月別アーカイブ: 2025年4月
片口の注ぎ口
先日同様、NHK文化センター柏教室に在籍されていたKさんの
作品をご紹介します。
前回はティーポットの注ぎ口でしたが、今回は片口の注ぎ口です。
ポットや急須の注ぎ口と同様に片口の注ぎ口も割れやすい部位です。
釉薬の景色が美しい片口ですが、やや出代が大きいので割れてしまって
いました。
接着して欠損を埋めた後、銀泥で仕上げられています。
化粧土の釉薬に銀泥が合い、とても美しいと思います。
またぶつけて再破損が心配な場合は補強をお勧めしたいと思います。
まずは現状で様子を見て頂き、必要を感じてからでも補強は可能です。
時間をかけて補強をするのも重要ですが、使ってみたいと思われたら
敢えて無理せずお使いになってみて下さい。
注ぎ口を甦らせる
NHK文化センター柏教室に在籍されていたKさんの作品を
ご紹介致します。
ティーポットの注ぎ口先端が損なわれていたのを復元されました。
当会独自の技法で注ぎ口を元の形で作り出して頂きました。
これは現在でも流通しているものだったので、画像検索で元の形
がわかったのも大きいポイントでした。
ティーポットに限らず急須や片口など、注ぐものは先端の水切れが
重要な機能です。
単に何となく形が復元されただけでなく、使っていくにあたって
基本的な機能も重要になると考えています。
これだけの大きい部分を綺麗に作り込むのは一筋縄では叶いません。
Kさんが根気よく作業されたからこその完成度です。
是非皆様に完成の姿だけでなく、その工程の努力も感じて頂きたい
と思います。
骨董店の手法
NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介します。
平鉢の欠けの金繕いです。
こちらの器はご友人が骨董店からお求めになったのを依頼されて
金繕いされた物です。
アップの画像を見て頂くと、その形に違和感を覚えられるのでは
ないでしょうか。
そう、通常よく見る欠けとは違う形なのです。
これは骨董店が欠けていた部分にヤスリをかけて窪みを目立たなく
加工してしまっていたことによって生じた形だからです。
確かに形として目立たなくなりますが、素地を守っている釉薬を
削り落としてしまっているので、器としては不完全なものになって
います。
金繕いするにあたってHさんは釉薬だけでなく、形として損なった
部分も補って直されました。
本来の姿に戻すのは意外に大変で苦労されましたが、丁寧に直された
器は喜んでいるのではないでしょうか。
金泥の光沢がひときわ輝いて見えます。
骨董業界では破損がないものを「完品(カンピン)」と呼び、破損
しているものは一段低く見られます。
金繕い(金継ぎ)の流行で破損しているものを敢えてお求めになる方も
多くなりましたが、かつては隠すように展示されていました。
それが故に小手先の加工で販売されたのだと思いますが、金繕い
(金継ぎ)が流行しているからこそ、手を加えずに販売して頂けたらと
願って止みません。
まだ間に合う2025.4月からの受講
まだお申し込みが可能な4月から始められるカルチャーセンター
の講座をご案内致します。
・NHK文化センター千葉 毎月第2火曜日 10:00~12:00
・NHK学園市川オープンスクール 毎月第2金 15:30~17:30
・産経学園ユーカリが丘 毎月第3月曜日 10:15~12:15/13~15
・NHK文化センターさいたま 毎月第4月 13~15/15:30~17:30
・NHK文化センター千葉 毎月第4水曜日 13:30~15:30
・NHK文化センター千葉 毎月第4木曜日 10:00~12:00
◯キャンセル待ち承り中
・カルチャープラザ公津の杜 毎月第1月曜日 10:30~12:30
・NHK学園市川オープンスクール 毎月第1金 13~/15:30~
※従来、常に数十人のキャンセル待ちがあり、2〜3年待ち頂いて
いたNHK学園市川オープンスクールですが、成田先生の夜間クラスが
増えたことによって、お待ち頂く期間が短くなっております。
まずはキャンセル待ちにご連絡下さい。
・JEUGIA八千代緑が丘 毎月第2金曜日 10:00~12:00
・NHK文化センター柏 毎月第3金曜日 13:00~15:00
新しいことを始めるにふさわしい春です。
日本文化に触れられる金繕いを始めてみませんか?
斉藤典彦展2025
友人の日本画家・斉藤佳代さんのご主人である斉藤典彦先生の
画業を振り返る展示の後期を拝見しました。
前期も拝見していますが、後期の2001年からの作品は幽玄の世界に
浸る展覧会になっています。
よく抽象画はどのように見たらいいかわからないとお聞きしますが、
理屈はいらないのではないかと思います。
ご自分の感性でこの色が好きとか、この構成が心地いいというような
フィーリングでご覧になるといいのではないでしょうか。
きっと展示されている中にお気に入りになる作品があるかと思います。
展覧会は銀座1-16-5銀座三田ビル2Fの森田画廊
会期は4月5日(土)まで。
昨日ご紹介した廣瀬佐紀子さんの個展会場の林田画廊の近隣です。
両展覧会をご覧になり、銀座立ち寄りコースでいかがでしょうか?
廣瀬佐紀子展ー地の上 天の下Ⅲ
友人の日本画家・廣瀬佐紀子さんの個展を拝見して来ました。
今回の個展のメイン「稜線の道」です。
出展されている林田画廊さんの受け売りで恐縮ですが、一般的な山の絵
と比べると空が狭いのがお分かり頂けると思います。
これは廣瀬さんが実際に山に登ってスケッチされているからこその臨場感
なのです。
絵の前に立つと一瞬にして自分自身が冬山にいるような錯覚に陥ります。
その感覚と岩絵具の重なりの美しさを是非目の前で味わって頂きたい。
夏と冬の富士山を対にした作品。
よく見る富士山の形ではなく、廣瀬さんの目が捉えた富士山の造形が
新鮮です。
こちらは富士山の気候とご自身の都合を合わせるのに苦労されたという
お話を聞きました。
テーマを自然のものに置かれている方ならではの苦労ですね。
山の絵を中心に描かれている廣瀬さんですが、風景、植物を題材にされた
ものも素晴らしいです。
会期は今週末4月5日(土)まで。
場所は京橋2-6-16 林田画廊です。
是非、実物をご覧になって絵の世界に引き込まれて下さい。