カテゴリー別アーカイブ: 日本の文化
喪中の際の依代
門松は歳神様をお迎えする際の目印(依代)ですが、喪中の際
には太田流礼法では「葉牡丹」をお勧めしています。
葉牡丹は葉牡丹でも色は白に限られます。
姿は鉢植えで構いません。
これは決まりではありませんが、私は植木鉢に白い紙を掛けて、
水引を結んでいます。
水引は双銀。
結びは喪中に相応しい結びを選択しました。
門松ですと松の内を過ぎても飾っているのは気になりますが、
葉牡丹ですとあまり気にならないので「どんと焼き」まで
飾っておこうと思います。
喪中の場合どうするの?と疑問に思っていた方は参考になさって
下さい。
年末に行っている「年迎え 門松・屠蘇 特別講座」では、この
ようなお正月の行事やしつらえについてお話ししています。
興味を持たれた方は参加してくださると嬉しいです。
実は日本発祥
今や珍しくない店名など広告の入ったペーパーナプキンですが、
日本発祥だということをご存知でしょうか。
以前のブログでも書きましたが、明治期に和紙は盛んに海外に輸出
されていました。
薄葉紙と言われる宝石などの貴重品を包む紙やタイプライター用紙
など薄くて丈夫な和紙が世界中で重宝されたのです。
ペーパーナプキンはその薄い紙を作れる技術と浮世絵などの印刷技術が
合体して作られたものなのです。
画像は横浜山手西洋館で最大規模を誇るベーリック・ホールに展示されて
いるものです。
建築主であるベーリック氏の会社名がはっきり印刷されています。
デザイン全体は洋風ですが、よく見ると描かれている花が菊だったりして
和を感じる内容になっています。
海外でオークションに出ていたものを、たまたまベーリック・ホールに
所縁のある方が見つけてベーリック・ホールに寄贈したと聞いています。
和紙輸出の隆盛も現在主流のパルプ紙が開発されると一気に下火になります。
明治35年くらいには全く逆転してしまい、日本はパルプ紙の輸入国になって
しまいます。
実は実父の実家は江戸時代に横浜・保土ヶ谷で今でいう旅館業を営んで
いました。
それが明治維新で宿場町の制度が廃止になり、仕事を変えざるを得なく
なります。
最初は名刺の印刷業を始め、パルプ紙の輸入が始まった頃に洋紙の輸入業に
携わります。
この辺りの出来事はこの頃の立身出世物語のような激動があったのでは
ないかと想像しますが、今ではそれを知る親戚は皆、鬼籍に入ってしまい
ました。
もっと興味を持って聞いておけば良かったと残念に思っています。
菊の御紋ではない
先日のブログで紋様を使うことは紋様の力をもらうこと、という
記事を書きました。
今回はその紋様繋がりで、横浜山手西洋館の一つ、ベーリックホール
から紋様をご紹介致します。
建築主のベリック氏の執務室でもあったと言われるリビングルームの
暖炉にあるレリーフです。
これをご覧になった見学者の方から「菊の御紋がある。日本の皇室と
関係があるのでは?」との感想が多く聞かれます。
しかしこれは菊の御紋ではありません。
西洋建築ではよくみられる「ロゼッタ紋様」といいます。
「ロゼッタ」というと薔薇をイメージされるかと思いますが、薔薇に限定
されたものではなく「お花模様」と訳すのが適当かと思われます。
ちなみに皇室の菊の御紋の元になった菊は一般によく見る種類の菊では
ありません。
しかし一目で菊の御紋に通じる形をしています。
紋様の成り立ちはとても興味深く、世界を旅して日本にたどり着いて
いるケースもあります。
まだまだ勉強中ですが、さらに知識を深めたいと思っています。
雛飾り2022
釈迦結び
昨今、水引が工芸として人気ですが、本来は贈答の礼の為の物です。
不祝儀ではありますが、太田流の美しい水引をご紹介します。
笹銀という銀1本、黄緑4本の水引で結ばれたもので、「釈迦結び」と
言います。
