カテゴリー別アーカイブ: 生徒さんの作品
積極的に仕上げ
NHK学園市川オープンスクールのAさんの作品をご紹介致します。
Aさんは今年の4月から受講し始めたばかりですが、積極的に仕上げに
挑戦されています。
こちらは水指ですが、底に近いところに窯疵がありました。
それを埋めて単に仕上げるのではなく、器元々の柄に合わせて蔓の
ように仕上げられました。
窯疵といえば存在を明らかにして仕上げるのが常道ですが、このように
違和感のない仕上げもよいと思います。
こちらはヒビが入ってしまったマグカップです。
たまたま赤いハート柄の部分の欠損が目立たなかったので、仕上げは
されていません。
その他の部分は金泥で仕上げられましたが、元々金彩が入っているので、
柄の一部のように見えます。
ユニークなのが、裏面です。
マグカップの柄と同じ渦巻きを描かれました。
通常裏面はそれほど凝られる方はいないのですが、このような「仕掛け」
も楽しいものです。
Aさんは油絵のご経験があるそうで、このような加筆は難なくなさって
おられます。
この他にも斬新なアイディアの仕上げをされていらっしゃるので、今後も
完成が楽しみです。
それぞれ個性的
お皿に金箔を貼るカリキュラムですが、NHK文化センター柏教室の
生徒さん達の作品をご紹介致します。
まずはTさんの作品です。
数枚組の梅型のお皿です。
それぞれで貼り方を変える予定なのだそうです。
銘々皿として使った場合、とても楽しい作品になると思います。
もともとザラザラとしたテクスチャーがあるお皿なので、それも
いい表情になりました。
こちらはHさんの作品です。
大きめのお皿に、大胆に金箔を貼られました。
右角のバランスが絶妙ですが、これは黄金分割の効果と思います。
面積は大きくても、品よくまとまっています。
最後にMさんの作品です。
今までご紹介したのは全て陶磁器でしたが、Mさんは漆器にチャレンジ
なさいました。
陶磁器と違い漆器は後で削ることができないので、丁寧に作業する必要が
あります。
しかしシンプルな漆器が、ガラリと印象を変えました。
2枚で金箔の入れ方を変えたのも、とてもオシャレです。
柏教室の皆さんは少々複雑に入れ方を工夫されていたのが、印象的
でした。
それぞれ個性があって、拝見する方も楽しめたカリキュラムになりました。
銀の硫化を見守る
よみうりカルチャー大宮教室のSさんの作品をご紹介致します。
陶器を2点、仕上げてきて下さいました。
こちらの大鉢は、縁が数カ所欠け、見込み(内側底)にヒビがあります。
欠けは外側のマット黒釉に合わせて硫化を進め、ヒビはもう少し硫化を
進めたところで止めの作業をする予定です。
内側の釉薬は若干青味がある白なのですが、仕上げ直後の白とは違いが
あります。
Sさんは毎日硫化による変化を観察し、よい状態を逃さず止めの作業を
行うとか。
そのお気持ちがあれば、きっと気に入った状態で止めることが出来ると
思います。
もう1点は黒釉に白化粧土が刷毛目で入っている湯のみです。
こちらも縁が数カ所欠損があります。
黒釉の部分と白化粧土の部分と、硫化の程度を変えるのを
オススメしています。
Sさんは基本の修復技術は難なくなさっておられますので、好みの
仕上げにするにはどうするか、というレベルになっています。
このあとも仕上げられる器が控えていますので、ぞくぞく完成品を
お持ち頂けるのを楽しみにしています。
呼応する柄
昨日に引き続き、NHK学園市川オープンスクールの生徒さんの
作品をご紹介致します。
本日は、Uさんの作品です。
把手の根元に欠けがありました。
これを埋めて金泥で仕上げてきて下さいました。
これが器にある円の柄と呼応し、まるで元からあった柄のようです。
このようにデザインになっていると、欠損も違和感がありません。
Uさんは昨年10月から受講して下さっていますが、このマグカップ
の他、数点仕上げられました。
完成まである程度時間が必要な金繕いですが、一気に仕上がる
時期があります。
受講し始めの方は不安があるかと思いますが、着実に前に進んで
いますので、じっくり取り組まれて下さったら嬉しいです。
細い縁
NHK学園市川オープンスクールのKさんの作品をご紹介致します。
縁が点々と欠けてしまっていたのを、修復されました。
この器はゆらぎがあって、一見大らかな器に見えますが、縁がとても
繊細なのです。
そのため欠けやすいのです。
また修復する時も細かい作業が必要になり、Kさんは大変苦労されました。
しかし根気よく作業を続けられ、見事に細い縁を復元されました。
とても気に入っておられる器なので、再びお使いになれる喜びはひとしお
のようです。
縁が繊細な器にチャレンジしている方は多いと思います。
しかしKさんの作品を見て頂ければ、頑張る気持ちが湧くのではないでしょうか?
