カテゴリー別アーカイブ: 基本のき

萩焼小皿揃い

NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
萩焼の小皿の揃いの欠けを金繕いされました。


銀泥で仕上げられています。
一つ一つ欠けの大きさ、形、位置が違うので、5つで見ると楽しめる
のが金繕いの面白いところです。

こちらはご友人からの預かり物なので、返却されます。
Hさんとしては銀泥が少々硫化したところで完成としたかったので、
人工的に硫化する方法を選択されました。

このように預かり物ですと好みの感じに硫化したところで、もう一度
お預け願うのは難しい場合があります。
人工的に硫化する方法も会得しておくと良いかと思います。
ご希望の方は教室でご確認下さい。


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藍 不作

先般、順調に発芽しているとブログに書いた藍ですが、
連休明けの寒さの影響で稀に見る低発芽率となってしまいました。

保証発芽率が70%なのですが、これを切りました。
藍を育て始めて、こんなに低いのは初めてです。
最終的には6株あれば良いので問題はないのですが、少々衝撃的
な出来事です。

発芽した芽を大切に大きくしようと前向きに考えているところ
です。


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後から出てくる

現在、金繕いを依頼されている板皿ですが、仕上げの段階に
なってひびが見えてきました。

かなり慎重にチェックして作業を始めたのですが、後になって
見つけてしまいました。

これは珍しいことではありません。
原一菜先生は「器からの自己申告」と表現されます。
具体的に言えば先に直した部分の漆に影響されて、元々問題があった
部分が明確になるのです。

気合を入れ直して、鋭意金繕い中です。


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漂白 するか否か

金繕いを始める器は、綺麗にすることが基本です。
この作業には漂白も含まれます。

骨董などは経年変化で「味わいがついている」とお考えになる
方もおられます。

上の画像の鉢は、2013年に京都に出かけた際に購入したものです。
形が好みで購入したのですが、釉薬がペパーミントグリーンで、
少々鮮やかすぎるかなと思っていました。

それが5年使っているうちに貫入に色が入って落ち着いた色になり
ました。
俗に言う「育てた」という感じですね。

このような感じですと漂白するのは惜しい感じになるのもわかります。
しかし漆類は油分に弱いので、金繕いの際には汚れを落としておくのが
基本になるのです。

もし即席に味わいを戻したいようであれば、方法があります。
教室でご相談下さい。


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プラチナ泥の仕上げ

藤那海工房 西登戸教室のOさんの作品をご紹介致します。
ひびをプラチナ泥で仕上げをしたカップです。


Oさんとしては、もう少し細い線で仕上げたかったそうなのですが、
画像で客観的に見てみると、カップのデザインといいバランスなの
ではないでしょうか?
線の描き方も安定していて、いい線が描けていると思います。

シルバー色というと「銀」ですが、硫化して色が変わってしまうのが
合わない器もあります。
Oさんのカップは繊細な薄手の白のマット釉で、こちらには銀の硫化色
は合わないと判断されました。
そこで仕上げに使われたのが「プラチナ泥」(白金泥)です。

プラチナは銀と比較すると青味があり、若干暗い色をしています。
金の価格が上がったことで差が縮まりましたが、確実に金より
高価であることには変わりがありません。
ただ大切に使えば、かなりの量が直せますので、損をした感じには
ならないかと思います。

一般的に銀色というと「錫」を使う方が多いと思います。
プラチナ泥から比べたら、かなりの安価で気兼ねなく使えるとは
思います。
ただ錫は耐薬品性が弱いこととチープさは否めないので、オススメ
してはおりません。


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欠け未満の仕上げ

NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの作品を
ご紹介致します。
先日のご紹介の続きになります。

欠けに至らずUFOのような不思議な形でヒビに止まっている
破損の仕上げに悩まれる方が少なくありません。
大抵の方は、ヒビの入った範囲を大きく欠けとして仕上げられます。
Tさんの場合は、欠損なりに最小限に仕上げられました。

金繕いの仕上げとしては、これで十分です。
さらにとお考えの場合は、ここから発想されると良いと思います。


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鯛牙

本漆の仕上げに丸粉を使う場合、鯛牙を使用しています。

先日、鯛の頭を入手する機会がありましたので、顎の骨ごと牙を
取り出してみました。

上下左右で各2本、計8本あります。
この鯛自体は1kg程度の重さなので、上の画像の道具のような
大きさはありません。

ちなみに鯛は天然でないと、牙はありません。
天然の鯛は貝を砕いて食べたりしているので牙が発達しますが、
養殖の鯛は柔らかい餌を食べているので牙は必要ないからです。

