日別アーカイブ: 2025年11月30日

欠けと窯キズ

友人のTさんから依頼された湯呑みの金繕いをご紹介致します。
依頼のキッカケは欠けでしたが、そばにあった窯キズも
合わせて金繕い致しました。


今回の金繕いは本漆で行っています。
まず窯キズを念のため、ひび止めしました。
画像には表れていませんが、欠けの向こう側にもにゅうが入って
おり、こちらも同時にひび止めしています。

その後、欠けと一緒に窯キズも埋めて行きました。
やはり縁に窯キズがあると口当たりがよくありませんし、汚れ
溜まりのようになるのも気になります。

窯キズを埋める作業は欠けと少々違う感覚があります。
というのも破損によって生じた欠損と違い、キズの入り口に
釉薬が回って緩く曲線を描いているからです。

ここをどう収めるのかは作業者の感覚によりますが、あまり
広範囲にしてしまうと金繕いが悪目立ちするので要注意です。

仕上げは錫を使用しました。
錫は陶器の鄙びた感じによく合います。
完成品をご覧になったTさんの第1声が「全然わからない!」
だったので、作戦成功と言えると思います。

こちらはご愛用の品とのこと。
Tさんの「お帰り」という感覚は私にとってもご褒美です。


参考までに金繕い前の様子です。


カテゴリー: 基本のき, 日常の風景 |