カテゴリー別アーカイブ: 生徒さんの作品
箸に螺鈿を貼る 完成
よみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんが取り組んでおられた
箸頭(天)に螺鈿を貼る作業が完成しました。
磨き過ぎて螺鈿を研ぎ破ってしまったりと大変なこともありましたが、
丁寧な作業で完成に漕ぎ着けられました。
ご覧頂きたいのは箸頭の小さいスペースで、それぞれ違う貼り方になって
いるところです。
螺鈿の魅力は、その独特の輝きだと思います。
それぞれなさりたい形があるかと思いますので、まずはご相談下さい。
※よみうりカルチャーセンター大宮校は今年12月で閉校します。
教室は21年1月よりNHK文化センターさいたまアリーナ校に移転します。
下地が大事
NHK文化センター柏教室のSさんご夫妻の作品をご紹介致します。
教室内でも一際若いお二人は、ご夫婦で受講下さっておられます。
気に入った作家物を集めておられるので、破損してしまっても安易に
処分が出来ないというのが受講動機だそうです。
今回、ご紹介するのはそれぞれ小さく欠けてしまった物です。
白い釉薬に装飾的な貫入が入った鉢です。
縁のグレー色に合わせて薫銀泥で仕上げられました。
こちらはマット黒の釉薬に合わせて薫銀泥黒色で仕上げて頂きました。
初心者の方には仕上げの喜びを味わって頂きたいので、下地の埋め方が
ほどほどのクオリティーになったところで仕上げをお勧めしています。
しかしSさんご夫妻は最初の1点を仕上げてみたところで下地の平滑さが
なければ決して満足のいく仕上がりにはならないと気付かれたのです。
また蒔き下の新うるしの濃度も私の実演を見ただけで把握。
仕上げられてきた器は、どれも完璧な仕上がりでした。
私としても若い方が気に入った器を金繕いをして大切にされている姿を
みるのは大きな喜びになっています。
勉強熱心なお二人に負けないよう、しっかりお教えしたいと考えています。
美しい仕上げ
NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。
欠けの金繕いです。
コーナー部で形の再現が難しかったかと思いますが、それを綺麗に作りこんで
おられます。
表面が削げるように割れていました。
2つの破片のうち1つは失われてしまい、1片だけ接着されました。
この割れにはひびが続いて付帯しています。
いずれも日常で起きやすい破損です。
このような金繕いが出来るようになるのが大切かと思います。
何よりご覧頂きたいのが、このような基本の直しをMさんは美しい仕上げで
完成させていることです。
Mさんの作品はたびたびブログでご紹介させて頂いていますが、このような
美しい仕上げになるのはMさんの妥協しない姿勢があるからです。
金繕いをなさるなら、Mさんのように美しい仕上げを目指して頂けたら
と思っています。
京焼の金繕い
毎日文化センター東京のNさんの作品をご紹介致します。
京焼の鉢の欠けです。
Nさんは趣味の良い器を様々お持ちで、この鉢も鮮やかな瑠璃釉が印象的
です。
縁の柄も宝尽くしと伝統的な文様ですが、器の造形がゆったりとしていて
温かみがあります。
輪花の縁の欠けを綺麗に戻されて金泥で仕上げられました。
お食事を盛るのにちょうどいいサイズの鉢ですので、早速食卓で活躍する
のではないでしょうか。
積極的に仕上げをなさっておられるので、次の完成が楽しみです。
磁器ゴブレットの金繕い
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介致します。
磁器のゴブレットのステー(飲み物を入れる部分と座の間の細いつなぎ部分)
が折れてしまっていました。
画像では接合線の仕上げしか見えませんが、中には補強が入っており、
安心してお使い頂ける状態になっています。
今回のHさんの作品のように陶磁器製のステーですと内部に補強が出来ます
ので、外観を損なうことなく金繕いが出来ます。
ガラスの場合は破損状態によって違いますので、教室でご相談下さい。
同時に割れ、欠けの器も仕上げて来て下さいました。
なかなか仕上げに踏み切れなかったHさんですが、勢いがついてきた
ようで嬉しい限りです。
備前焼
港北カルチャーのKさんの作品をご紹介致します。
備前焼の湯のみの割れの金繕いです。
真っ二つと鳥脚状の割れがありました。
接着後、欠損を埋めて金泥で仕上げられています。
無釉に金泥が程よくマッチしていて、綺麗な仕上がりです。
金泥が合う釉薬はいくつかありますが、備前焼との相性は格別だと思います。
Kさんはこの他にも備前焼の器にチャレンジされているので、またご紹介させて
頂けるのを楽しみにしています。
コーヒードリッパー
よみうりカルチャーセンター大宮教室のFさんの作品をご紹介致します。
コーヒードリッパーのひびの金繕いです。
皆様お馴染のメーカーのコーヒードリッパーです。
内側はフィルターが密着しないようにレリーフがついているのですが、
仕上げて頂くと、これが見たことがないくらい面白い線になって
いました。
金繕いの線は人為的には生じない様に魅力があるのですが、Fさんの
作品は器自体の形態が作る面白さでした。
この方向でも金繕いの醍醐味があるのを発見した作品でした。
まる
NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。
マグカップの欠けです。
Mさんは以前にも丸い柄のあるマグカップを丸く仕上げられていますが、
今回も丸い柄があるので、同じように仕上げて下さいました。
仕上げした部分と元々の柄の印象が合うことで一体感が生まれます。
緑釉に金泥が映えて、素敵な仕上がりになりました。
いろいろ
NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
様々な工夫をされるAさんですが、今回は仕上げの色を3色
使われました。
大鉢の割れです。
実は最初は右側の縁の割れを金繕いなさっていたのですが、完成前に再度
破損。
さらに真ん中に割れが生じてしまいました。
完成の段階でなるべく目立たないようにと最初に割れた部分を薫金泥で
仕上げて器自体の釉薬に馴染ませています。
後から生じた割れは大きく横切る線を銀泥で、縁の部分を金泥で仕上げ
られました。
最終的には銀泥の仕上げが薫銀泥のようになりますので、真ん中縁の金泥
だけが目に立つようになるはずです。
現段階で3色の金属粉を使っていても違和感がありません。
これが素材色である金属粉の素晴らしいところだと思います。
箸 復活
NHK文化センター 千葉教室のNさんの作品をご紹介します。
鉄木のお箸の修復です。
鉄木とは幹が鉄のように固い、または密度が高く重い樹木の呼称で、
お箸によく使われています。
事の発端は事故とも言えることでした。
キッチンのシンクに流した漂白剤に鉄木のお箸が浸ってしまったのです。
表面が白く変色してしまいました。
幸いすぐに洗い流したので表面的な損傷に止まったようでした。
そこでまず傷んでしまった部分を削りおとして頂きました。
その後、お好みの色の新うるしを数回擦り込んで頂いたところ、復活を遂げ
ました。
今回は漂白剤による事故でしたが、そうでなくてもお箸は使用で色が
白っぽく変わってしまいます。
今回と同様に修復が可能ですし、さほど時間もかかりません。
陶磁器の金繕いはそれ相応に時間がかかりますが、早めに直るお箸の修復で
気分転換もいいかと思います。

























