お勧め下さる方があって映画「バカ塗りの娘」を見てきました。
「バカ塗り」とは津軽塗を指します。
バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫なことから「バカ塗」
と言われます。
NHK「大奥」で徳川家光を演じ好評を博した堀田真由演じる津軽塗
職人を目指しつつも引っ込み思案な娘が、ある挑戦で道を開くまでの
様子を描きます。
私としては漆を混ぜたり、漆刷毛で漆を塗る音がきっちり捉えられている
こと、48工程もある津軽塗の制作の様子が丁寧に追われているところに
感銘しました。
漆塗の職人では食べていけないという厳しい現実が示されますが、文部科学
大臣賞を獲ったこともある名工の祖父の漆はやってもやっても、さらに
追い求めたいというセリフに奥深さを感じました。
弘前の四季の移ろいの中、大きな事件が起きる訳でもなく淡々と日常を
追う映画です。
派手さはありませんが、日本の漆芸の中でも多彩な技法を持つ津軽塗に
親しんで頂ければと思います。