折紙はこの釈迦結びに合わせて考案されたもので、ある植物を表しています。
釈迦結びは誰が、いつ考案したのかハッキリしており、「逆あわび」とか
「じゃこあげ結び」という名称が誤りだということがわかります。
贈答の包みは自分の気持ちを伝える役割も担っています。
この包みで私の気持ちが届いていることを願って止みません。
門松の行方
歳神様の依代として飾った門松ですが、私は7日に外しました。
その後ですが太田流礼法では15日のどんと焼き(左義長)で処分
するのをお勧めしています。
現代では神社仏閣ではお引き取りを行なっていないところも多くなりました
ので、白い清浄な紙に包んで「燃えるゴミ」に出されても構いません。
要するに火で処分することに意味があるのですが、この辺りの意味は「門松・
屠蘇」の講座にご参加頂けるとお話ししております。
お正月にちなんだ行事も終わりです。
そろそろ新年のご挨拶も終わりのようです。
2022年 屠蘇
今年のお正月も自ら調合したお屠蘇を楽しみました。
我が家では屠蘇器ではなく、片口の器で抽出しています。
包みがティーバッグ状になっているので、浸しておくのが簡単なのが
便利です。
甘党の私は味醂一辺倒ですが、水やお酒でも構いません。
門松・屠蘇の特別講座ですが、屠蘇の来歴や本来の楽しみ方など
ご説明しております。
お聞き頂くことで、ご自身で調合した屠蘇が更に美味しくなるのでは
ないでしょうか?
3種類の味を堪能して三が日が終了しました。
来年も穏やかなお正月が来ることを願って止みません。
2022年 門松
昨年末に行った門松・屠蘇の特別講座にはたくさんの方にご参加
頂き、ありがとうございました。
年末には門松を飾って頂き、年明けからお屠蘇を召し上がって
いらっしゃることと思います。
我が家はマンションですが、門扉がありますので門松の取り付けは門扉に
紐で結んでいます。
ご覧のようにお教えしているのは2種類の根引きの松に紙を掛け水引を
結んだ正式な門松です。
これに加えてお屠蘇をお好みの味で調合する他、本来のお正月の迎え方とは
どういうものなのかを学んで頂けます。
また年末にご案内致しますので、ご興味を持たれましたらご参加をご検討下さい。
一度受講された方には門松のみの販売もしております。
宝瓶型急須のひび
NHK学園市川オープンスクールのFさんの作品をご紹介致します。
萩焼の宝瓶型の急須のひびです。
お父様から受け継がれた急須はいい色合いに変化しています。
そこに金泥の仕上げが映えているかと思います。
代々受け継がれた器を金繕いして引き継ぐというのは、まさに金繕い
ならではのお話しです。
先般、終了したパラリンピックの閉会式でアンドリュー・パーソンズ
国際パラリンピック委員会会長が金継ぎに言及されました。
「誰もが持つ不完全さを受け入れ、隠すのではなく大事にしようという
考え方です。」
パラリンピックの多様性の調和というテーマに合わせたスピーチですが、
金繕い(金継ぎ)を取り上げられたことを大変嬉しく思っております。
Fさんの作品を見て頂いて、金繕い(金継ぎ)に興味を持って頂けたら
嬉しいです。
羽箒を作る
もう6月のことになるのですが、師の原一菜先生の特別講座『香道具・
羽箒を作る』に参加して自作の羽箒を制作しました。
大きな羽箒は茶道の炭手前で使うものです。
鮮やかな青と黄色の羽は貴重なコンゴウインコのものです。
小さいサイズのものは香道で使うものです。
上の水玉模様の羽はホロホロ鳥、下の緑が鮮やかな羽は孔雀です。
1点はお世話になっている方にお礼として差し上げました。
これを使う機会が特定されている訳ではないのですが、鳥の羽を初めて
扱ってみて装飾に使われる理由を実感しました。
自分で作ったものを所有しているだけで嬉しくなってしまい、それぞれが
入る箱を桐箱店で誂えてしまいました。