カテゴリー別アーカイブ: 生徒さんの作品
完成品 第1号
NHK文化センター 千葉教室木曜クラスのKさんの作品を
ご紹介致します。
千葉教室木曜クラスは昨年10月に開講したばかりですので、
教室で一番最初に完成した作品となります。
小振りな蕎麦猪口に入ったヒビを仕上げられました。
初心者とは思えない、細くて美しい線を描かれています。
あまりにお上手なので、よくお話をお聞きしたところ、
普段は絵をお描きになっているそうです。
ご本人は謙遜していらっしゃいましたが、かなりの腕前の
ご様子。
美しい線の理由がわかりました。
『筆慣れ』という言葉はないと思いますが、やはり普段から筆を
使う機会が多いと、必然的に違う分野の作業もこなせるように
なると考えます。
Kさんは、余裕があれば器自体の柄に合わせて丸を描き足したかった
とのこと。
それはまずキズを覆い隠す仕上げを行ってから、加筆するのを
お勧めしています。
それは一度に違うことをこなすのが難しいからです。
まずは必要条件のキズを隠す仕上げを行ってからで間に合います。
きっとKさんの腕前なら難なくこなされると思います。
今日の仕上げ第1歩を喜んで頂ければ宜しいのではないで
しょうか?
把手折れシリーズ第3弾
把手折れシリーズ第3弾として、よみうりカルチャーセンター
大宮教室のAさんの作品をご紹介致します。
作家さんもののカップで、巻いて作られたような複雑な把手が
個性的です。
Aさんはその作家さんが大変お気に入りで、カップの把手が
折れてしまっても10年捨てられなかったというくらい思い入れの
ある器でした。
こちらも先日ご紹介した作品と同様、2種類の補強方法を
併用し、飲み物を入れても持ち上げられる強度を作って
います。
把手の形が複雑なだけに作業も大変でしたが、Aさんはコツコツと
続けられました。
この作品で見て頂きたいのが、仕上げに炭色までいぶし切った
銀泥を使用したところです。
カップ本体表の黒い釉薬に合って、完成した直後から馴染んで
います。
Aさんご本人は、もう少し下地をならしておけば良かったと
言っておられますが、カップ本体がゆらぎがあり、きっちり
した形ではないので、現状こそ違和感がないと思います。
長年把手が折れたまま、しまい込まれていたカップが完全
復活です。
きっと行方不明のソーサーも出て来てくれて、お茶を楽しんで
頂けることでしょう。
完成 いろいろ
藤那海工房土曜日クラスの方々の作品を、ご紹介致します。
まずはTさん。
積極的に仕上げに挑んでおられるので、仕上げの筆使いの
上達がめざましいです。
特に今回の作品は、力みがなく、自然に描かれているのが
とても好印象です。
割れのこの形、よく見る形過ぎて、作ったようにさえ見えて
しまうかもしれません。
しかしこの形は力学的に成立している形なのです。
器の形態によって、曲線が横長になったり、縦長になったり
します。
次はUさんの作品です。
計11ピースに割れていたお茶碗を接着し、ついに完成に至り
ました。
これだけバラバラに割れてしまっていると、少々のズレは
致し方ないところ。
それを根気よく埋めて、仕上げられました。
ここまで複雑な割れだと、仕上げも一気には出来ません。
私は太くて、長い、メインストリートと言えるような線から
仕上げて行きますが、ケースバイケースなので、都度ご相談
下さい。
Uさんのお茶碗は労作なので、松茸ごはんのような、ちょっと
いいものが入ったご飯を盛らなきゃ!という冗談が出て、
楽しいお披露目となりました。
把手を補強
NHK文化センター ユーカリが丘教室のIさんの作品を
ご紹介致します。
前日に続いてカップの把手を修復したものです。
把手が2カ所折れていました。
これを2種類の補強方法を使い、再び飲み物を入れて持ち上げる
のに十分な強度を持たせています。
仕上げをしてしまうと、補強がされているのが全くわかりません。
使っておられるのはプラチナ泥です。
プラチナ泥は金泥よりも高価になりますが、釉薬との相性で
決められました。
銀と同じシルバー色ではありますが、青味が強く、少々暗い
感じになります。
Iさんの作業はとても綺麗なので、アップにも耐えますね。
把手の修復は、どこで折れているのか、把手の径はどのくらいか
など、工程を決めるのに判断ポイントが数多くあります。
何よりそれだけ手間がかかるので、ご本人の『覚悟』が必要
かもしれません。
昨日ご紹介したMさんも、今日のIさんも完成した品はご自身の
ものではありません。
お預かりした方の元へお返しするものなので、お二人共慎重に作業
され、大変高い完成度になりました。
きっと持ち主の方は喜ばれることと思います。
ティーカップの把手を…
NHK文化センター ユーカリが丘教室のMさんの作品を
ご紹介致します。
よくある破損だと思いますが、ティーカップの把手が折れて
しまったものです。
把手は根元からカットしてしまい、跡を楕円形の意匠にして
頂きました。
Mさんの作品の秀逸なのが、把手の反対側も同様の意匠に
したことです。
反対側にも同様の花柄があったので、完全に左右対称のデザインに
なりました。
把手が破損した場合、どのように直すかはよくご相談してから
工程を決定します。
またカップとして中に飲み物を入れて持ち上げたいのか、飾りに
なってしまっても構わないのか。
そもそも元の形に修復可能なのか、などなど。
今回のMさんの作品の場合、フリーカップとしての仕立て直し
となりました。
カップ&ソーサーは、日本が輸出した把手なしのカップとお皿
から始まったものなので、Mさんの作品も違和感がないと
教室の方から納得の意見が出ました。
把手の直し方にはいろいろあります。
次回は補強して、元の形に復した方の作品をご紹介致します。
仕上げのテクスチャー
NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの
作品をご紹介致します。
陶器の欠けを金泥で仕上げられました。
釉薬の雰囲気に金泥が合っており、安心して見られる仕上がり
です。
この器の仕上げについて、Tさんから難しい質問がありました。
綺麗な平滑面の仕上げではなく、陶器のゆらぎのある釉薬の感じに
合った仕上げはないか、ということです。
基本的に金繕い自体が蒔絵の応用なので、過去の名品を見て頂くと、
仕上げは綺麗な平滑面となっています。
ですので目指して頂きたいのは、このような平滑な仕上げという
ことになります。
しかし陶器の雰囲気に合わせたいというのは、もっともなご要望
です。
それを難しくしているのは、形を成形するという作業が必然的に
平滑面に帰結していくからです。
それと陶器のようなテクスチャーを仕上げとして違和感なく作る
のは、テクニック的な問題とアートを合わせたような作業に
なるかと思います。
簡易にそれを成すとすれば、形の成形段階での加減や、仕上げの
工程の工夫で出来ることはあります。
あえて言うとすれば平滑な仕上げを作っておけば、変化は可能
ということでしょうか?