Kさんご本人のお話で興味深かったのが、いざ仕上げとなったら、せっかく良い
筆をお求めだったのを使い忘れてしまったということです。
これは珍しいことではありません。
皆さん、仕上げになると緊張されます。
どうやら舞い上がったようになって、せっかくの筆を使い忘れるということが
起きるようです。
どうぞ仕上げの前には深呼吸して、落ち着いて臨まれて下さい。
仕上げはやり直しが出来るのを思い出して頂ければ、緊張もほぐれる
と思います。
器の柄を利用する
NHK文化センター千葉教室のMさんの作品を、ご紹介致します。
本来の疵は、画像上の欠けから真っ直ぐに伸びて、左に曲がるライン
なのです。
Mさんはそのままだと疵が目立ち過ぎるということで、お皿自体にある
レリーフの溝をなぞり、疵の仕上げをした線にからめました。
そのからめた曲線が、まるでアールヌーボーのようではありませんか。
一つのデザインとなった仕上げは、狙い通り疵を目立たなくしていると
思います。
このアイディア、是非参考になさって下さい。
【アールヌーボーとは】
19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで流行したスタイル。
花や植物などの有機的なモチーフや曲線の組み合わせによる装飾性が
特徴。
ガラス工芸のルネ•ラリックや、グラフィックデザインのアルフォンス•
ミュシャが著名。
再び合う
今日は、よみうりカルチャー大宮教室のKさんの作品をご紹介
致します。
備前焼の皿が、真っ二つに割れてしまった物を接着されました。
完成してみると、潔く二つに割れた線がまるで元からのデザイン
であったかのように見えます。
実はKさんは仕上げの金泥が、光沢がなくマットに仕上がって
しまったのを気にされています。
これは蒔下の新うるしの描き方や、蒔く工程に要因があるかと
思われます。
しかし布目の入った裏面など、このマットな仕上げがよく合って
います。
結果オーライではありますが、仕上げは器自体に合うことが
重要だと考えておりますので、セオリー通りでなくとも構わない
と思います。
さらに上達へ
今日もNHK文化センター柏教室を受講して下さっている方の
作品をご紹介致します。
本日はNさんの作品です。
まずは黒釉の片口の欠けを銀泥で仕上げたものです。
こちらは硫化すると馴染んでしまって、全くわからなくなる予定です。
仕上げ部分の内側に小さく凹みが残っているのですが、これも硫化したら
器自体の釉薬の風合いに同化してしまうはずです。
外側に大きく反った小鉢の割れの接着。
こちらも銀泥の仕上げです。
硫化を待たれる予定ですが、現状でも器の形に鳥脚形のラインが
美しい作品です。
Nさんは積極的に仕上げに挑んで下さっているので、ご質問下さる
内容がどんどん高度になってきています。
より美しい仕上げを望まれる熱意に、あまりお話しないような
テクニックもお話しています。
次の作品で、さらに上達した仕上げを見せて下さるのを楽しみに
しています。
白系の釉薬に合わせる
一昨日に続きNHK文化センター柏教室で受講して下さっている方の
作品をご紹介致します。
本日は、Hさんの作品です。
萩焼の作家ものの抹茶茶碗です。
白い釉薬が美しいお茶碗なのですが、縁の部分にいくつか欠けが
ありました。
骨董でいう「虫喰い」のような状態だったのです。
これを今後のホツレの予防措置を行って頂いた上で、欠けの部分を埋めて
頂きました。
仕上げは銀泥なのですが、仕上げてから少々硫化し、釉薬に馴染むのを
待って頂きました。
シルバー色ではありますが落ち着いた色に硫化しましたので、止めの作業を
行うことに。
画像でご覧頂けるように、直しをした部分が全く目立ちません。
Hさんは以前も白系の釉薬の湯のみを銀泥で仕上げられ、馴染んだところで
止めるというのに成功されていますが、これは他の教室の方々にも好評
です。
修復した部分をあまり目立たせたくないという方は、一つの方法として
ご検討下さい。
ところで銀の硫化を止めるタイミングは、どのように判断すればいいのかと
質問を頂きました。
これはどなたも悩まれる問題だと思いますが、一言で言うならば「好み」
なのです。
硫化の段階は目安としてお話していますが、置かれている状況で変色の
具合が違いますので、時間で規定することは出来ません。
ご自分がどのようにしたいかをお考え頂き、それに合ったと思う時に
止めの作業をして下さい。
美しい金の線
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介致します。
割れの接着をし、金泥で仕上げて下さいました。
割れ方にも芸がある、というお話は度々していますが、この作品も
まさにその好例です。
人間が作ることの出来ない自然の造形で、本当に美しいです。
この美しさは、ぴっちり接着が出来ており、欠損を埋める作業が
しっかり行われているからこそ。
ところで良く質問を頂くのが、「上から塗った漆が無くならない」という
ものです。
これは表面に出来た欠損に入っているからで、どんな処理をしようとも
なくなりません。
むしろ欠損を埋めているものですから、必要なものなのです。
ですから漆を無くするのが目的ではなく、欠損が埋まるのが最終形と
お考え下さい。
その最終形の状態は、器の破損度によって変わります。


















