月別アーカイブ: 2022年4月

東京オリンピックの名残

さいたまアリーナ前に東京オリンピックのマスコット「ミライトワ」
の像が設置されています。

マスコットとしては北京オリンピックの「ビンドゥンドゥン」に水を
開けられた感は否めませんが、私は結構ミライトワ好きです。


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漆繕い

藤那海工房 金繕い教室で本漆をなさっているTさんの作品を
ご紹介致します。
ご友人のお皿の割れを金繕いされました。


糊漆を使って接着した後、欠損を埋められました。
金や銀などの金属粉で仕上げるのではなく、黒漆で仕上げられています。

割れたなりの仕上げをなさっていますが、これがため息が出るほど
美しいのはTさんの丁寧な作業の結果です。

「金繕い」「金継ぎ」という言葉が先行して、金や銀などの仕上げが
当然と思われているかもしれません。
しかし歴史的に見ると「漆繕い」が原点です。

Tさんの作品は味わいのある釉薬と相まって黒漆の選択が素晴らしかったと
思います。

持ち主の方に返却されたところ大変気に入って下さり、毎日お茶の
時間に使われていると送られてきた画像です。
さりげない画像ですが、お喜びの様子が伝わってきます。

これこそ金繕いの醍醐味。
Tさんの次のチャレンジも楽しみにしています。


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底が抜ける

金繕いの教室を受講の方がお持ちになられた大鉢です。
底が抜けてしまっていました。


骨董の器ですと完全に底が抜けなくても高台に沿うようにひびが
入るケースは珍しくありません。

厚みが変化しているところで破損していることから、技術的な未成熟さ
という骨董特有の問題が考えられます。

また使っている方が重ねて収納していることで破損を誘発していることも
原因かもしれません。

原因がなんであれ、このような状態でも金繕いは可能です。
破損状態に臆せず、チャレンジして下さい。


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馴染ませる

カルチャープラザ公津の杜のIさんの作品をご紹介致します。
ご友人のフリーカップの欠け+ひびを金繕いされました。

表のひびはカップ自体の柄の続きに見えるように加飾して仕上げられ
ました。
仕上げ直後は白く見える銀泥ですが、硫化してくると黒くなって、
ますます続きに見えるようになります。

内側の欠けは形が不自然だったので、輪郭線をぼやかした仕上げに
されました。
このぼやっとした感じは特殊な道具を使って作られています。

特殊な道具はなさりたい感じによって変わりますので、ご興味を持たれ
たら教室でご相談下さい。

金繕いなさった部分は主張しすぎずカップに馴染んでくれると思います。
返却されたご友人も納得されるでしょう。


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牛乳パックの筆置き

NHK文化センター柏教室のAさんのアイディアをご紹介します。
牛乳パックで作った筆置きです。

作り方は簡単です。
牛乳パックの折り目を利用して折るだけです。
筆を置いている部分は2つ折りになっていて、そこに筆が落ち着く
ようにカットが入っています。
表面はマスキンングテープでお化粧してしまえば、素敵になります。

便利なのが折り畳んで道具箱の隙間に入ることです。
場所を取らずにしまえることで、忘れるのも避けられます。

既に同じ教室の方で真似して作られた方もおられます。
もちろん特許で抑えられていることはありませんので「これはいい!」
と思われた方は作ってみて下さい。
そのアイディアに感動されると思います。


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根元から折れた取手

NHK文化センター柏教室のTさんの作品をご紹介致します。
ピーターラビットのマグカップの取手が根元から折れて
しまったものです。


根元から折れてしまった場合は内側まで穴を貫通させ補強する
必要があります。
かなりな「大工事」になるので怯む方がほとんどなのですが、Tさんは
挑んで下さいました。

内側にどうしても補強の痕跡が出てしまうのですが、上側はピーター
ラビットに掛けてニンジンの形で蒔絵されました。

このようにキチンと補強すれば根元から取手が折れてしまっても再び
使用が可能になります。
恐れずチャレンジして頂ければと考えています。

 


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きぎ工房の額

ギャラリー砂翁のチャリティー企画「希望展」で購入した大古瀬
和美さんの作品をきぎ工房さんに額装して頂きました。


白系のメイプルの枠は、かまぼこ面に加工されており、大古瀬さんの作品を
柔らかく包んでいます。
チャリティー作品だったので簡易な形になっていたのが、きちんと額装されて
ほっとしているように見えます。

裏面は縦でも横でも吊るすことが出来るようになっているのは勿論、キャビ
ネット上に置きたいという私のリクエストにも答えてくださっています。
下方にある濃い色の材一つで置けるようになっているのが素晴らしいです。

おまけに頂戴した神代クスの栞です。
和歌山県紀ノ川の河川工事で川底から発見された巨大な楠の一部だそうです。
クスからは樟脳が取れるのをご存知だと思いますが、とてもいい香りがします。

美しい樹木を使い、しっかりした仕事をされる「きぎ工房」さんにご興味を
持たれた方は下記ブログもご覧下さい。
他の方の依頼品に混ざって私のお願いした額も掲載されています。

https://kigikobo2.exblog.jp/page/2/


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ナイスアイディア

NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
唐突に残ってしまった欠損の痕跡を上手く隠されています。


中鉢の底付近に4方に広がる形で出来てしまったひびを直されました。
幸いひび自体は見えなくなったのですが、中央の部分は欠損があり、
仕上げが免れませんでした。

唐突に生じているように見えるので、何かいいアイディアはありませんか
とお願いしたところ、画像のように外側にあった七宝紋様で蒔絵され
ました。

Aさんは常に抜群のアイディアで素晴らしい仕上げをされるのですが、
今回も秀逸なアイディアだと思います。

唐突に生じる欠損はあり得ないことではありません。
もしそのような欠損に巡り合ってしまったらAさんのアイディアを思い出し
てみて下さい。


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美吉野紙と吉野紙

金繕いの欠けの仕上げをする際に使用をお勧めしているのが
漆漉し紙の「美吉野紙」(みよしのし)です。

一見、和紙に見えますが、合成繊維のレーヨンで出来ています。
漆のチューブの口金で固まっているものが混入しないようにする
為に使って頂いています。

購入先は漆芸材料店になりますが、100枚、50枚とまとめて販売されて
いることがほとんどです。

こちらは古来、漆漉し紙として使われていた「吉野紙」です。
奈良県・吉野町の昆布さん夫妻が楮から漉いている和紙です。

かつては宮中の女官が懐紙として使っていたこともあるそうで、その
柔らかさから「やわやわ」と呼ばれていたそうです。

残念ながらレーヨンの美吉野紙が1枚¥20と安価なのに比べて1枚
¥400程度と高額なのは否めません。

金繕いの教室では漆漉し紙として使うことはなく、補強の為に使って
います。

購入先ですが、吉野紙は和紙専門店で、美吉野紙は漆材料店でと
はっきり棲み分けされています。

見分けがつかないとのお声もありますが、仕上げの際には美吉野紙は
必須です。
是非ご理解頂きたい内容です。


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小さい器

NHK文化センター柏教室のTさんの作品をご紹介します。
お猪口としてお使いの小さな器の金繕いです。


いずれも小さい器ながら雰囲気のあるもので、金の仕上げが綺麗です。

小さい器は破損しやすいものがあり、金繕いの際にも神経を使う部分
があります。
しかしTさんの作品のように完成してみると、満足感は大きさのある
器に劣らないものがあると思います。

ご愛用の器がある方は是非チャレンジしてみて下さい。


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