月別アーカイブ: 2021年1月
トクサの寒さ焼け
自宅で栽培しているトクサですが、しっかり寒さに当てて硬くしようと
今年はまだ刈らずにいます。
それが寒さに当たって赤茶色に変色してきました。
これは枯れた訳ではないので、刈らずに春を迎えるとまた緑色に戻ります。
心配されている方はどうぞご安心下さい。
割れても
NHK学園市川オープンスクールのAさんの作品をご紹介します。
特徴的な割れ方をした器を金繕いされました。
楕円形のお皿がX型に割れてしまっていました。
接着の際、形態を安定させるのが難しいですが、接着してしまえば通常通り
ご使用になれます。
もう一点はマグカップがバラバラに割れたものです。
把手の位置によっては補強をお願いするレベルです。
今回は接着後、補強は回避し銀泥で仕上げて頂きました。
日本独自の金繕いは修復後も使えるというのが最大の特徴です。
あまりにバラバラになっていると実際の使用にためらわれる方もおられ
ますが丁寧に扱って頂ければ、十分使用に耐えます。
Aさんの作品はいずれも日常で使用頻度の高い器とのことで、現在では
しっかり現場復帰されていると思います。
さいたまスーパーアリーナ
よみうりカルチャーセンター大宮教室閉校に伴い、教室がさいたま
スーパーアリーナ内のNHK文化センターさいたまアリーナ校に
移動しました。
アリーナの中にカルチャーセンター?と思われると思いますが、正確
には隣接した建屋の中にあります。
来月、教室内部をご紹介したいと思いますが、スペースはゆったりとして
おり、感染症対策もしっかりされています。
当座はよみうりカルチャーセンターから移動して下さった方で講習
しますが、4月期から新規募集を行います。
2月末から受付開始になると思いますので、大宮付近で金繕いを習って
みたいとお考えの方の応募をお待ちしております。
壁飾り
食器ではない壁飾りであっても陶磁器であれば金繕いの
技法で修復出来ます。
NHK文化センター千葉教室のYさんの作品をご紹介致します。
愛嬌があるフクロウの壁飾りです。
大きく尾羽の部分が欠けてしまっていました。
それを左右対称になっていると考え、右側を参考に別素材で再生して
頂きました。
その別素材の部分を銀泥で仕上げて頂いたところ、本体と違和感ない
感じになりました。
実はこの画像を撮影させて頂いた後、再破損してしまわれたので、現在
リカバリー中です。
食器ではないからと修復を断念されているものでも金繕いは可能です。
思い入れのあるものがあれば教室にお持ち下さい。
恐るべし
以前、プラモデル製作道具でお箸の塗り直しに便利なものがある
と生徒さんが持参なさったものをご紹介しました。
先日、ダイソーで同様のものを見つけたので、お知らせします。
名称は「塗装ベース」です。
プラモデル製作道具と同様、巻きダンが詰め込まれていて、お箸の塗り
直しなどに活用出来ます。
私もやってみたいと思っている作業に使えそうなので、購入してみました。
ダイソーは機を見るに敏で、このような商品化の素早さには驚きがあります。
その分、廃番も早いので、これはと思うものは購入しておくのがいいように
思います。
こちらも使えそうと思われましたら、お早めに!
ガラスの金繕い
NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
ガラスのカップとアクセサリーの金繕いです。
色が薄い新うるしはガラスの修復に有利です。
ぱっくり割れた破片の接着が綺麗に仕上がりました。
透けて見える曲線が美しいです。
珍しいケースではありますが、ガラスのアクセサリーも修復可能です。
こちらの指輪は縦にひびが入ってしまっていました。
それをひび止めし、欠損を埋められました。
徹底的に強度を求めるのであれば補強も必要になってきますが、今回は
ガラスの透け感を重視して最小限の修復に納めています。
私共の教室では器に限らず直したいとお持ちになった物のご相談に乗って
おります。
まずはご遠慮なく教室にお持ち下さい。
削りカスを払う刷毛
2016年11月のブログにも同様の内容をアップしているのですが、また
ご質問頂いたので再度説明したいと思います。
金繕いの作業で生じた削りカスを払う際、何を使ったらいいのかという
ご質問です。
私が使っているのが豚毛のペンキ塗り刷毛です。
100円ショップで購入しました。
2016年のブログでは35mm幅のものだけでしたが、のちに細かいところも払える
ように幅15mmのものも買い足しています。
このような道具がない場合はティッシュペーパーで代用することもありますが、
ティッシュペーパー自体がいろいろな成分を含んでいるので、避けたいところ
です。
安価なもので構いませんので、専用の道具をお使いになるのがいいと思います。
見えない
NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介します。
フリーカップの割れです。
内側の画像を見て頂くと、かなり微細に割れていたのがご覧頂けると
思います。
これが面白い景色になっているのが金繕いの面白さだと考えています。
この仕上げでご質問があったのが、表面の釉薬が濃い色のところは
接合線が判然としないがどうしたらいいかというものです。
はっきりわからない部分はそのままでいいのでは?とお答えしました。
基本的に欠損を埋めている弁柄漆が入った部分は仕上げをお勧めして
いますが、釉薬の色によっては弁柄漆が入っているのかどうかわからない
場合があります。
この状態だと接合線を辿ることは不可能ですし、弁柄漆が入っているだけで
修復は完了と考えられるからです。
仕上げは絶対行わなければならない訳ではありません。
ケースバイケースで柔軟にお考え下さい。
金箔の保管
金箔は保管方法が適切でないと使いにくくなります。
避けなければならないのは湿気と圧縮です。
いずれも箔の間に入っている箔合紙に金箔がくっついて離れなくなります。
専用の桐箱です。
湿気からも守られますし、平滑も保てます。
しかしこれはある程度の量を持っている方なら宜しいかと思いますが、
個人で趣味の範囲だと大きすぎると思います。
私は持ち運びにはボール紙に挟んでジップロックの袋に入れています。
厚みを気にしなければ100均で販売されている折り紙入れのプラスチック
ケースもいいかもしれません。
その他、有名羊羹店の空き箱もちょうどいいサイズです。
ノートやファイルの間に挟んで圧縮してしまっている方は入れ替えをご検討
下さい。
桜の蒔絵
産経学園ユーカリが丘校のTさんの作品をご紹介致します。
桜の柄が入った楕円形の大皿にひびと欠けが入っていました。
お皿の上方からひび、右上に大きい欠けがありました。
ひびは左右に入っていた桜の枝を模して蒔絵をして頂き、右上の欠けは月を
イメージして半円に仕上げて頂きました。
当初Tさんは右上の欠けは桜の花びらを大きく拡大した形で蒔絵をすることを
検討されていました。
しかしこれは元々の桜の図柄からするとオーバーサイズになってしまい、違和感
が生じます。
そこで月をイメージした幾何形態の半円にして頂きました。
こちらは銀泥で仕上げてありますので、硫化すれば縁の色に馴染ませることも
可能です。
桜の枝は花びらを金泥、茎を銀泥で仕上げられています。
金泥と銀泥の仕上げのタイミングが近くてブレンドしてしまった部分もあり
ますが、元々お皿にあった図柄を利用しているので、仕上げの部分が自然に
見えると思います。
本当に美しい仕上げになり、Tさんご自身の満足度も高い完成になりました。