カテゴリー別アーカイブ: 基本のき

急須の把手穴なし

金繕いのご依頼があった急須の把手の接着です。

最近の教室ですと把手の先が開放になっている形をお持ちに
なる方が多かったのですが、こちらは閉じています。

閉じていると端末の処理がいらないので簡単なようですが、
他に注意するところが出てきます。
ですので同じタイプの金繕いをなさりたい方は、一度教室にお持ち
になり、手順をご確認下さい。

今回のものは依頼品だったので、自分のものとは違う点があります。
一つは仕上げの金属粉です。
一番の選択肢は金ですが、割れの形が斜めだったので目立つのが
気になりました。
また銀ですと硫化した状態がお好みに敵うとは限りません。
よって選択したのがプラチナ泥です。

もう一つはニュウを仕上げたことです。
本透明漆で十分止まっている場合、仕上げはしないのですが、
依頼品なので敢えて仕上げています。
これは状態をご存知でないと、作業半ばに見えてしまうからです。

このように依頼主との距離感で作業の内容が変わります。
頼まれた物を直しているという方は、このところを踏まえて作業
なさるとよいと思います。


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角粉まとめ買い

漆塗りの磨き上げに使う「角粉」をまとめ買いしました。

画像だとアヤシイ白い粉に見えてしまいますが、鹿の角の髄を蒸し焼き
にして粉末にしたものです。
現在、漆芸材料としては入手出来なくなっていますが、他の業界で
使われているものを入手しています。

漆芸材料の「呂色磨き粉」と用途としては同じものなのですが、水を
含ませて磨いて行くと水分が飛んで粉末に戻り、状態の確認のきっかけ
が出来ます。

長く使っていてくもりが出てしまった漆器の光沢戻しにも使えるという
ことでたくさんご要望を頂き、まとめ買いとなりました。
(原一菜先生の教室の方には、購入先をご案内しております。)


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割り箸 使う?

金繕いの材料として割り箸を使いますか?という質問が
ありました。
答えは樹種を選びますとなります。

一般的に割り箸というと「アスペン」というカナダに自生している
広葉樹が多いです。


別名ホワイトポプラというそうで、その名の通り木質は柔らかく、
白くて軽い材です。
何より安価で入手出来るのが魅力かもしれませんが、金繕いでは
使いません。
耐久性に不安があるからです。

割り箸でも他の材ならば使う場合があります。
要するに材質が問題なので、形態が割り箸であっても構わないという
ことです。


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色名は正確に

カルチャーセンターの講座で使用している新うるしの色名を
正確に覚えている方が少ないようです。


※現在は赤ではなく弁柄を使用しています

接着やひび止めに使うのが黄色のチューブの「本透明」です。
こちらを「白漆」と呼ばれる方が多かったのですが、最近は「接着剤」
という方が出てきました。

欠損を埋めるのが「弁柄」です。
こちらは原先生が応用が効くように「赤」と表現されています。
そのため「赤」と覚えている方がほとんどです。

このように色名を間違って覚えいると、購入の際に違うものをお求めに
なってしまう心配があります。

「本透明」は黄色いチューブと覚えていると、他にも黄色のチューブの
色がありますので、違った色をお求めになる方が多いです。
また「白漆」と覚えていると、新うるしに「白」がありますので、
購入先で戸惑われると思います。

「弁柄」は、メーカー側で「濃赤」のチューブに訂正のシールを貼って
流用しています。
そのシールを剥がして「濃赤」をお求めになってしまう方がおられます。
「濃赤」を欠損の埋めに使用しても差し支えありませんが、弁柄とは
全く違う色なので開栓した時の驚きは否めません。

間違った色をお求めになっても、用途を限定すれば使えないことはあり
ませんが、限定を失念して使ってしまっては仕方がありません。
また今までの作業と使用感が変わってしまうのを嫌う方もおられます。

私の講座を受講して下さっている方は、色名が間違っていても確認して
販売しておりますので心配はありません。
原一菜先生のクラスでは販売を承っておりませんので、ご注意下さい。


