カテゴリー別アーカイブ: 基本のき
金彩を戻す
NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
割れの接着後、縁の金彩を戻されました。
縁の金彩が薄くなってしまうのは、Hさん同様、骨董ではよくある
ことです。
また洋食器でも金彩が施されていることが多いので、ご要望が多く
あります。
Hさんの場合、金箔を貼られて戻されました。
完璧を目指しているうちに何度か貼り直しをされたそうで、金色が
眩く光っています。
金彩の入っている部分で方法が変わりますので、なさりたい場合は
一度教室でご相談下さい。
プラモデル制作道具の活用
以前からプラモデル制作道具に使えるものが多いとブログに書いて
きました。
先日、NHK文化センター柏教室のHさんが面白いものを持って
来られたので、ご紹介したいと思います。
Hさんは他の教室でもなさっている方が多くおられる箸の塗り直しに
チャレンジなさっています。
箸を塗り直した場合、必ずどこかを固定して塗った部分を乾燥させる必要
があります。
それぞれ工夫して持ち帰られているのですが、Hさんがお持ちになったのが
プラモデル制作道具です。
こちらは先端にクリップのついた棒を固定させる紙製の台です。
中に巻きダンと呼ばれるダンボールの片面のないものが詰められています。
その穴に箸が固定出来るのです。
お帰りにはさらに固定した台を包むように紙袋に入れていかれました。
この他、発泡スチロールとか巻きダンで包むとか色々な方法があります。
新しい方法を見つけられたら是非お教え下さい。
正倉院の世界展
現在、東京国立博物館で行われている「正倉院の世界」展に出かけて
来ました。
副題に「皇室がまもり伝えた美」とあるように御即位記念の特別展です。
今回の展示で目玉は「黄熟香(蘭奢待)」だと思います。
私は実物を初めて拝見しましたが、想像していた以上に大きさがあったこと、
天下の名香と言われるだけあって、ただの木材とは違う何かを感じるもの
でした。
技術的に興味があったのが課程も紹介されていた「螺鈿紫檀五絃琵琶」です。
螺鈿、鼈甲で作られた装飾部分は本当に美しいものでした。
今回、宝物をどのように守ってきたのかという展示もされていました。
中でも「塵芥」には驚きました。
収蔵品から落ちた残片も処分せず、大正時代から100年かけて丁寧に分類し、
未だ知られていない情報を内包するものとして分析されているのです。
この途方もない作業によって私達は貴重な品を拝見出来ているのだと実感
しました。
11月6日より後期で展示替えが行われるので、また出かけたいと考えて
います。
ガラスの写真立て
NHK文化センター ユーカリが丘教室のWさんの作品です。
ガラスの写真立てが割れてしまっていました。
接着の断面が薄い為、そのまま接着しただけでは上手くいきませんでした。
そこで裏面から金属棒で補強。
ようやく上手くいきました。
金属棒は見えますが、違和感がない仕上がりになったと思います。
このように上手くいったのはWさんの根気強い丁寧な作業の結果です。
金属棒に限らず、支えを入れることで再使用が可能になるものは多くあります。
スプーン類は良い例です。
それぞれ手順に違いが出ますので、教室でご相談下さい。
把手の補強
NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
把手の割れの補強です。
マグカップなど把手の割れはよくあることです。
まず金繕いして再度持ち上げることが出来た方がいいのか、飾りでいい
のかという使用の問題があります。
次に割れた位置によって手順が変わりますので、教室でご確認下さい。
Aさんの作品は下方に割れがあった為、表からも補強を必要としました。
その分、手間がかかりましたが、丁寧な作業で美しく仕上がっています。
元からこのようなデザインだったかに見える完成度です。
