月別アーカイブ: 2025年5月
色を変える
NHK文化センター千葉教室のYさんの作品をご紹介致します。
中鉢の割れの接着です。
八の字型に左右対称に割れた形が特徴的です。
また元々の器の椿の柄もダイナミックに描かれたところが斬新
です。
Yさんはあまりにバラバラに割れていたので、最初は金繕いを
諦められたのですが、思い切って接着してみれば割れの造形の
面白さが際立ってモチベーションも上がったようです。
丁寧に欠損を埋めた後、銀泥で仕上げられましたが、染付で柄が
描かれている部分と器の地が見えている部分で表面の処理を
変えています。
染付の部分は今後硫化が進むので染付の色に馴染んで行くでしょう。
硫化が進んだところで仕上げ直後とまた見え方が全く違って来ると
思うので、その時を楽しみにしながらお使い頂くと良いのでは
ないかと思います。
ミロ展
現在、東京都美術館で行われている「ミロ展」に行ってきました。
ミロとはスペイン出身のジュアン・ミロのことで、ピカソと並び20世紀
を代表する巨匠に数えられています。
カテゴリーとしてはキュビズムやシュールレアリズムに該当するかと思い
ます。
以前、マティス展をブログで紹介しましたが、私自身この辺りの画家が
好みで、ミロに関してはバルセロナにあるミロ美術館を見に行ったほどです。
ただ今までは構成が好きとか色が好みとか、そういう表現された結果だけを
見て好ましいと考えていただけで、その描かれた背景は理解していませんでした。
今回の展覧会は初期から晩年まで決定版大回顧展と銘打っているだけあって
それぞれの絵がどのような時代背景の元に描かれたのか分かりやすく展示
されています。
中でも戦火の逃れながら描き続けた星座シリーズは背景を理解して見ると
違った視線で見ることが出来るかと思います。
個人的に面白かったのはミロがオランダ絵画に影響を受けて描いた
「オランダの室内」という作品は元になったオランダ絵画からミロがどの
ように自身の作品に昇華していったのかスケッチの変遷でわかります。
会期は長く7月6日まで。
ツマミの代替え
NHK文化センター千葉教室のIさんの作品をご紹介致します。
急須の蓋のツマミの金繕いです。
実は元々あったツマミは破損後に紛失されてしまったそうで、
今回の金繕いでは、まずお好みに合う代替え品を探して頂くこと
から始まりました。
結局ご自身が選ばれたのが、ご自宅にあった金属製のうさぎでした。
このうさぎについては何なのかご記憶にないとのことですが、下方に
穴があり、これを利用して蓋本体に結合しています。
結合と表現しただけあって、単に接着しているのではありません。
きちんと蓋本体と一体化する作業をして頂いております。
また金属はすぐそのまま使えません。
然るべき下準備をしてから作業をする必要があります。
急須に限らず様々なツマミがあるかと思いますが、紛失している
ことが多い物です。
その場合にはIさんの作品のように「これは!」という代替え品を
使うと楽しい金繕いになるかと思います。
同様にツマミを紛失されてしまった方は諦めることなく、代替え品を
探すことから始められてはいかがでしょう。
糸で補強
NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
マグカップの割れの補強です。
破損しやすい取手は無事だったものの、底面を経由して割れて
いました。
熱い飲み物を入れるマグカップですので、再破損を防ぐため補強を
施して頂きました。
表に糸を巻くという補強方法なのですが、どこに糸が巻かれているか
お分かりになるでしょうか?
実は黒い縦筋文様が入った部分の上に巻いてあるのです。
元の柄のように馴染んでしまうくらい細く入っていますが、それで
十分補強の意味を成します。
Aさんは数々アイディアに富んだ金繕いをして下さっていますが、今回
は目立たない技が冴えた逸品になりました。
糸を巻く補強方法は単純に糸を巻けばいいというものではありません。
日常の使用に耐えるように数々注意事項があります。
必ず手順を教室で確認してから着手するようお願い致します。
塗装の場合あり
先日に続きNHK文化センター柏教室に在籍されていたTさんの作品
をご紹介致します。
花器の割れです。
お知り合いの方から依頼された品なのですが、割れた部分を白く
塗装して、破損部分がわからないように補修してありました。
骨董でお求めになると、このような補修が行われているのは珍しく
ないのですが、この花器の場合は白い塗装が悪目立ちしていて
せっかくの優美さを損なっていました。
そこでTさんは補修を一旦排除し、再度金繕いし直しました。
お食事を盛る器ではないので、さほど安全面に配慮はしなくても
いいのかもしれません。
この点に関しては皆様それぞれのお考えがあるかと思います。
形成が難しいラッパ型に開いた形に果敢にチャレンジされたTさん
のご判断を指示したいと思います。
藍の種蒔き2025
今年も生藍染め&草木染めを行うべくタデ藍の種を蒔きました。
例年は1つのプランターだけに蒔いていたのですが、今年はより
コンディションが良い苗を得るために2つのプランターにして
みました。
1週間から10日で発芽し、6月中旬には10cmくらいの苗になった
ところで分植します。
7月末には1回目の生藍染めが出来る予定です。
今夏も暑いという予報ですので、草木染めの講習会は7月、8月の
2回に抑えるつもりです。
ありがたいことに既にやってみたいとご連絡を頂いておりますので、
その方々を優先してセッティングします。
藍の生育にはご協力下さる方がありますので、何とか暑さを乗り切り
たいと考えています。