先日見学報告をした「海を渡った古伊万里」展ですが、1階は日本磁器の
誕生、そして発展と題されて佐賀県立九州陶磁文化館の所蔵品が多数展示
されていました。
中でも柴田夫妻コレクションというキャプションに気がつかれた方も
おられると思います。
柴田コレクションは東京の会社経営者であった柴田夫妻がコレクションした
1万点近い伊万里焼の器を佐賀県立九州陶磁文化館に寄贈したものです。
技法・文様・時代などの変遷を網羅し、体系化されたコレクションとして
他に類をみないと言われています。
もう20年以上前になりますが、初めて柴田コレクションを見た時の感動は
忘れられません。
それまで私はあまり磁器には興味がなかったのですが、必死に中国の模倣を
していた磁器生産黎明期から日本独自のスタイルを確立するまでの変遷が
辿れる展示は一気に磁器への関心を高めました。
このコレクションが散逸せず生産地であった佐賀県に寄贈されたことは大きな
功績だと思います。
研究者の顔を持つ柴田氏の研究は九州陶磁文化館に引き継がれ、分析が深められて
います。
柴田コレクションが常設展示されている九州陶磁文化館は、コロナ禍が収束した際
には是非お出掛け頂きたい場所です。