カテゴリー別アーカイブ: 骨董

ハンダの直し

骨董店で購入した器を教室にお持ちになって、改めて金繕いしたいと
おっしゃる方は多くおられます。
その内、欠けの直しから出てきたものをご提供頂きました。

一体、これは何かと思われるのではないでしょうか。
正体はハンダです。

骨董店では商品を早く捌くことは大きな命題です。
仕事である以上、それが大切なことは理解出来ます。
しかしそれが体に良くないもので出来ていたら、どうでしょうか。

ご存知の方も多いと思いますが、ハンダの成分は鉛です。
鉛が人間の体に悪影響を及ぼすことは良く知られていることだと
思います。

早く販売するために食材が盛られる器にハンダを使用するのを厭わない
業者さんがおられるのは嘆かわしいことです。

購入する側で気を付けて気に入った器を手に入れるしかありません。
もしハンダだとわかった場合には早急に対処なされて下さい。


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著名盆栽鉢の金繕い

個展開催前に盆栽鉢の金繕いを納品していました。
いずれも著名な作なので持ち主の方に了解を得て、ご紹介しようと
思います。

まずは徳川家に繋がる四国の藩主の方の持ち物だった楕円型の鉢です。
ひびが2本と破片の接着を行いました。

破片は一度接着剤で接着されていたのですが、これがズレていました。
これを剥離し、接着し直して欠損を埋めて金泥で仕上げてあります。

名工ではなく素人の作ではないかという鉢の鄙びた味わいと金泥が呼応して
見所になったのではないかと思います。

次は葛明祥の大型の楕円型の盆栽鉢です。
ひびが入っていたのを止め直し、金泥で仕上げました。

葛明祥は、清朝乾隆・嘉慶年間(1736年-1820年)に活躍した宜興窯の陶工
です。
濃い青の特徴的な流れや濃淡のある海鼠(なまこ)釉の陶器を製作しました。
「葛明祥造」の印が底にある盆栽の盆や鉢、急須、花瓶、火鉢などが造られて
います。

こちらもご自身で接着剤を流し込み、パテで溝を埋められていました。
しかし接着剤は全くひびに入っておらず、パテも劣化してボロボロになって
いました。

2つ共、歴史のある盆栽鉢なので、金繕いの際の注意点として汚れを落とさない
ようにということがありました。
あらゆる手段を使って経年の味わいを残しましたが、持ち主の方がひびを止める
ため接着剤を流し込んだ際に剥がれてしまった物は元に戻すことは出来ません
でした。

金繕いというと食器のイメージが強いと思いますが、同じ陶磁器である鉢も修復
可能です。


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瓔珞紋

工程の説明に使っているなます皿です。
この柄は何の柄ですか?と質問を頂きました。

これは「瓔珞紋」と言います。
説明を「古伊万里の文様」(著:大橋康二 理工学社)より引用します。

瓔珞とは珠玉や金銀の加工品を編んで、頭・首・胸にかける装身具の
ことであり、仏像や寺院内の天蓋などに下げて飾った。
また、もとインドの貴族階級の人々が身を飾ったもの。

中国磁器では元の白磁仏像にビーズ状の玉をつないだ例があるが、
明時代の染付にも描かれ、特に明末の芙蓉手大皿や呉須赤絵などに
瓔珞文を描いた例が多い。

何となく繊細で女性好みの柄だとは思っていたのですが、改めて
調べてみて納得しました。
アクセサリーが元になっていたからなのですね。

この皿は薄手で縁が輪花になっているところも柄と合っています。


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世田谷ボロ市2016

今年も原一菜先生の引率で世田谷ボロ市に行ってきました。

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通りは人が多く、盛況の様子です。

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今回は陶磁器はあまり購入せず、漆器の皿2点。

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実はメインの狙いは硯と墨でした。
硯は原先生のお見立てで、中国・端渓のものをGet!
墨はなぜ使いかけのものを?と思われるかもしれませんね。
実は墨は作られた直後より20年以上経過したものの方が良いのです。
手前に写っている古梅園のものなどは、小学生レベル用として
生産されたものですが、年月が経ったことで質が良くなって
います。

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少々変わったものが、こちらの携帯用の硯です。
大きさは横5cm×縦8cm×厚さ6mm。
材質は日本の那智石です。
このサイズにするのには石のクオリティがないと出来ないという
ことで、珍しさだけではない価値があります。

充実のボロ市探索となりました。


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どこから来た?

