月別アーカイブ: 2019年11月

藍の花の終わり2019

10月の中下旬に生藍染めを行なった藍はすでに花期を終えつつあります。


1年草の藍はこの後、種をつけて枯れて行きます。
今なら後1回くらい染められそうと欲が出つつも、藍の終わりを見つめる
つもりです。
半年以上の間、毎日水やりをしていたのも、そろそろ卒業と思うと感慨
深いです。

ここ数年の失敗から生育に成功し、個展での敷き布が染められるなど、今年は
本当に大きな成果を得ました。
感謝、感謝です。


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金彩を戻す

NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
割れの接着後、縁の金彩を戻されました。

縁の金彩が薄くなってしまうのは、Hさん同様、骨董ではよくある
ことです。
また洋食器でも金彩が施されていることが多いので、ご要望が多く
あります。

Hさんの場合、金箔を貼られて戻されました。
完璧を目指しているうちに何度か貼り直しをされたそうで、金色が
眩く光っています。

金彩の入っている部分で方法が変わりますので、なさりたい場合は
一度教室でご相談下さい。


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正倉院の世界展 後期

「正倉院の世界」展が後期の展示替えとなったので、再び出かけ
ました。
先日は大雨の最中に出かけたので会場はとても空いていましたが、
今回は二重三重の人垣が出来る混雑ぶりでした。
ですので効率よく第2会場から後期展示のみの品を選んで見学しました。

今回の目当ては木画の琵琶とガラス器でした。
特に琵琶は進みながら見るようになっているので、数回並んでじっくり
拝見しました。


画像は会場に再現された正倉の扉に付けられた錠の様子です。
勅書を付して竹皮に包まれます。
その錠を開ける厳かな式典の様子もVTRで拝見出来ました。

先般の沖縄・首里城の火災を考えますと、日本ばかりでなく世界の宝と
言ってもいい宝物が大切に伝承されていくことを願っています。


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フリーカップの割れ

産経学園ユーカリが丘教室のMさんの作品をご紹介致します。
18ピースに割れたフリーカップの接着です。


一度座の部分の欠けを金繕いされたフリーカップが再び破損。
今回はカップの部分がバラバラに割れてしまっていました。
その数18ピースです。

まずのりうるしで接着し欠損を埋めた後、カップ部の内側を和紙で補強
されました。
これは飲み物を入れた時にカップ部が水圧で再び破損してしまわない
ようにするためです。

仕上げは外側が準金泥(真鍮泥)、内側が真鍮箔です。
通常私共では真鍮はお勧めしておりません。
それは後で黒ずんだように変色してくるからです。
Mさんはそれをご理解頂いた上でお使いになりました。
理由は器のイメージに合うからです。
このような判断であれば、ご使用頂くのは構いません。

Mさんは磨く作業がお好きというだけあって、どんな作業も丁寧に
されます。
内側の和紙貼りも完璧に磨き上げてから真鍮箔を貼られましたので、
まばゆいくらいの輝きを放っています。
一つ一つの作業を丁寧に重ねられた結果が、この完成度に繋がって
います。
是非参考になさって下さい。


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プラモデル制作道具の活用

以前からプラモデル制作道具に使えるものが多いとブログに書いて
きました。
先日、NHK文化センター柏教室のHさんが面白いものを持って
来られたので、ご紹介したいと思います。

Hさんは他の教室でもなさっている方が多くおられる箸の塗り直しに
チャレンジなさっています。
箸を塗り直した場合、必ずどこかを固定して塗った部分を乾燥させる必要
があります。
それぞれ工夫して持ち帰られているのですが、Hさんがお持ちになったのが
プラモデル制作道具です。

こちらは先端にクリップのついた棒を固定させる紙製の台です。
中に巻きダンと呼ばれるダンボールの片面のないものが詰められています。
その穴に箸が固定出来るのです。
お帰りにはさらに固定した台を包むように紙袋に入れていかれました。

この他、発泡スチロールとか巻きダンで包むとか色々な方法があります。
新しい方法を見つけられたら是非お教え下さい。


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アートとの境界線

NHK文化センターユーカリが丘教室に在籍されていたIさんの作品を
ご紹介致します。
いずれも独特の工夫をされています。

まずは一輪差しの首が折れてしまったものです。
首の形は復元せず、割れ口を弁柄漆で滑らかにした後、銀泥で仕上げられ
ました。
首の周囲にも銀泥を付け、割れ口の銀泥と馴染ませておられます。
これらの銀泥はいずれ硫化し、元々あった黒い釉薬と一体化するはずです。

もう1点、緑釉のお皿が割れていたのを接着されたものです。
仕上げに金泥を施されているのですが、割れの線に従って描かれるのでは
なく、ご自身のセンスによって仕上げられています。
仕上げの線を「アート」と捉えられたわけです。
これによって亀裂が埋まり切っていないことも緩和されています。

私は師の原一菜先生から「元のものより良くなる確証がなければ施しては
ならない。」と教えられています。
何か加飾する場合は、この言葉に従って検討することから始めます。

ご自身が何かなさりたい場合、アートになるか、ただのヘタウマになるか、
よく検討されてから取り組まれるのをお勧め致します。


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第4回生藍染め大会2019

先日残った藍の葉で今年最後の生藍染めを行いました。
来年、赤系の色を重ねて紫色を染める為の実験です。

画像の布はピンク色の絹端切れを頂いたので、それに生藍染めを重ねて
みたものです。
なんとなくピンクが感じられる程度で、生藍の方が勝っています。

「藍下」という言葉があるそうで、それは藍が隠蔽力の強い染料である
ことから先に染めておかなければならないという意味なのです。

ピンク色の端切れが青色になってしまったのも道理で、紫色を染める
為には藍が先ということになります。

最後の生藍染めで青色に染めた生地を用意出来ました。
これで次は赤系の色を重ねて紫色を目指します。


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