです。
取っ手はありませんが、外から見ても綺麗に収まっているのが
わかります。

金繕い 金継ぎ 道具箱

蓋を開けたところです。
手前のスペースに道具類が縦に入れられているのが、お分かりに
なるかと思います。
収納のテクニックに縦に物を入れて見やすく取り出しやすくすると
いうのがありますが、その状態になっています。
さらに薄め液のボトルが縦置きに入っているのも、いいところです。
なかなか縦に入るケースがないので別に持つ方が多いのですが、
これが忘れ物の原因になってしまうからです。

金繕い 金継ぎ 道具箱

奥のケースを一段外したところです。
ここに筆やカッターなどの道具類が入っています。

これらは全て100円ショップで入手したものだそうで、かなりの
ローコストだった様子。
本体のケースと、手前は名刺入れ、奥はペン類を整理できるケース
だと思います。
決めたところに決めた物を入れるだけなので、片付けもしやすい
かと思われます。

ご本人も「やった!」と思ったそうですが、本当に素晴らしいと
思います。
4月から受講を始めた方は、丁度道具箱を検討されているのでは
ないでしょうか。
ぜひ参考になさって下さい。


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紺屋の白袴

現在、実験中の洗剤でひびに入ってしまった油シミを取っています。

金繕い 金継ぎ 油シミ

従来、破損部に染み込んでしまった油シミは、なかなかとれなかった
のですが、ある生徒さんが試された洗剤がとても落ちるので、私も
購入して実験しています。

何人かの方にも試して頂いていますが良い成績のようなので、教室に来て
下さっている方には必要に応じてご説明しています。

この洗剤につけると勢いよくひびから泡が噴き出してきます。
それだけひびに空気が入っていたのかと思うと、びっくりします。

実はこの器のひびは気がついた当初は短く、軽症の「にゅう」でした。
それがほったらかしにしているうちに、長さは長くなるし重症化して
ひびに進行してしまっていました。
おまけに油シミが長い時間をかけて入りこんでいるので、なかなか抜け
ません。

まさに「紺屋の白袴」です。
身をもって痛い目に合っています。

ですので教室で「大したひびではないので直さなくても大丈夫です。」と
言われると、絶対早めに直しておいたほうがいいですとお勧めしています。


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広く塗る

このところ金繕いの講座で頻発しているやり直しが、塗り足りない
という問題です。

金繕い 金継ぎ 塗り足りない

欠けの場合、釉薬が薄く削げている部分があることがあります。
これがわかりにくいと塗っていなかったり、削り落としてしまって
いることが増えています。
もちろん塗り直しをすれば問題はないのですが、時間をロスしたと
いえばもったいない気がします。

できれば金繕いを開始する前に欠けの範囲を確認し、作業する
範囲を明確に把握してから取り組まれるのがよいと思います。
可能であれば自然光下がベストです。
どんなに照明の性能が良くても自然光の光の量にはかないません。

問題が発覚すると、大したキズではないので修復しなくても
大丈夫ですとおっしゃる方がいらっしゃいます。
しかし器にとっては釉薬という保護膜がない状態です。
素地がむき出しになっているのは、さらなる破損を招きかね
ません。
塗り直しは手間とは思いますが、是非作業をお願い致します。


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トクサの新芽が出る 2017

昨年栽培に失敗したトクサから新芽が出ました。

金繕い 金継ぎ トクサ

あまりの状態の悪さに投げやりになり、水やりすらほとんど
していませんでした。
にも関わらず新芽が出ていたのです。
トクサの生命力に感謝です。

昨年の失敗の原因は、真夏の水やり不足です。
豊作だった年を振り返ると、藍と一緒に毎日の水やりと豊富な肥料の
恩恵に預かっていたのでした。

トクサの栽培に悩んでいる方は、水の与え方を工夫してみて下さい。
私は鉢の下に皿を敷いて、常に水が溜まっているようにしています。
睡蓮鉢に浸すという方もいるくらいなので、盛夏時期はその方法を
取ってもいいかと思います。

今年は藍も育てる予定です。
一緒に水やりを行うことにして、何とか復活を願っています。


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把手の補強

NHK学園市川オープンスクールのHさんの作品をご紹介致します。
デミタスカップの把手の割れを補強されました。

金繕い 金継ぎ 補強

補強の方法はいくつかありますが、Hさんの作品の場合、把手の
内側に補強材を入れて頂きました。
この方法のメリットは把手の外側に仕上げが出ないので、器の印象を
あまり変化させないで済むことです。

カップをもう一度お使いになりたいという場合、この補強は必須に
なります。
ただ接着しただけだと、耐久性に不安があります。
熱い飲み物を入れるカップですから、もしもの時には火傷の危険性から
逃れられません。
補強は相応の手間と時間がかかりますが、不安なく使えるというのは
重要です。

補強の方法は、割れた箇所、把手の太さ等々で変わってきます。
把手の金繕いをご検討の方は、一度教室でご相談下さい。

Hさんは仕上げを銀泥でなさっておられます。
少し硫化すると釉薬に馴染んだシャンパンゴールドになると思います。
その馴染んだ姿が想像できるくらい、大変完成度の高い仕上げになり
ました。


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器の形は戻す

以前修復前の様子をご紹介しました器が完成しました。

金繕い 金継ぎ 白薩摩

下の画像が修復前のお預かりした状態です。
この状態になってしまった経緯は分かりませんが、もしかすると
持ち主の方ご本人が自分なりに直された結果かもしれません。

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見比べて頂ければ、やはりきちんと器の形を戻した方が
美しいと感じて頂けると思います。

欠けたところが金色になっていればいいんですとおっしゃる方も
おられますが、そのようなお話があると悲しい気持ちになります。
使用上問題がない箇所でも、金繕いするならば元の形に戻して
あげるのが本分だと思うからです。

いかがでしょうか?


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テクスチャーのある器

個性的な器の金繕いの依頼を頂戴しました。

R0001002
R0001004

大きく2つに割れ、縁が細かく割れた上に欠損もありました。
割れの接着としては難しくないのですが、気をつけなければ
ならなかったのが表面のテクスチャーです。

表面

シワが寄ったような細かいテクスチャーが表面にあります。
そのため接着段階からしっかりマスキングを行いました。

削る、磨くという工程でもテクスチャーに対応したテクニックが
必要です。
もちろん仕上げにおいてもです。

ここまで細かいテクスチャーでなくても、表面に不定形なざらざらが
ある器は多いと思います。
適宜説明いたしますので、教室でご相談下さい。


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トクサ 刈り取り時期

寒い日が続き、トクサの刈り取り時期がやってきました。
2月〜3月が最適です。

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根元から切り取り、1週間も日当たり通風の良いところに干せば
道具として使えます。

この刈り取り時期に合わせて、トクサに関するご質問も多くなって
きました。
ブログでも度々取り上げていますので、ブログ内を検索して頂くと
記事がたくさん出てくると思います。

また拙著「金繕いの本」でも90ページのQ&Aに正しい内容で説明
しています。
お求め頂いた方は目を通して頂けると、よりわかりやすいかと
思います。


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