手塚雄二展

現在、日本橋三越で行われている「手塚雄二展」に行って
きました。
NHKの日曜美術館でご覧になった方もおられると思い
ますが、この展覧会は東叡山寛永寺根本中堂天井絵奉納
記念として企画されたものです。

まず日本橋三越の本館1階ホールに6×12メートルという長大な
天井画が展示されていました。

本来なら高いお堂の天井に設置されているものが床置きされて、
間近で見られるという貴重な体験から始まりました。

大きさ、板に描くという初めてのチャレンジを感じさせない阿吽
の2頭の龍は大迫力。
様々な角度で堪能させて頂きました。

加えて第ニ会場の作品展示です。盛り上げたマチエールと金銀箔で
奥行きのある空間表現、岩絵具の丹念な塗り重ねで表された
美しい色彩。
会場内に「清けし、幽けし」という言葉がありましたが、その世界
に浸れる作品群でした。

手塚先生は東京芸大で指導にあたられたそうですが、生徒はこの
ような指導者に巡り会えて幸せだったのではないかと思います。

会期は3月4日月曜日まで。
お買い物ついでに、ご覧になれるボリュームです。


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難しい釉薬

藤那海工房 西登戸教室のKさんの作品をご紹介致します。
お茶道具の杓立てです。


割れたのを接着した後、欠損を埋められ薫銀泥で仕上げておられ
ます。
難しかったのが工程ではなく、釉薬についてしまった新うるしを
除去することでした。

確かにマットな釉薬なのですが、稀にこのように除去がしにくい
場合があります。

効果があるアイテムがいくつかありますので、もし取りにくいと
思われましたら、ご相談下さい。

苦労の末、Kさんの作品は美しいフォルムの杓立てに薫銀泥のライン
が鮮やかなものになりました。


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本漆クラスの募集

藤那海工房 本漆クラスの募集を行います。
毎月第1木曜日 13:00~15:00です。

当工房の本漆の工程は一般的なものとは違う独自の手法です。
スペースの関係上、2名様という少人数制でじっくり学んで
頂きます。

工房の場所は西船橋駅から徒歩11分。
受講開始は2名様が申し込まれた時点となります。
→お陰様で満席になりました。
 3月からのカルチャーセンターの募集をお待ち下さい。

申し込み、お問い合わせはHPのコンタクトのページから
お願いします。

今年は金繕いにチャレンジしてみようという方のご応募を
お待ちしております。


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「本阿弥光悦の大宇宙」展

現在、東京国立博物館で開催されている「本阿弥光悦の大宇宙」
展を見てきました。

光悦は琳派の始祖として著名なので、皆さんご存知かと思います。
琳派のくくりで展覧会は多く行われていますが、光悦のみという
のは珍しいかと思います。

ですので私としては初見の作品も多くあり、「信(信仰)」「漆」
「刀」「書」「陶」と光悦の業績をカテゴリー分けした展示を
面白く拝見しました。

天才観測というキャッチコピーほど深掘り出来ていないのではないか
という批判はあるかと思いますが、時代背景や光悦がどのくらい
関わったのかは不明という解説は現段階の報告として正直なところ
だと考えます。

同時代の方の作品が展示されているので、光悦がいかに異才か感覚的に
わかりやすいと思います。まずは光悦を堪能しようくらいの感覚でご覧
になるのもいいかと思います。

会期は3月10日日曜日まで。
事前予約の必要はありません。


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JEUGIAカルチャーセンター八千代緑が丘教室のTさんの作品を
ご紹介致します。


