カテゴリー別アーカイブ: 基本のき

トクサの刈り取り2023

自宅ベランダで育てているトクサの刈り取りを行いました。
このところの暖かさで新芽が出てきた鉢があった上、寒さ
焼けで赤茶色になっていたのが緑色に戻ってきていたからです。

刈り取ったことがある方はご存知かと思いますが、刈り取り直後の
トクサはかなり水分を含んでいます。
ハサミを入れた瞬間、水がほとばしるくらいです。
ですので私は束ねず平に広げて干しています。


刈り取った後の鉢です。
私は稲刈りのように根本から切っています。
というのもある程度の長さを残したとしても、そこから再び伸びる
ことはなく、新しい場所から新芽が出るからです。

刈り取ったものは1週間も干せば道具となります。
(色は作業に関係ありません。枯れ色にならなくても結構です。)
育てている方は今週末にでもチャレンジしてみては如何でしょうか。


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馴染んで目立たず

藤那海工房 金繕い教室のKさんの作品をご紹介します。
お抹茶茶碗の縁の欠けです。


紫味のある釉薬が個性的な抹茶茶碗です。
縁が点々と複数箇所欠けてしまっていました。

埋めるのは問題なく作業を進められたのですが、問題は仕上げ
でした。
欠けがかなりの数ありましたので、目立つ色で仕上げると落ち着かない
感じになってしまいます。

Kさんとお話しして最終的に選ばれたのが硫化した銀箔でした。
これが絶妙に釉薬に合って目立たないのです。
Kさんは最適解を選ばれました。

金繕いは使用上の注意のためにも欠損部分を目立たせるという考え方も
ありますが、器の見場を考えると目立たないということも重要になる
場合があります。

ご自分がどうしたいのかを考えて仕上げはお選び下さい。


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渋い

先日に引き続き藤那海工房 金繕い教室のKさんが銀泥で仕上げ
して渋く硫化した自身の作品をお持ち下さいました。



よくどのくらいで硫化しますか?と質問を受けるのですが、冗談
を交えて「神のみぞ知るです。」とお答えしています。
というのもご自宅の空間内にどのくらい硫化する要素(硫黄)が
あるかによって変わってしまうのです。

早い方だと数週間で変化がありますし、遅い方だと年単位で変化が
ありません。

一般的にご家庭だと界面活性剤やクリーニング溶液で変化が促される
ようです。
少なくとも仕舞い込まず、お使いになっていた方が進むと言えます。

経年変化が楽しめる銀泥は、たくさんの方を魅了しています。


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桜の花びら

NHK文化センター千葉教室に在籍されていたSさんの作品をご紹介致します。
カリキュラムで制作された蛤貝に金箔を貼った「貝合わせ」に桜の花びら
を漆絵で描かれました。

金箔を貼ったところに何か絵を描いてみたいと思われた時、悩むのは画題
かと思います。
そういう場合におすすめしているのは、やはりカリキュラムでご経験のある
桜の花びらです。

東京オリンピックの聖火トーチでも5弁の桜を形取っていたように、日本人は
桜に思い入れがあります。
それ以外に桜が重要なことは教室でご説明している通りです。

Sさんの作品は桜の花びらを色を変えてレイアウトされた基本に忠実な作品
です。
ただ花びらと言えない魅力がご覧頂けると思います。

絵心がないと尻込みせず、まずは桜の花びらで貝絵にチャレンジしてみませんか?
きっと新しい世界が待っています。


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ティーポット取手補強

NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの作品を
ご紹介致します。
ティーポットの取手が割れてしまったのを補強して仕上げられました。


白とピンクのツートンで楽しいデザインのティーポットです。
取手がいくつかのパーツに割れてしまっていました。

接着後、取手の内側から補強し、熱い飲み物を入れて耐えられる
強度にして頂きました。

ポット部分に多数ひびが入っていたのも、同時に金繕いされて
います。

ティーポットの他、マグカップなど取手が割れた場合には補強を
お勧めしています。
熱い飲み物が入る器は何より安全性が第一と考えるからです。

補強にはそれ相応の手間がかかるので、お考え次第によっては気をつけて
使うので補強は不要という方もおられます。

しかしOさんの作品のように補強が入っているとわかりにくくデザインに
見えてしまう方法もありますので、安全のために是非補強をご検討
頂ければと思います。


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お月様

金繕いのご依頼を受けていた小鉢が完成しましたので、ご紹介
致します。


縁の部分にある薄く削げた破片をご自身で接着剤で接着されて
しばらくお使いになっていたそうなのですが、欠けからのびる
ひびに色が入って来てしまい、金繕いをご依頼頂きました。