道具として鯛牙の代用とされるのは、めのうやガラス棒などが
あります。

私の個人的な感覚ですが、硬さと柔らかさがうまくマッチングして
いるという点では鯛牙に勝るものはないようです。

魚のイシモチの浮き袋から取り出される接着剤「ニベ」など、日本人が
生活の中から見つけ出した物には感嘆させられます。


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下地用の筆 選び方

原一菜先生の教室では下地用の筆は天然毛なら何でも良いと
説明があると思います。
その選択に悩まれて方が多いようなので、解説したいと思います。

まず最初に教材としてお渡ししている筆の良さについて知って頂く
必要があります。

決して高価な筆ではありませんが、穂先は豚毛です。
豚毛は新うるしの粘り気に対応出来る腰の強さがあります。
細い線を描くことからベタ面の塗りまで出来る細さは他にありません。
ただ販売しているのが櫻井釣漁具店(東京・神田)くらいしかないのが
問題です。

では画材店で手に入りやすい筆の中から選び方をご説明します。
まず筆の分類を理解する必要があります。
第1は使う画材によって分けられているということです。
油絵、日本画、デザイン(アクリル絵具含む)が大まかな分類です。

第2は穂先の毛質です。
大きく分けると獣毛の天然毛とナイロンなどの人工毛ですが、原先生の
指定が天然毛なので人工毛は除外します。

獣毛は先の豚の他、テン(最上級がコリンスキー)、羊、馬、玉(猫)、
リス等々ありますが、このうち柔らかい質の羊と玉毛は下地筆としては
除外していいでしょう。

次に形です。
ファン、フィルバートなど特殊な形は必要ありません。
下地としては丸筆とか細筆と呼ばれるものが適切です。

実験してみたのが下の画像にあるものです。

左から豚毛、真ん中も豚毛、右が版下用(テン毛)です。

テン毛の面相筆です。

豚毛の2本は油絵用の筆です。
こちらは細い線は描けませんが、腰が強いので広い面を塗るとか
割れの断面にざっと塗るなどの作業はしやすいです。

版下用の筆は細い線も描けますし、面も塗りやすいです。
穂先が短いので後で説明する面相筆より取り回しがしやすい感じが
あります。
ただ置いている画材店が少ないかと思われます。

最後にポピュラーな面相筆ですが、線もそこそこ、面もそこそこ
塗れます。
大抵の画材店ならば取り扱いがあります。
手に入れやすさも合わせて考えると、一番手頃かもしれません。

以上のレポートはあくまでも私の所見です。
何より筆に何を求めるのか明確にし、ご自分の感覚に合うものを
探されるのが良いと思いますので、色々購入し試してみて下さい。
実験した筆はいずれも1,000円以下で買えるリーズナブルなもの
ばかりです。

実は私はかなり色々試しています。
結局ダメで、ただ保管してある筆がどれだけあるか…
ちょっと見せられないくらいです。


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トクサ 復活への道

昨年、水はけの悪い土に植えてしまって、根腐れしてしまった
トクサがこのところの暖かさで新芽が出てきました。
慌てて問題の土を除去して、植え替えしました。

掘り返してみて、予想外に根が生きていたことに安心しました。
これなら復活も問題ないかと思います。

2016年に本の制作作業で渇水させてしまい、枯らしてしまった
時には、ほとんど根が残っていませんでした。
それを思えば上々のコンディションです。

初夏になればトクサの苗が園芸店の店頭に出てきますので、空いて
しまった鉢に入れたいと考えています。

トクサは水遣りを欠かさず、ある程度の日差しがあれば土も選ばないし
虫もつかないので、育てやすいと思っていました。
ところが地植えしている方から全く新芽が出て来ないというお話を
聞き、私が知らない何らかの原因があることがわかりました。

何らか情報をお持ちの方は是非お知らせ下さい。
トクサの育て方に悩んでいる方に広めたいと思います。


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吉野紙

現在、漆濾し紙として使われている「美吉野紙」は合成繊維の
紙で、本来は楮を原料とした「吉野紙」が使われていました。

柔紙(やわらかみ)とも呼ばれた吉野紙は、京都の女官たちが
「やわやわ」と呼び、懐紙として好んで使われました。

近年では高級な漆塗りの漆を濾す紙の他、文化財の修理用紙として
使われているそうですが、この紙を漉くのは昆布さんただ1軒と
なってしまっています。

ふっくらと柔らかいだけでなく粘り強い紙は、根気よくチリを取り除く
下準備の成果です。
その手間のかかる作業のせいか、後継者がいないのが悩ましいところ
です。

見た目の美しさだけでなく、後継者がいないという寂しさも手伝うのか
手元に置きたいという方が少なくありません。


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