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トクサを浸す入れ物

セブンカルチャー成田教室のGさんが素敵な物をお持ち
だったので、ご紹介致します。

鶴が丸くなった形の器です。
尾羽の部分の形を見ると、灰皿ではないかと思われます。

この中に水を入れてトクサを浸しておられるのですが、何とも
愛らしい入れ物で、テンションが上がりそうです。

道具と言うと粉鎮のご紹介が多かったのですが、トクサを浸す
入れ物も凝ると作業が楽しくなると思いました。


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ドーナッツ型3つ

器の縁が小さく割れ、破片の周りが欠損した場合の金繕いです。
李英才さんの器で、飯碗として使っているものです。

最初に左が割れ、その後真ん中と右を割ってしまいました。
いずれも小さな破片を回収出来ましたが、周辺が薄く欠損してしまいました。
このような破損の場合、欠損した部分を埋めて仕上げると、ドーナッツ型に
なります。

画像の器の場合、どうしても李英才さんの釉薬を残したかったので、破損通り
ドーナッツ型に仕上げました。
しかしほぼ左右均等に3か所割れている様は「どうでしょう?」という
感じが否めません。

また輪郭線が2重になるので手数が多くなり、仕上げが難しくなります。

このような状態を回避する方法として、破片のある部分も仕上げてしまい、
欠けとして金繕いするという選択肢もあります。

仕上げの仕方は持ち主ご本人の好みで構いません。
お考えをまとめて、ご相談下さい。


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真綿の限界

真綿はどこまで使えるのかとご質問がありましたので、ご説明
したいと思います。

出来れば「ちょっと色がついてしまった」というくらいで、ぬるま湯の
中でほぐすように洗い、そのまま乾燥させれば復活します。

上の画像のようにコテコテに固まったフェルトみたいになってしまうと、
洗っても変化がありません。
処分して新しい物に変えるのをお勧めします。

また購入先ですが、布団店やユザワヤなどで取り扱っている物の場合、
かなりの量が入っていて持て余すと思います。
何人かで購入して分けるのが良いかと思います。

あとは漆芸材料店で販売のものは少量になっていますので、こちらを
探されるのもいいかもしれません。
(私の講座を受講の方には、適当な量で販売しています)


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割れ寸前からの復活

NHK文化センター ユーカリが丘教室のFさんの作品を
ご紹介致します。
全長50cmほどの大型の花器のひびでした。



金繕い完了後からは想像出来ませんが、かなり深刻なひびで、
割れる寸前だったのです。
しっかり養生を行い、綺麗にひびが止まりました。

Fさんご本人は仕上げの線をもう少し細くしたかったそうなのですが、
花器の大きさからすると、これくらいの堂々とした線の方が合うと
思います。

花器自体のダイナミックさに仕上げの良さが加わって、とても格好
いい金繕いになりました。

深刻なひびの場合、よく質問があるのが、割ってしまった方がいい
のではないかということです。
しかしどんなに深刻なひびでも割ることはありません。
というのは割れの接着の方がズレが出る可能性があるので、割らずに
養生をしっかり行うことでぴったり合わせます。

この際の養生の仕方や、合わせ方については、器それぞれで違いが
ありますので教室でご確認下さい。


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入れてはいけない

ひび・ニュウの直しで、手順の間違いが続きました。

本透明漆を薄め液で薄めて作業しますが、これを水で薄めてしまう
方があったのです。
当然ですが、水と本透明漆は混ざりません。

「そんなことがあるはずがない。」と思った方がおられると思い
ますが、毎年数人はいらっしゃいます。
原因は薄めるといえば水という固定概念によるものだと考えています。

対策は作業前に手順をノートなりレジメで確認して頂くことに尽きると
思います。
日常行っていることと同じように手順を覚えてしまわない限り、何らかの
思い込みによる間違いがつきまとうものです。

誰しも記憶が正確とは限りません。
ご面倒でも手順を確認してから、作業を始めて下さるようお願いします。


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筆が短くなる?

新うるしの含みが悪く、長い線が描けないとご相談を
受けました。

原因は穂先の根元に新うるしの塊が出来てしまったことでした。
その結果、新うるしを含む穂先が短くなってしまったのです。

これは洗い方が足りないことに理由があります。
使用後、薄め液で洗浄し、穂先の中まで中性洗剤を含ませて洗わないと
このような状態になります。

但し筆を購入し直す必要はありません。
洗い用の薄め液に15分以上浸し、中性洗剤でしっかり洗い直せば
塊はなくなります。
もし穂先が広がってしまうようならお湯の中で泳がすようにすすぎ、
整えれば復活します。

出来れば毎回の使用時の洗浄で問題ないようにするのが得策です。
道具のコンディションが悪いばかりに、いい仕上げが出来ないのは
残念過ぎます。


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