カテゴリー別アーカイブ: 生徒さんの作品
複数のひび
NHK文化センター柏教室のYさんの作品をご紹介致します。
陶器のお猪口のひびです。
ひびを止めた後、欠損を埋め、金泥で仕上げられています。
外側から見るとあまり目立ちませんが、内側は3本のひびが目に
入ってしまいます。
化粧土もしくは粉引と呼ばれる釉薬の場合、最も目立たなく仕上げる
には銀泥をお勧めしています。
銀泥が少し硫化したところで、ある措置をすると釉薬の色に馴染んだ
色で落ち着きます。
Yさんはまだ仕上げを始められたばかりだったので、失敗の少ない
金泥を選択されましたが、慣れてこられたら銀泥にもチャレンジして
頂きたいと思います。
仕上げはご本人のお気持ち次第です。
仕上げの際に迷われるようでしたら、ご相談下さい。
最適な方法をご提案したいと考えています。
自然に馴染む
NHK文化センター柏教室のYさんの作品をご紹介致します。
楕円形のお皿に入ったひびの金繕いです。
何らかの植物の柄が入っているお皿です。
それがモダンなデザインで直線的にラインが入っているところに、まるで
植物の枝分かれのようにひびが入っていました。
ひび止め後、金泥で仕上げられたのですが、これが絶妙に馴染んでいます。
これが金繕いマジックですね。
人間が意図して出来ない意匠が完成するのです。
これを新たな魅力としてお使い頂ければと思います。
シー陶器・シーグラスで作るアクセサリーその後
こっそり行っているシー陶器・シーグラスで作るアクセサリー作り
ですが、3月に行った分をご紹介致します。
透明に近いガラスを集めた作品。
天然石とシー陶器をパズルの様に上手く合わせているところが秀逸
です。
講座終了後、お手持ちのビーズを入れ込まれた力作。
パテで埋めて金で着彩しただけになってしまう部分が生かされています。
こちらも講座終了後にお手持ちのパーツを足された作品です。
何と眼鏡の装飾部分だったとか。
アイディア次第で何でも生かされる例ですね。
個性的なレイアウトの作品です。
横に並べた形は構成しにくいのですが、形さえ成り立たせられれば
パーツの選択のセンスの良さが光ります。
このイベントはもうやりませんと宣言しておりましたが、まだ残って
いるパーツで良ければという条件で来年に小規模で計画する予定です。
やってみたい!という方はお声がけ下さい。
優先的にお知らせ致します。
相手に伝わる
NHK文化センター柏教室のSさんの作品をご紹介します。
湯呑みの欠けです。
真摯な作業姿勢を度々ご紹介しているSさんなので、このような基本的な
欠けの直しは全く問題なくこなされています。
先日、ある方から破損の直しは技術さえ習得すれば誰でも出来ること、
という辛辣なご意見を頂戴しました。
しかし私はそうは思っていません。
かつて骨董商の方に小さな欠けの直しであっても、直し手の精神が感じられる
とお聞きしたことがあります。
まさにその通りでSさんの作品もどれだけ丁寧に作業したか、金繕いが完成
してなお素敵に見えるように気を配られたかが見えるのです。
大切な器だからこそSさんのように心を込めて作業なさって下さい。
拝見する方だけでなく、直されている器も見ていますから。
2023草木染め大会報告
例年にない暑い夏で、藍の生育を助けて頂きながら今年の草木染め
大会を終了しました。
結局、7月、8月、9月と3回行いましたので、ご参加の皆様の
作品をご紹介したいと思います。
Hさんの白生地から染められたもの。
左:帯揚げ やしゃぶし アルミ媒染でベージュ色に
右:ストール 生藍染め 染まりやすい絹とと素材の部分で色違いに
Mさんの白生地から染めたストール
左:蘇芳 アルミ媒染を2回
右:生藍染め 凹凸のある生地で深い色に
Fさんの作品。
色が派手過ぎて使えなかった帯揚げをやしゃぶしのアルミ媒染で
シックに変えられました。
左から蛍光イエロー、蛍光グリーンだったとは思えない落ち着いた
雰囲気に。
同じくFさんの作品。
左:綿ハンカチ やしゃぶし アルミ媒染でベージュに