ひびの汚れは油シミになっていたのを様々な薬品で根気よく
除去しました。
接着剤で接着してしまった破片は剥離しようとすると破損してしまう
ので、あえて外さず別の方法で固定しました。

綺麗になったひびは止めてありますが、目立たなくしてあります。
破片の周りの欠損は丁寧に埋めて金泥で仕上げました。

プラスしたのが染付の柄が繋がるように銀泥の仕上げを足した
ことです。
これは度々ご紹介していますが、硫化すると染付の色と違和感なく
融合する予定です。

ご依頼下さった方はこの仕上がりを「お月様のよう」と喜んで下さい
ました。

実は今回のようにHPのコンタクトから金繕いのご依頼があった場合は、
まずお断りしています。
これは過去に極端な短納期を強いられたり、金繕い代金を安価にする
ように迫られたりした苦い経験から行なっていることです。

なぜ今回お受けしたかというと、頂いたメールにインスピレーションを
感じたからに他なりません。

ご本人様からお許しを頂いてSNSの文章をご紹介致します。
このように喜んで頂けるからこそ仕事を続けていけるのです。

https://note.com/kyo_coco/n/nde1fdb7740a8


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ハンダの直し

骨董店で購入した器を教室にお持ちになって、改めて金繕いしたいと
おっしゃる方は多くおられます。
その内、欠けの直しから出てきたものをご提供頂きました。

一体、これは何かと思われるのではないでしょうか。
正体はハンダです。

骨董店では商品を早く捌くことは大きな命題です。
仕事である以上、それが大切なことは理解出来ます。
しかしそれが体に良くないもので出来ていたら、どうでしょうか。

ご存知の方も多いと思いますが、ハンダの成分は鉛です。
鉛が人間の体に悪影響を及ぼすことは良く知られていることだと
思います。

早く販売するために食材が盛られる器にハンダを使用するのを厭わない
業者さんがおられるのは嘆かわしいことです。

購入する側で気を付けて気に入った器を手に入れるしかありません。
もしハンダだとわかった場合には早急に対処なされて下さい。


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たくさんの欠け

NHK学園市川オープンスクールの方の作品をご紹介致します。
陶器のお皿の縁がたくさん欠けてしまっていました。

柔らかい質の陶器の場合、縁がたくさん欠けてしまうのは、よくある
ことです。
まずは1箇所づつ丁寧に欠損を埋めますが、問題は仕上げです。

欠けがたくさんある場合、金で仕上げると悪目立ちすることがあります。
ご紹介のお皿の場合は銀泥で仕上げられました。
縁に濃い釉薬の色がありますので、銀泥が硫化していくと、いい感じに
馴染む予定です。
お皿全体の感じとしても合うと思います。

縁にたくさん欠けがある器を金繕い中の方は参考になさって下さい。


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コルク栓の筆置き

先日、牛乳パックを利用した筆置きをご紹介しましたが、今回は
ワインのコルク栓を利用したものです。
考案は産経学園ユーカリが丘校のMさんです。

コルク栓を半分に切ったシンプルなものです。
しかし処分してしまう物を利用したという意味ではSDGsと言えるのでは
ないでしょうか。

金繕いの教室に来て下さる方は皆様アイディアが豊富です。
これはというものがありましたら、是非ご紹介下さい。


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底が抜ける

金繕いの教室を受講の方がお持ちになられた大鉢です。
底が抜けてしまっていました。


骨董の器ですと完全に底が抜けなくても高台に沿うようにひびが
入るケースは珍しくありません。

厚みが変化しているところで破損していることから、技術的な未成熟さ
という骨董特有の問題が考えられます。

また使っている方が重ねて収納していることで破損を誘発していることも
原因かもしれません。

原因がなんであれ、このような状態でも金繕いは可能です。
破損状態に臆せず、チャレンジして下さい。


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