私の家の雰囲気に合うのでは?と原一菜(いちな)先生から頂戴
した花器です。

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実は骨董店から購入した品々に混ざっていたものなのだそうで、
出自がわかっていません。
たまたま先生が花器として使っていただけで、本来は花器では
ないようです。
先生の推察では東南アジア圏製の調味料保存瓶ではないかという
ことです。

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確かに胴に描かれている花の絵が、ヨーロッパ風です。

もし何かご存知の方がおられましたら、情報お寄せ下さい。


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ニベ 入手しました

少し前にNHK文化センター横浜教室で話題になりました「ニベ」
を入手しました。

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ニベとはスズキ科の魚で、これの浮き袋を煮出すと、強力な接着材を
作ることが出来ます。
(画像は浮き袋を乾燥させたもの)
江戸時代には弓の制作に使われていたくらいです。

「にべもない」のにべはこの接着剤を指し、意味は接着力の薄い、
すなわち愛嬌、愛想もないという意味になりました。

ニベ=イシモチと思っていたのですが、今回調べ直してみて、勘違いと
わかりました。

接着剤のニベを作るニベは、ホンニベとも言い、練り製品の加工材料にも
なります。
イシモチと呼ばれる魚はシログチで、関東では両方を混同しているケースが
あるようです。

それにしてもニベの浮き袋が強力な接着剤になると結論つけられるまで、
どれだけの試行錯誤があったのでしょうか?
そもそもそれにたどり着いたのは、どのような経緯があったのでしょうか?

動物から作る膠は世界中で存在しますが、ニベという魚の浮き袋から
接着剤を作るというのは、いかにも海に囲まれた日本ならではという
気がします。


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世田谷ボロ市2015.1月

例年12月に行っている世田谷ボロ市ですが、スケジュールの都合で
行けず、1月の回が開催された今日、足を運んでみました。
しかし雨、風とも強い荒天。
16時くらいに着いたのですが、ほとんどの店が畳んでしまって
いました。
それでも開いていた数店の中から、修復が出来る器を購入して
きました。

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3点とも欠けやヒビがあり、それぞれ200円と格安です。
たまたま全て紙型印判ですが、いずれも柄が緻密で綺麗なので選びました。

まずは汚れを取って、修復にかかります。
何かの参考になるようであれば、教室にお持ちするかもしれません。

世田谷ボロ市の1月の回は、明日も開催されます。
明日は天候が回復するようですので、興味のある方はお出かけ下さい。


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半衿

半衿とは襦袢につける替衿であることは、皆様ご存知と
思います。
画像の品は、やはり先日の世田谷ボロ市で購入したものです。

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花嫁衣装として使われたものの半衿と思われ、豪華な鶴の刺繍が
施されています。
原一菜(いちな)先生のお見立てで、先生とシェアして購入しました。
そう、これも半衿としてではなく、袱紗に仕立て直そうという計画です。

半衿の下に写っているのが、この秋に生藍染めをした生地です。
別の布に半衿をパッチワークして、生藍染めに生地に合わせる予定です。

白く抜くのに失敗した絞り染めの部分に、刺繍を依頼しなければなり
ませんので、完成にはまだまだ時間がかかりそうですが、この半衿に
出会えたことで完成予定図が見えてきました。


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世田谷ボロ市2013 結果報告3

世田谷ボロ市の結果報告最終回です。
いよいよ失敗篇です。
あまりの失敗に情けなくて、結構落ち込みました。

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蕎麦猪口です。
両方とも江戸時代のもの、という触れ込みだったのですが、近年作の
偽物と原一菜(いちな)先生の鑑定でわかりました。

時間がなくて慌てていたとか、直しをした時に素敵に見える物
という邪心があった…などなど言い訳はあるのですが、落ち着いて見て
みれば、なんで気がつかなかったのかというくらいアヤシイものでした。

結局は自分の勉強が足りなかった、ということなのです。
よい反省材料とすることにしました。

しかしまだ落ち込んでいるので、値段をアップしないことを
ご容赦下さい。
今回購入した物の中で一番高額だったのです。(涙)


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世田谷ボロ市2013 結果報告2

昨日に続き、ボロ市の結果報告です。
今回は、まあまあ篇です。

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3寸皿です。それぞれ¥500。
左がたこ唐草、右が花唐草です。
いずれも欠け、ヒビがあります。

問題は、時代が微妙なところです。
救いは偽物ではない、ということでしょうか。

 


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