カテゴリー別アーカイブ: 日常の風景

旧前田家本邸 洋館ディテール

先日に続き、旧前田家本邸の洋館ディテールをレポートします。
洋館と言えば暖炉だと思いますが、前田家の暖炉は石の素材、
アイアンワークなど全て凝っています。


大客間 暖炉


大食堂暖炉 背面はチーク材の壁パネルと金唐紙


次女居室暖炉 アイアン部には家紋の梅

照明は器具自体のデザインと取付部の漆喰細工も見どころです。


大客室・小客室 照明

じっくり見て頂きたいのが、木部の彫刻です。
テューダー様式で木材が多用されていますが、そこに彫刻を施すことで
より温かみがあります。


大客間


階段室との境 宝相華文

建築主の前田利為候の戦死後、館は企業の本社になり、GHQに接収
されるという歴史を辿ります。
その中でこれらの美しいディテールが失われなかったことは、本当に
良かったと思います。

次は併設されている和館についてレポートします。


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旧前田家本邸

15年ほど前から見学の機会を狙っていた「旧前田家本邸」に行って
来ました。

前田家とは旧加賀藩藩主前田家のことで、駒場東大前にある本邸は
16代当主の前田利為侯爵の居宅として昭和4年に竣工しました。
重要文化財の認定に伴い2年3ヶ月の修復工事が完了し、この10月末に
再オープンしたのです。


階段広間から玄関ホールを見る


階段

洋館マニアで日本各地の洋館を見て来ましたが、その中でも随一と
言ってもいいくらい素晴らしい建物です。
さすが加賀百万石、その名にふさわしい格調の高さです。


書斎


夫人室


寝室

修復工事では耐震工事はもちろんですが、壁紙やカーテンなど建築当初の
状態に近づける再現がなされました。
その結果、戦後GHQ接収時代に失われてしまった状態を回復し、昭和初期の
上流華族の生活をうかがい知ることが出来る建物になりました。

格調の高さが現れているのが、ディテールなのです。
こちらは次の機会にご紹介しようと思います。


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映画「日日是好日」

先般、お茶会に出席してから私の中でお茶ブームが来ています。
見に出かけたのが映画「日日是好日」です。

樹木希林さんがお亡くなりになった際に、最後の出演作として報道されたので
それをご覧になった方も多いと思います。
原作は森下典子さん。
「お茶」が教えてくれた15のしあわせという副題がついています。
全くお茶のことを知らなかった森下さんが、25年の間に学んだことを15に
まとめたエッセイです。

原作は作法の指南書と違って、学びによって気づいたことを森下さんの
目線で描かれているので、不調法の私にも通じるところがあります。

映画は日本の四季とお茶のつながりを、とても美しく映像化していました。
日本人とは何なのかを感じられる佳作です。

シネコンのような大きなところでは上映されていないようですが、見終わって
ほっこりする映画です。
お時間が取れたら、是非オススメ致します。


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秋の茶会

海浜幕張公園 美浜園の松籟亭で行われた茶会にお招き頂きました。
というのも先日金繕いしてお返しした黒楽茶碗が、お濃茶の席に
使われるとのことだったからです。

雨が上がり晴れ間も見え、心地よい気候の中、お伺いしました。

正直に言うと、お茶に関しては全くの不調法者なのですが、席主の方から
お茶を楽しんで頂く為の席ですとあたたかいお言葉を頂き、甘えさせて
頂きました。

お返しした黒楽茶碗は蘇って手元に戻ったことから「帰来」と銘をつけられた
そうで、座の注目を集めた姿は誇らしげに胸を張っているように見えました。

お返しした器が実際使われている姿を見ることは早々ありません。
このような機会を与えて下さった席主の方に改めて御礼申し上げたいと
思います。


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玉ねぎの皮 収集中

玉ねぎの皮で草木染めをすると、綺麗な黄色に染まります。
原一菜先生の同時媒染を試して見るべく、玉ねぎの皮を
収集中です。

若干、意図して使っているところもありますが、結構溜まるものです。
実験するのが楽しみです。


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リバティープリントの筆入れ

それぞれの方の工夫が楽しい筆入れのご紹介です。
今回はよみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんのお作りに
なったものです。


生地はリバティープリントのラミネートのものです。
こちらはユザワヤなどで筆入れを作るには十分なサイズの端切れが
販売されています。
あとは縁を始末するバイヤステープがあれば準備完了です。

