カテゴリー別アーカイブ: 生徒さんの作品
取手の行方
NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの作品を
ご紹介致します。
前回に引き続きマグカップの取手ですが、やはり切り落とされた
ケースで、その取手部分の活用例です。
金具に固定されて帯留になりました。
これは単発のイベントで行っていた「箸置き・アクセサリー作り」の
応用です。
マグカップ本体の方は割れ口を滑らかにして螺鈿を貼られています。
元々の染付の柄と同様の青味になりますので、こちらも新しい魅力に
なりそうです。
Oさんの作品のように元の形に戻す以外の方法も金繕いとしては「アリ」
だと思います。
自由な発想でお考え下さい。
マグカップの取手
産経学園ユーカリが丘校のAさんの作品をご紹介致します。
マグカップの取手を外されました。
2個共、取手が割れてしまっていました。
取手が割れた場合、選択肢は
1.マグカップとして使えるように補強を入れて復元する
2.思い出の品として形を戻す(使用はしない)
3.取手は外してしまい、別の形で使う(フリーカップ、ペン立て)
の3つがあります。
どれを選ぶかは持ち主の方の考え次第なので、私の方からお願いする
ことはありません。
Aさんは選択肢の3を選ばれ、取手は外すことになりました。
この場合、どうしても取手の座の部分は残りますので、それをどのように
するかがポイントになります。
Aさんは画像左のカップは座を少し残す形に、画像右の物は根元から
外されました。
この塩梅も割れた形、カップ元々のデザインなどを考え合わせて決めて
いきます。
最終的には座の部分は素地を守る釉薬がなくなってしまったところを
何らかの形で滑らかにして仕上げを行います。
どの方法を選択してもそれなりの作業は生じます。
ご自分が元マグカップをどのように使いたいのかで方針を決めて下されば
よろしいかと思います。
広い面積の仕上げ 洋食器編
産経学園ユーカリが丘校のTさんの作品をご紹介致します。
洋皿の大きな欠けです。
大きい長楕円のお皿は湾曲もあり、複雑な形をしています。
欠けは表から見ると分かりませんが裏から見ると幅3cmくらいの
大きな欠けでした。
Tさんは複雑な形を妥協することなく形を作り込まれました。
その徹底振りが完成度の高さになっています。
特にサイズが大きい欠けの仕上げが難しいのは教室に来て下さっている
方々なら良くお分かりかと思います。
綺麗な仕上げには仕上げのテクニックばかりでなく完璧な下地作りが
物を言います。
そのような金繕いに挑んでいる方はTさんの作品が励みになるかと思い
ます。
シー陶器・シーグラス
昨年行ったイベントで作って頂いた産経学園ユーカリが丘校の
Mさんの作品をご紹介致します。
プレゼントを前提にされていまして、2個のイメージを合わせて
います。
染付の磁器と赤系と色のイメージを合わせておられるところと、
中心に配置されたパーツから放射状にレイアウトがお揃いという
のがオシャレですね。
シー陶器とシーグラスという素材を使うことで、なかなか体験出来
ない「呼び継ぎ」という技法が短時間で作れるのが魅力です。
馴染んで目立たず
藤那海工房 金繕い教室のKさんの作品をご紹介します。
お抹茶茶碗の縁の欠けです。
紫味のある釉薬が個性的な抹茶茶碗です。
縁が点々と複数箇所欠けてしまっていました。
埋めるのは問題なく作業を進められたのですが、問題は仕上げ
でした。
欠けがかなりの数ありましたので、目立つ色で仕上げると落ち着かない
感じになってしまいます。
Kさんとお話しして最終的に選ばれたのが硫化した銀箔でした。
これが絶妙に釉薬に合って目立たないのです。
Kさんは最適解を選ばれました。
金繕いは使用上の注意のためにも欠損部分を目立たせるという考え方も
ありますが、器の見場を考えると目立たないということも重要になる
場合があります。
ご自分がどうしたいのかを考えて仕上げはお選び下さい。
桜
NHK文化センター千葉教室のSさんの作品をご紹介致します。
マグカップのひびの金繕いです。
記念の品であるマグカップにひびが入っていました。
ひびを金泥で仕上げた後、マグカップに元々入っている桜の図柄を
ひびの仕上げのラインに絡ませるように蒔絵されました。
これでひびのラインの痛々しさがかなり減じていると思います。
5弁の桜の花の位置、花びらの位置とも、とてもいい位置に入って
いると思います。
蒔絵で破損の印象を和らげる場合、元々器に入っている柄を使うのが
最もおすすめですが、Sさんの作品はその成功例です。
記念品の器の場合、絵柄が印刷になっており、耐久性がない場合が
あります。
金繕いする際には手順をよく確認してからの着手をお勧め致します。
カルトナージュの道具箱
NHK文化センター柏教室のTさんのお道具箱をご紹介致します。
カルトナージュという厚紙で作った箱に、布や紙を貼るフランス
で生まれた工芸の手法で作られています。
形、大きさはもちろんのこと、用途に合わせて引き出しが分けられて
います。
さっと道具が出てきて、とても使いやすそうです。
金繕いの教室にお越しになる方は手仕事がお好きな方が多く、道具と
その収納に凝られておられます。
Tさんの道具箱はそれらの中でも最大級の凝り具合と言えます。
上部の刺繍は鳥獣戯画。
楽しんで作られたのが、わかります。
皆様もご自身の好みで作ってみませんか?
渋い
先日に引き続き藤那海工房 金繕い教室のKさんが銀泥で仕上げ
して渋く硫化した自身の作品をお持ち下さいました。
よくどのくらいで硫化しますか?と質問を受けるのですが、冗談
を交えて「神のみぞ知るです。」とお答えしています。
というのもご自宅の空間内にどのくらい硫化する要素(硫黄)が
あるかによって変わってしまうのです。
早い方だと数週間で変化がありますし、遅い方だと年単位で変化が
ありません。
一般的にご家庭だと界面活性剤やクリーニング溶液で変化が促される
ようです。
少なくとも仕舞い込まず、お使いになっていた方が進むと言えます。
経年変化が楽しめる銀泥は、たくさんの方を魅了しています。


