中:派手なピンクだった絞りの帯揚げが和らいだイメージに
右:シミがあったベージュ系の帯揚げが生藍染めで新しい色合いに
草木染めの面白いところは白生地で染めたとしても、生地の風合いで
思わぬ色になるところでしょうか。
また今年の大会では使えなかった色やシミがあったものが、染めを
加えることで使えるものに変えられた方が多かったのが印象的でした。
金繕いも「蘇らせる」ものですが、草木染めも同じだったというのを
改めて気づきました。
来年また行うか迷いがあったのですが、ご参加の方から「是非」という
お声を頂いて頑張ってみようと思っています。
藍の栽培を協力して下さる方もおられますので、今年は参加しなかった
けれどという方は、来年は是非ご検討下さい。
色を変える
NHK文化センター千葉教室の生徒さんの作品をご紹介します。
割れの金繕いです。
今回、工夫して頂いたのが仕上げです。
渋い色目の染め付けで紫陽花が描かれていますが、この絵をまたぐように
割れの線が入っています。
度々このような具象柄の対策をご紹介していますが、今回は柄に差し掛かった
部分だけ薫銀泥の仕上げにして頂いたのです。
植物はもちろんのこと、人型など仕上げの線が痛々しく見えるケースは多く
あります。
今回のケースは単純に仕上げの色を変えただけで落ち着いて見えるという
取り組みやすい方法です。
是非参考になさって下さい。
仕上げデビューにして
JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室のTさんの作品をご紹介します。
醤油差しのひびの直しです。
素晴らしいのは仕上げデビューで、これだけの細い線が描けている
ことです。
そう、皆様憧れの細い線です。
Tさんは下地の作業から丁寧な仕事振りでしたので、この細い線も
納得です。
いつもブログに書いていますが、仕上げの線は細ければいいというもの
ではありません。
Tさんの場合、小ぶりな醤油差しにとても合っている線なのでなお
いいのです。
ましてや仕上げに慣れないうちは無理する必要はありません。
自分が描ける精一杯のものでいいと考えています。
どんな線であれ仕上げにたどり着いた、ご自分をヨシとしてあげて下さい。
海外産の漆器
藤那海工房 西登戸教室のOさんの作品をご紹介致します。
東南アジア系が産地の漆器の直しです。
日本にはない独特の意匠が素敵な漆器です。
特にお使いになってはいないとのことですが、置いておくだけで雰囲気が
ある一品です。
こちらはまず取手の部分が裂けてしまっていました。
これをただ接着するだけではなく、糸を巻いて仕上げられました。
釣り具で使う巻き方だそうで、巻き始めと巻き終わりがわからない
ところが、より綺麗に見せています。
このほか物入れ部の痛みもしっかり直して完成とされました。
実はこのもの自体は同じ教室のIさん所有のもので、返却されたご本人が
喜ばれたのは勿論です。
ご自分のものを直すのが金繕い教室ではありますが、面白いもので
自分が破損させたものは同じように欠損するのです。
ですので預かって直しを行うと自分が壊さない形で破損しているものを
直すことになるので、とても勉強になります。
その他、お返しするとなると作業も丁寧になるので、そこも腕を上げる
要素になります。
是非お友達、ご親戚から預かって直してみましょう。
マグカップの補強
藤那海工房 西登戸教室にいらしたIさんの作品をご紹介致します。
マグカップの割れに補強をしたものです。
マグカップの取手周辺が割れたケースです。
再度使用を考える場合、接着後にしっかりとした補強が必要です。
Iさんの場合、縁に近いところで糸を巻いて頂きました。
この方法ですと樽にタガが嵌めてあるように、再度剥離してしまう
のを押さえます。
Iさんは細い糸を必要最小限の巻き数で収められました。
もちろん単純に糸を巻いてあるだけではありませんし、糸の材質も
問題になってきます。
同様のケースの場合、まずは手順をご相談下さい。
詳細についてご説明致します。