お手製の筆入れの良いところは、自分が入れたいもののサイズを測って
ちょうどいい大きさに作れるところです。
中の画像にあるようにフラップをつけて、穂先を保護出来るように
Sさんは工夫されています。
持ち運びの際には、縁につけた紐で巻いて止めます。

リバティープリントは華やかで、作業するテンションが上がりそうです。
さらにラミネート加工で耐水性と汚れが拭えるところもメリットではない
でしょうか。

10月から金繕いを始められた方は、道具をどんな形でまとめようか
考えておられる頃だと思います。
是非参考になさって下さい。


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盆栽鉢ようやく返却

今年5~6月に発売された雑誌「盆栽世界」に盆栽鉢の金繕い
ハウツーを掲載して頂きました。
実は雑誌上では完成状態の画像があるのですが、私としては気に
入っておらず、修正の作業を続けていました。
それがようやく完成して、返却の運びとなりました。


割れた鉢を接着、内側に補強(縁に欠けあり)


欠け+ひびの鉢

雑誌「盆栽世界」をお持ちの方は見比べて頂くと、少し形が違うのに
気がつかれるかと思います。

何が気に入らなかったかというと、ハウツーの撮影の流れで仕上げを
行なっていたので、どうしても完成度が低くなってしまっていたからです。

幸い鉢の持ち主の方が気長に待って下さったので、より良い状態で返却する
ことが出来ました。
これでようやく完全に肩の荷が下ろせました。


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おむすびと大切なことをむすぶ人

このブログでも度々ご紹介している「おむすび まるさんかく」の店主
大倉千枝子さんが本日発売の雑誌dancyuに紹介されました。

内容は大倉さんがお店で出しているものを素材から関わって入手していること、
18年にもなる食育活動について取材されています。

大倉さんは近年、雑誌の取材はもちろん、テレビにも出るようになられましたが、
私は1/4世紀を超えるお付き合いの中で、大倉さんの今までの足跡が決して
平坦ではなかったことを知っています。

時代が追いついて来たと言えば簡単ですが、大倉さんが一筋に追求して来た
おむすびを通して食を考えるということが今まさに求められている姿なのだと
思います。

儲けではなく素材を想い、食を想い、人を想う唯一無二の心のあり様が周囲の
人を惹きつけるのだと感じています。

この記事をご覧になった方は是非食べてみたいと思われると思いますが、
お店以外の活動がますます多くなるということで、この10月9日から完全予約制
になるそうです。
でもお店は幻ではないので、予約をチャレンジしてみて下さい。


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ハマグリ貝磨き

毎年、何らか経験のないご依頼が入って来ます。
今年は雑誌「盆栽世界」の盆栽鉢の金繕いハウツー撮影から
始まり、締めは貝合せになるようです。
全く偶然ですが、違うところから10月、12月とご依頼頂きました。

現在10月の講座に向けて準備中です。
上の画像はハマグリ貝を磨いている途中のものです。

講座としては貝の内側に金箔を貼って頂くものになります。

ところで先日も質問を頂いたのですが、ハマグリ貝は2枚貝なので
合わさった状態で1個と数えます。
よく誤解があるのが、片貝を1枚と数えて1個を2枚と数える方が
おられるのです。

ハマグリ貝には古来から日本人が色々意味を見出して来ました。
そのような知識も合わせて学べるのが「貝合せ」の講座です。


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マグカップ後日談

先般ご紹介しましたNHK文化センター ユーカリが丘教室の
Mさんの作品が持ち主に返却された後日談が入って来ました。

予想通り大変喜ばれ、ご自宅での画像が送られて来たそうです。
それを転送して頂きました。

ソーサーに乗せられた状態を初めて拝見しましたが、ソーサーに黄色が
入っているので、より金泥の仕上げとマッチしています。
また把手の背景にソーサーの薄紫が見えるので、マグカップ単体より
補色対比が際立つように思います。

奥に色違いのセットが写っていますが、日常にはこちらを使われて、金繕い
したセットは特別扱いになったそうです。

何より嬉しかったのが持ち主の方が金繕いに興味を持って下さったことです。
完成した実物を手に取って、破損が直る以上のものを感じて下さったのだと
思います。

どうぞ末長くご愛用下さい。


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