リカバリー

NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介致します。
大きく欠けたお茶碗を金繕いされました。


かなり大きく欠損していた部分を丁寧に埋められました。
仕上げは縁に銀泥で、硫化すると鉄釉の口紅に同化します。
ベージュ系の釉薬の部分は金泥で、こちらも馴染んで違和感がありません。

実はこの器はお預かりもので、ご本人が短期の金継ぎ教室に通われて
修復が完成していました。
しかしその出来に納得が行かず、Hさんに依頼されたのです。

お持ちになった当初、方針をHさんとお話しましたが、結局ご本人が修復
された部分は全て除去し、最初からやり直しました。

しかし綺麗に形が復元され、金・銀泥の使い分けで違和感なく仕上がった
状態を見て頂けたら、お許し頂けるのではないかと思います。


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琉球漆器の直し

琉球漆器は「堆錦」(ついきん)と呼ばれる盛り上がった意匠が
特徴的です。
この盛り上がり部分は漆と顔料を混ぜ合わせ、硬い粘土状にして
から伸ばし、漆器本体に接着します。

しかし本州の気候に合わないところがあるのか、ごっそり剥離する
場合があります。

剥離してしまった部分をどうしたいのか、お考えによって修復の
仕方が変わります。
まずは手をつけない状態で教室にお持ち下さい。


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日本民藝館

先般、旧前田家本邸の洋館と和館をご紹介しましたが、お出かけに
なられたら合わせて「日本民藝館」の見学もオススメ致します。



建物脇にトクサ!

民藝館は「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝
運動の本拠地として柳宗悦によって企画され、1936年に設立されました。

17,000点にも及ぶ柳の審美眼で集められた諸工芸品は、日用雑器を超えて
無心の美や健全な美を宿しています。
展示物だけでなく、建物も時代を経た趣があります。

ある意味、旧前田家本邸とは対極にあります。
2つを見比べることで、なおお互いの良さが際立つように思います。

旧前田家本邸の正門から徒歩10分ほどのところにあります。
見学後、駒場東大前駅に出れば、完璧な見学コースです。

<ランチ>
今回は午前中にボランティアガイドで旧前田家本邸を見学し、敷地内の日本
近代文学館内にあるカフェ「BUNDAN(ブンダン)」でとりました。
高い本棚に囲まれて図書館の中にいるようです。
ちょっとレトロな雰囲気もGood!
ルート的にも良かったので、旧前田家本邸→カフェ「BUNDAN」→日本民芸館
がオススメです。


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マルセル・デュシャンと日本美術展

原一菜先生お勧めの「マルセル・デュシャンと日本美術」展を見てきました。
マルセル・デュシャン(1887-1968)は伝統的な西洋芸術の価値観を大きく
揺るがし、20世紀の美術に衝撃的な影響を与えた作家です。

あいにく作家の認識がなかったのですが、「自転車の車輪」「泉」といった
代表作は記憶にありました。


自転車の車輪


これら「レディーメイド」と呼ばれる大量生産の工業製品を使った作品の前は
油彩で印象派やキュビズムの絵を描いていました。

その後、チェスのプレイヤーと「ローズ・セラヴィ」という女装家の2つの顔を
持って、画像や広告の作品を発表します。
そして最後は「遺作」と題された扉の覗き穴からのぞくジオラマの作品に
終着します。

レディーメイドの作品など、現在の前衛芸術に見慣れた私達には珍しくない
かと思います。
マルセル・デュシャンの素晴らしいのは、100年前、まだ日本が大正時代
だった頃にこれをやってのけたことです。

「芸術」ではないような作品をつくることができようか
美術は見るんじゃない。考えるんだ。

という言葉が紹介されていますが、デュシャンは考える人だったのだと思います。
工業の始まりで建築、音楽、美術は変化を余儀なくされます。
キュビズムの次に美術はどこへ行くのか、その先鞭を切ったのがデュシャン
だったと解釈しました。
時代が生んだ寵児。天才です。

まるでレオナルド・ダビンチのスケッチを見るような展示がありました。

同じ上野公園内で開かれているフェルメール展とは対極かもしれません。
ちょっと刺激を受けてみたい方はお薦め致します。
東京国立博物館で12月9日まで。
デュシャンの観点に合わせた日本美術の他、本館にも優品が展示されています。


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新しい九谷焼

JEUGIAカルチャーセンター八千代緑ヶ丘教室のTさんの作品を
ご紹介致します。
九谷焼の接着です。


九谷焼というと斬新な図柄の古九谷を思い浮かべる方が多いと思いますが、
現代の九谷焼はかなりモダンな感じになっています。
変わらないのは色合いです。
紫や黒など九谷焼固有の色を使っているので、九谷焼とわかります。