このあたりはまた、サンプルなどお示ししてご説明したいと
考えています。
蒔絵の予定
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介
致します。
新年最初の教室に、たくさん仕上げをしてきて下さいました。
釉薬の色に金泥がとても映えています。
貫入が入った器は、独特の割れ方をするのですが、それが
美しく仕上がっています。
ヒビの線1本と、縁に欠けが複数あります。
まずは欠損通りに直されていますが、これに蒔絵を描き加えられ
たいとのご希望でした。
ヒビの線の感じから柳をお勧めしています。
蒔絵の完成が楽しみです。
鉢の割れを接着されたのを仕上げられています。
こちらも欠損通りに直されていますが、それが味わいのある線に
なっており、教室の方々から「直してある方が素敵」と賞賛の
声が上がりました。
度々お話していますが、直しの線が細いところあり、太いところあり
とランダムだと、同じ太さに整えるのがいいのか、それとも自然に
直すのかと質問がよくあります。
私は直し通りに自然に仕上げるのをお勧めしています。
それが一番美しいと思うからです。
ただモダンな器でしたら、同じ太さにするのもデザインとなって
面白い効果がある場合もあるかと思います。
いずれにしろ仕上げに関しては決まりごとがある訳ではありません。
ご自身の持ち物なので、自由な発想でお決め下さい。
釉薬との相性
NHK文化センター ユーカリが丘教室のHさんの作品を
ご紹介致します。
縁に小さな破片の接着をなさっています。
これにヒビが続いていました。
Hさんはこのヒビの仕上げの線を極力細くとこだわられました。
仕上がった状態で見ると、釉薬ととても雰囲気が合っていて、
とてもいい作品になりました。
Hさんは、今、いかに納得がいく仕上げになるかと探求されて
います。
この作品では、少々欠け部の仕上がりにムラがあるのですが、
それがかえって釉薬の雰囲気にマッチしています。
このように仕上がりの状態は、器によって変化があって構わ
ないのです。
Hさんの探究心は、この器はこのように仕上げたいと目的が
はっきりしているところが素晴らしいと思っています。
男性ならではの視点だと思いますが、このように目的を
持って作業されると、必ず上達に繋がると思います。
皆様、ぜひ参考になさって下さい。
潔い割れ
NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの
作品をご紹介致します。
潔く割れたマグカップの修復です。
元々マグカップに金彩が入っていたので、金泥での仕上げに
違和感がありません。
実はこの修復は特殊な方法で行って頂いています。
Tさんは、新しい技術にも積極的に取り組んで下さるので、お教えする
側としても説明のしがいがあります。
このあたりは探究心の強い男性ならではかもしれません。
今回の技法は意匠のように見えますので、一見何なのかわかりにくいと
思います。
同様の技法を使った方がよい方には、適宜お勧めしておりますので、
チャレンジしてみて下さい。
楽々
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介
致します。
ヒビを直した器です。
少々変わった形の欠け+ヒビの湯のみです。
両方とも初心者のレベルで直せるものなので、長く受講して
下さっているHさんには、楽々直せる内容です。
一人で金繕い出来るようになるには、どのくらいかかりますか?
という質問もよく受けますが、とてもお答えしづらいところが
あります。
基本の技術は1年の受講でご説明しておりますが、器によって
重症度が違いますので、経験値も変わってきます。
ですので1年で一人立ちと言えますし、ちょっと格好つけて言えば
一生勉強とも言えます。
何しろ器によって欠損の仕方が違いますので、千差万別となります。
年間数百の器を拝見していますが、何年お教えしていても、迷う
ことがあります。
一菜会では、原一菜先生のお墨付きが出なければ公認教授に
なれません。
ある意味とても高いハードルです。
私個人で言えば基本をしっかり踏まえ、状況に応じて変化させられる
ことが習熟する一番の方法と考えています。

