陶器の板皿の割れの接着です。
表面が凸凹なので、亀裂を埋めるのが大変でしたが、繊細な線を
描かれ金泥で仕上げられています。

今回工夫して頂いたのがススキの穂と思われる穂先の部分です。
色漆・白で点描して頂き、元の絵付けと馴染ませています。

植物に関わらず具象的な絵付けを遮るように仕上げの線が走って
しまうと損なわれた感じが否めません。
そこで常套手段としてお勧めしているのが、今回のような着彩です。

ほんの少し手を加えることによってイメージがガラリと変わります。
お勧めした場合には是非チェレンジしてみて下さい。


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うるしとともに

現在、泉屋博古館で行われている「うるしとともに
くらしのなかの漆芸美」という展覧会を拝見して来ました。

住友コレクションの漆芸品の数々を用いられてきたシーンごとに
ひもとき、漆芸品を見るたのしみ、使う喜びについてもう一度
考えたいとした展示です。

漆芸技法について丁寧に解説されているので、改めて勉強したいと
いう方には最適ではないかと思います。

同時開催として近年、寄贈された染付大皿も展示されています。
斬新で大胆な意匠は大皿ならではです。

散策がてらお立ち寄りになるのには、よろしいかと思います。
2月25日日曜日まで。


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チューブに注意

新うるしの教室に来て下さっている方にお願いします!
最近、弁柄に誤発注や間違えて購入する方が出ています。

画像でご覧頂けるように、チューブの弁柄の色名がシールに
なっています。
これが最近粘着力の弱いシールに変わったようで、剥がれやすく
なっています。
剥がれてしまうと「濃赤」という色名が出てきます。

なのでシールが剥がれてしまったり、わざわざ異物として剥がして
しまった方が私からお求めになるにしろ、ご自分で購入されるにしろ
間違って濃赤を求めになってしまうケースが出てきました。

初心者でお入りになった際、お渡ししているのは「弁柄」です。
「濃赤」は漆器の直しで色が合う場合でなければ必要ありません。

ただ間違って購入してしまっても問題ありません。
顔料が酸化第二鉄という石の粉である点は同様で、単なる色違いと
考えて頂ければ差し支えないのです。

しかしオレンジ系の渋い赤である「弁柄」に対し、「濃赤」は
ダークな濃い赤なので、色の違いで驚いてしまうのは否めません。
出来ればお間違えのないよう、お求め下さい。


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シンメトリー

NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
おかずなどを入れる器の蓋です。
割れ方が美しく、シンメトリーです。


時々神がかり的な破損の仕方があるのですが、まさにAさんの器は
それに該当します。
美しくシンメトリーに割れたラインは仕上げの金泥が黒い釉薬に
映えて神々しさすら感じます。

実は内側が粉々に割れていて、こちらを整えるのが大変だったかと
思います。
しかし表の美しさの為なら頑張れたのではないでしょうか。

この人為の及ばない美しい造形があるから金繕いはやめられないと
思うのです。


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贈答の礼と日常作法2024

礼法の方で「贈答の礼と日常作法」の講習会を行います。
日本では人生の折り目折り目に贈答を行うという習慣があります。
これが今日では見た目の美しさや新奇さが先行してしまい、本質が
忘れられてしまっています。

この講習では人前で恥をかかないための日常作法と包み・結びの
基本的な形式を学びます。

本質を学ぶことによって何となく曖昧にしていたことを明確にし、
日本文化の深淵に触れられます。
残席1名様ですので、お早めのご参加をご検討下さい。

毎月第4火曜日 13:00〜15:00
2024年2月27日火曜日スタート 全6回
講習費 ¥30,000
場所 藤那海工房(西船橋駅より徒歩11分)


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内と外

前回に続きNHK文化センター柏教室のAさんの作品を
ご紹介致します。
接着をした器ですが、内側と外側の仕上げ方法を変えた
意欲作です。


前回と同じく鳥脚状に割れたものですが、外側の仕上げは高台の
柿色に合わせ、内側は縁近いところに出ている白いラインに
合わせられました。

苦労したのが外側の柿色で、ご本人が納得する色になるまで色漆
を混合しては塗りを繰り返しました。

なかなかバッチリ合うというのは難しかったのですが、意図は
十分伝わるものと思います。

固定概念で仕上げは内側も外側も同じというイメージがありますが、
使用の際に同時に見ることはありません。
Aさんのようにそれぞれベストの選択をしてもいいのです。

Aさんの作品は自由な発想でOKと見せてくれる好例になりました。


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