月別アーカイブ: 2019年6月
藍 順調2019
今月半ばに分植した藍が順調に育っています。
後から蒔いた分も高さ10cm程に育ったので今日、植え替えしました。
計8株です。
台風の時は屋内に取り込むという過保護っぷりですが、とにかく大きく
育ってくれることを祈っています。
変形してズレる
NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの作品をご紹介
致します。
骨董のお皿で、大きくひびが入ったものです。
ご友人が電子レンジにかけてしまってひびが入ったと金繕いを
依頼されたものです。
きっかけは電子レンジかもしれませんが、骨董の場合、素地の素性、焼成の
技術などに原因があることが考えられます。
証左はひびの入り方です。
通常のぶつけてしまったり、落としてしまったものとは違い、高台を取り
囲むように入っています。
また破損が入った時点で変形し、ひびがぴったり合わなくなっていました。
このような状態では色々対処しなければならないことがありますので、一度
教室にお持ちになり、手順をご確認下さい。
他にTさんがお持ちになったものです。
このあたりの金繕いは難なくこなされていますが、特にマグカップの大きな
欠けはとても綺麗に仕上がっています。
Tさんは以前は仕上げのクオリティーに悩まれていましたが、熱心な創意工夫で
この出来栄えです。
やはり努力は裏切らないということなのだと思います。
かわいい置物
NHK文化センター柏教室のUさんの作品をご紹介致します。
山羊の置物です。
ざっくりとした陶器製で耳と角の先端が欠けてしまっていました。
形をしっかり戻した後、特殊色の銀泥で仕上げて頂きました。
色が元々の釉薬の色と合っているので、一見どこが欠けたかわからない
と思います。
可愛さを損なわない、この対応が正解だと考えています。
特殊色の銀泥は色々あります。
後々の問題があるものもありますので、ご自分で購入を判断せず、
まずは教室でご相談下さい。
金箔貼り扉
金繕いとは陶磁器の修復の他、漆器、ガラス器の修復がメイン
ですが、変わったご依頼も多々あります。
先日お返ししたのは箪笥の引き戸の金箔貼りでした。
枠は黒檀で真ん中の部分が絹本貼りになっています。
そこに金箔が貼られていたのが経年劣化で見栄えが悪くなった
ので、貼り直したいというご依頼でした。
金箔貼りというと貝合わせの延長のようですが、絹本に平滑に貼る
となると膠で貼るので日本画の技法の方が近くなります。
お陰様で講師歴も13年を迎えますと、それなりに経験値も上がりまして、
金繕いの範疇以外のことでもお答え出来るようになりました。
このような出会いも楽しみたいと思っておりますので、違う分野かも
というようなものでも、まずはご相談下さい。
前向きに検討させて頂きます。
大きく不定形
NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
マグカップ縁の欠けですが、大きく不定形でした。
仕上げの形については色々ご相談しましたが、結局元の形通りに
仕上げることになりました。
それにあたっては特殊な道具を使って頂きました。
結果、大変きれいな仕上げになっています。
不思議な形に欠けてしまった場合、器の中にある柄から選んで蒔絵
するのが常套手段ですが、欠損通りに仕上げるのも正統派と考えます。
そういう意味でAさんの仕上げは成功例となりました。
大きく不定形の形の欠損を金繕いされている方には、とても参考に
なるかと思います。
預かり証のススメ
金繕いの講座を長く受講して下さっていると、ご家族、ご友人からの
依頼を引き受けることがあるかと思います。
そのお相手がご自身と縁遠い場合には、預かり証を発行されることを
お勧め致します。
というのも最近、私自身がトラブルに巻き込まれたからです。
器をお預かりした方は社会的にも地位がある方で、お預かりするのも2度目
だったことから、すっかり安心しており、預かり証を発行せず請け負って
しまいました。
全ての原因はここにあるのですが、お預かりした翌月から頻繁に催促のメール
が入りました。
それは預けたご本人が預けた日を半年前だと勘違いし、「もう1年近く預けて
いるのにまだ返してもらえない。」と考えていたからです。
加えてお預かりした際に私が「お聞きしていたより軽傷ですね。」と言った
言葉尻を押さえられて、金繕い代金も値切られてしまいました。
真摯に金繕いの作業をされている方に同じような思いをさせたくありません。
書式についてご質問のある方は遠慮なくお問い合わせ下さい。
飾り物の仕上げ
JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室のSさんの作品をご紹介
致します。
たくさん仕上げられたのですが、まずは置物の仕上げです。
くちばしと羽の先が破損していました。
くちばしは新うるしの弁柄と色が合っていたので、欠損を埋めたままにされ
ました。
羽の先は銀泥で、硫化すれば体の色と同じようになるはずです。
先般のブログで飾り皿の金繕いをご紹介しましたが、Sさんの作品のように
具象の置物でも同様に金繕いが可能です。
酒器、小鉢、湯のみなど、まだまだたくさん仕上げて来られました。
Sさんは手作業がお得意な上、自宅でもしっかり作業して来られるので、
このような成果が上がりました。
欠けの仕上げに刷毛目が出てしまうこと、ひびや割れの仕上げの線が
太めなことが今後の課題です。
さらなるレベルアップを期待しています。
茶入れの仕上げ
NHK学園市川オープンスクールのKさんの作品をご紹介致します。
まずは茶入れです。
口縁周りが割れ、ひびが伸びていました。
接着後、欠損を埋め、金泥で仕上げられました。
ぐるっと円弧を描いた仕上げの線がとても綺麗です。
仕上げの線が景色になるという好例ではないでしょうか。
茶入れのように口がすぼまった物、例えば徳利、一輪挿しなどのような形態
の場合、欠損を埋める〜仕上げるという作業が内側については出来ない
場合があります。
このような時は、あえて何もしないという選択をする場合があります。
Kさんの茶入れの場合、欠損は出来うる限り埋めて頂きましたが、筆が届き
にくい内部の仕上げはしてありません。
このあたりの判断は迷われるところだと思いますので、適宜ご相談下さい。
もう一点、中皿の接着です。
割れと縁の欠けがありました。
仕上げは数度に分けてされているのですが、痕跡は全くありません。
地塗りも完璧なので、刷毛目も全くありません。
このあたりのコツはお教えしたことを実践して下さっているのですが、ここ
まで完璧になさる方は早々ありません。
ひとえにKさんが真面目に取り組まれた成果なのですが、私としても本当に
嬉しい完成度です。
Kさんの作品を見て、金繕いをするのなら美しくを追求したいと考える方が
増えてくれたらと願っています。
飾り皿の金繕い
セブンカルチャークラブ成田教室のFさんの作品をご紹介致します。
飾り皿の割れです。
よく飾り皿の金繕いは出来ますかと質問を受けます。
飾る物と言っても陶磁器であれば通常通り金繕いは可能です。
Fさんがお持ちになったお皿はマヨルカ焼き系の素地が柔らかい物でした。
ですのでしっかり下準備をして頂いてから接着、その後欠損を埋めて
金泥で仕上げられました。
食事用の器と違い、飾り皿という点で見栄えを優先しました。
その為、さらに作業を加えたのが金泥の上からの着彩です。
ほぼ表面の全般に着彩を施しました。
新うるしの色と近いことも幸いして、大きく横切った金泥の存在感が
薄められたと思います。
飾り皿の金繕いをご検討の方は「見栄え」も考慮されることをお勧め致します。