カテゴリー別アーカイブ: 基本のき

急須の補強

大宮教室Iさんの作品を、ご紹介致します。
急須の注ぎ口の補強をして頂きました。

華奢な注ぎ口が、折れてしまっていました。
これを接着しただけでは、使用上の不安が残ります。
皆様ご経験があると思いますが、突出している部分はぶつけやすい
からです。
そこで接着したあと補強し、仕上げをして頂きました。

Iさんは仕上がりがどのようになるのかご不安だったようですが、
完成してみてビックリ!
見違える姿に喜んで頂きました。

このブログで何度もお話しているように、銀はこのあと硫化して
いきます。
本体のマットブラックの釉薬に馴染んでくるでしょう。


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筆の洗い方•保管方法

金繕いの教室で、よくある質問のひとつが筆についてです。
洗い方ですが、まず薄め液で漆を落としたあと、中性洗剤でしっかり
洗います。
この時のポイントは、洗剤の泡を穂先に含ませるように揉み込む
こと。
引っ張ったり、折ったりすると、穂先が 少なくなる原因になります。

その後濡れている内に穂先を整え、サックに入れます。
筆立てに立てて乾燥させれば、完了です。

サックは筆にもともと付いていたものを使うのがbestですが、
無くしてしまった場合には、ストローやビニールチューブで
代用します。

穂先を大切に扱うのが肝心ですから、持ち運ぶ際にも注意し、
曲がったり、乱れたりしないようにしましょう。

メジャーリーグのイチロー選手ではありませんが、道具の
コンディションは、美しい仕上がりの第1歩です。


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トクサ

トクサは、漢字で「砥草」「十草」「木賊」と書きます。
スギナの仲間で、非常に繁殖力が強く、水さえ十分に与えれば
虫害に合うこともありません。

金繕いの教室でご提供しているトクサは、このように育てています。
(何度も植え替えしているので、根があちこちに向いてしまい、
真っ直ぐ伸びなくなってしまったところが残念です。)

11月から翌年2月くらいまでが、刈り取り時ですが、私は年末には
刈り取る予定です。

よくご質問を受けるのが、生えている状態で枯れた先を道具として
使えるかということです。

このような状態ですね。
これは残念ながら使えないのです。
実際使って頂ければわかるのですが、脆く崩れてしまったり、
まったく削れなかったりと用を成しません。

使えたら乾燥の手間がかからなくてよいのですが、やはり楽して得られる
物はない、ということでしょうか。

刈り取って1週間も天日に干せば使えるようになりますので、是非
ひと手間かけてみて下さい。

 


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接着のコツ

接着は金繕いの技術の中でも、悩まれる方が多い技術です。
ご紹介する画像は私が修復を依頼されている器ですが、
接着後 数日しか経っていません。

画像を見ただけでわかるコツがあります。
接着を何度かなさっている方なら、気づかれたのではないでしょうか?

正解は教室で!


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割る? 割らない?

割れてしまいそうな深刻なヒビの場合、いっそ割ってしまった方が
いいのでは?とご相談を受けます。
このような深刻な状況であったとしても、割らずにヒビとして
修復しますとお答えしています。
金繕いの工程としてはヒビの作業の方が容易ですし、養生を工夫
すれば問題ありません。

どうぞ無理して割らずに、そのまま教室にお持ち下さい。
初心者の内はご自身で判断されるより、まずご相談頂ければ
幸いです。


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簡易ムロ

金繕い教室の教材としてお出ししている「新うるし」は、
ムロと呼ばれる環境に置かなくても硬化する漆です。
しかし冬の低温低湿では、明らかに硬化が遅くなります。
一般家庭では専門家のようにムロを設えることは難しいですが、
プラスチックケース、タッパ、水切りかごを利用して簡易な
ムロを作ってみましょう。

器を桟で高上げし底に濡らした布を置けば、適当な環境が得られます。
ただし長期間入れっぱなしにすると、カビが発生するなど不衛生に
なりがちです。
適宜ケース内を洗浄して下さい。

またここまでの物を作らなくても紙箱に入れ、テレビの側など暖かい環境に
置くだけでも違います。
(ほこり除けにもなります。)

ところで電子レンジにかけたら乾燥するか?というお問い合わせを頂き
ましたが、新うるしに関して検証しておりませんので、なさらないよう
お願い致します。


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金繕い? 金継ぎ?

私共一菜会では、お教えしている陶磁器の修復を“金繕い”と
称しております。
これは古い時代から使われている言葉であり、正式名称と考えて
いるからです。

“金継ぎ”と称している場合もありますが、これは近代の名称と
思われます。

言葉は違いますが、同じ陶磁器の修復であることに変わりはありません。


本阿弥光悦 赤楽茶碗 銘 雪峰


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窯キズ

柏教室で10月期から受講して下さっている方がお持ちになった
角皿です。
セミプロの方が作られた物だそうですが、窯キズが入っています。
(窯キズとは…焼成中に出来た疵のこと)

窯キズは人が意図して作れるものではない“神のなせる技”として
尊重し、疵跡がわかるように直していきます。
ホツレや、ニュウ•ヒビの直しとは違う、独特な技法で修復します。

陶芸をなさっている受講者の方もたくさんおいでになりますが、この
ような窯キズの修復も是非チャレンジして頂きたいと思います。


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洋食器もOK!

金繕いというと、和食器のイメージが強いと思いますが、技術的には
全く変わりがありませんので、同じように修復出来ます。

現在修復のご依頼を受けている物ですが、問題なく修復出来ます。
ただ仕上げは違和感のないように工夫しています。

講座にご参加の際には、和洋こだわらずお持ち下さい。


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大丈夫です

10月から新規受講して下さっている方から、ご質問がありました。
同じ悩みをお持ちの方が他にもいらっしゃるのではないかと
考えましたので、ブログでもご紹介しようと思います。

第2回になる今月のカリキュラムは「ヒビ•ニュウを止める」でした。
お持ち帰りになる際、まだ乾いていない漆の養生の為にラップを
かけて頂きましたが、それを取る際に漆が剥がれてしまったと
心配なされてのご質問でした。

答えは…大丈夫です。問題ありません。
作業して頂いた漆はヒビ•ニュウに入っていればいいので、表面の
漆の状態は関係ないのです。
ですので“宿題”としてお願い致しました作業を、そのままお続け下さい。

金繕いの途中段階は美しくありません。
始められたばかりの方にすれば、失敗してしまったのではとご心配に
なるのももっともな状態です。
しかし完成が近くなりますと、霧が晴れるように綺麗になります。
どうぞご心配なく!

もし迷われるようでしたら、無理に手をつけず、そのままお教室に
お持ち下さい。


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