Tさんの作品は、割れの線を思い切って仕上げた感じがモダンな九谷焼に
合っています。
柄の面白さが際立ったように見え、金繕いの効果絶大です。

九谷焼と言えば骨董の器を直される方も多いです。
その際、気をつけなければならないのが釉薬です。
特有の弱さがあるので、金繕いの際にはまず教室でご相談下さい。


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旧前田家本邸 和館

先般レポートした洋館に続き、和館もご報告したいと思います。
和館は主に外国からの来賓をもてなすために建てられました。
その他、前田家の行事にも使われています。

1階大広間です。
最もフォーマルな本勝手の書院造で、付書院には巨大なケヤキの1枚板が
使われています。

細かい細工がされた欄間です。

池泉庭園には5種類の紅葉が植えられています。
それぞれ紅葉の時期が違うそうなので、これからお出かけになる方は
その時々の紅葉が楽しめると思います。

洋館もそうですが、和館は特にボランティアガイドを受けた方がいいと
思います。
ガイドさん同行だと、通常の見学では見られない2階御居間や茶室も見学
出来ます。

前田家は現代になっても前田家であり続けていると聞きました。
その一端が無料で公開されているのは、とてもありがたいことだと思います。
リニューアルして往年の輝きを取り戻した今、見学されるのをお薦め致します。

<情報>
洋館、和館共、靴を脱いで上がります。
脱ぎ履きのしやすい靴でお出かけになるのは勿論、冬場の洋館は冷えると
思いますので、足元の対策をお考えになった方がいいと思います。


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実は難しい

セブンカルチャークラブ 成田教室のGさんの作品をご紹介致します。
小さな欠けを金繕いされました。

大きさが小さいと心理的な負担は少ないせいか、簡単と思われる方が
多いです。
しかし小さい面積を均一に仕上げるのは、意外に難しいのです。

その点Gさんの作品は金の光沢が素晴らしいことでお分かりになるように、
金蒔きのタイミングがとてもいいのです。
このことは地塗りが良くなければ出来ません。

根強くあるのが弁柄の厚塗り信仰です。
たっぷり弁柄が塗ってあると金の定着が良いをお考えの方がおられます。
しかしこれは全く逆の結果を迎えます。
ザラザラと光沢がなく、全体が何となく弁柄色になるだけです。
もちろんゴミが入ったということではありません。

まずは薄く均一に塗れるようになる。
これが成功の秘訣です。


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練香を作る

藤那海工房 西登戸教室をお借りしているKさんはお香の先生
ということで、以前は匂い袋を教えて頂きました。
その続きで今回は「練香」の制作です。

元々は漢方薬の中の香りがいいものだったという材料から、好みの香りを
イメージして合わせていきます。
最後は先生に香りを調整して頂いて、丸薬状に丸めて完成です。

実際使えるのは年末くらいまで、熟成してからです。

実は体調がイマイチだったのですが、元々が漢方薬だったものだからか
何やら元気が出たようです。
嗅覚は人間の五感の中で、最後まで残ると言われています。
香りで刺激を受けたのかもしれません。


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柿の葉寿司 紅葉

頂き物の話で恐縮ですが、あまりに綺麗だったので、ご紹介
致します。

緑の葉の柿の葉寿しは、皆様ご存知かと思います。
頂いたのは、この時期限定の紅葉の葉に包まれた物です。

包みを開けると、目にも鮮やかな紅葉です。
美味しさもひとしお。

試して見たのが、パッケージに紹介されていた「炙り」です。
包まれたままオーブントースターで焼くだけなのですが、温かくなって
味わいも変わります。

今年は塩害の影響で近隣の紅葉は今ひとつのようです。
その分、楽しませて頂きました。


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旧前田家本邸 洋館ディテール

先日に続き、旧前田家本邸の洋館ディテールをレポートします。
洋館と言えば暖炉だと思いますが、前田家の暖炉は石の素材、
アイアンワークなど全て凝っています。


大客間 暖炉


大食堂暖炉 背面はチーク材の壁パネルと金唐紙


次女居室暖炉 アイアン部には家紋の梅

照明は器具自体のデザインと取付部の漆喰細工も見どころです。


大客室・小客室 照明

じっくり見て頂きたいのが、木部の彫刻です。
テューダー様式で木材が多用されていますが、そこに彫刻を施すことで
より温かみがあります。


大客間


階段室との境 宝相華文

建築主の前田利為候の戦死後、館は企業の本社になり、GHQに接収
されるという歴史を辿ります。
その中でこれらの美しいディテールが失われなかったことは、本当に
良かったと思います。

次は併設されている和館についてレポートします。


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