次の作品の完成も楽しみにしています。
トクサの植え替え2019.夏
ピラティスを習っているMidori先生からトクサの苗を追加で頂戴していました。
これを大きく育てるには植え替えが必要ということで、実行してみました。
親の親という株なのですが、糸トクサのような細い新芽しか出ていません。
鉢底石を入れて、花でも野菜でも何でもOKの培養土と水はけを抑える黒土を
入れました。
表面のサラサラした土が黒土です。
全体の1割ほど入れました。
細かい根は落としてしまい、元の太い根だけ残します。
育ちつつあった苔を表面に植えて、植え替え完了です。
先に頂いた苗同様、大きく育ってくれることを願っています。
九谷焼の金繕い
セブンカルチャークラブ成田教室のTさんの作品をご紹介致します。
九谷焼の金繕いです。
もっともポピュラーな九谷焼の柄の湯呑みが欠けていました。
深い緑色の釉薬に金泥が生えています。
赤絵の九谷焼です。
縁がほんの少し欠けていたのですが、金彩が入っているので、仕上げた部分に
違和感がないと思います。
どのタイプの九谷焼でも金繕いがとても合うと思います。
いいものは是非Tさんのように金繕いして使い続けて頂きたいと思います。
もう1点はTさんの陶芸仲間の作品です。
綺麗に二つに割れていたのを金繕いされました。
思い切った太い線が器の感じに合っています。
柄の位置に対して割れの線が絶妙の位置に入っているのも偶然の産物とは
思えない感じです。
Tさんはわざわざご遠方から成田教室に来て下さっています。
ご自分のペースで構いませんので、金繕いを楽しんで頂ければと考えています。
形を取り戻す
セブンカルチャークラブ 成田教室のSさんの作品をご紹介致します。
小鉢の縁が欠けて無くなっていました。
この複雑な形の欠損を木片で作って形を取り戻しました。
もちろん相応の手間はかかりますが、ここまで綺麗に形が作れるのは
木片ならではと言えます。
現在、金繕い(金継ぎ)で欠損を埋めるのは錆漆を始め、練り物で行われる
方が多勢かと思われます。
しかし古い技法である木片の加工は、数々のメリットがあります。
簡単に言えば「丈夫で長持ち」「形が美しい」の2点でしょうか。
教室においでの皆様にはこの点をご理解頂けると、作業の意欲が増すと
思います。
Sさんの作品は本当に美しい形をしています。
仕上げは少々修正が必要ですが、それは些細なこと。
是非参考にして頂きたい作品です。
Midori先生式 トクサの育て方
ピラティスを教わっているMidori先生から頂いたトクサの状態が
とても良いので、育て方をお聞きしてみました。
土
培養土でも構いませんが、少し黒土を混ぜて水はけを抑えます。
日当たり
日陰の植物というイメージが強いかと思いますが、日当たりは選びません。
水やり
シダ科の植物なので、とても水を必要とします。
植木鉢で育てる場合は腰水といって鉢の下に水が溜まる受け皿を用意します。
肥料
春から秋の新芽が出る今の時期は、ハイポネックスなどの肥料を適宜与えます。
冬越しして刈り取った後、お礼肥として鶏フンか牛フンと堆肥を株の根から
離れたところに与えます。
これは肥料の効果がトクサにとっては強すぎるからだそうです。
このお礼肥を与えることによって新芽の発育を促します。
植え替え
鉢に根がいっぱいになったら植え替えます。
これは鉢の縁ギリギリにしか新芽が出なくなったりするので、わかります。
鉢から株を抜いたら、細かい根はほぐして落とします。
古い根を落とすことによって、新しい根が育ちます。
Midori先生の話を伺って思ったのが、適切な肥料と植え替えの必要性です。
トクサは虫もつきませんし丈夫な植物ですが、道具としてしっかりした物を
得たいと思ったら適切な処置が必要だということです。
トクサが上手く育たないとお悩みの方に参考になれば幸いです。
カードケースを使う
漆器やガラスの修復で使用する紙ヤスリの収納に困っている方は
多いと思います。
藤那海工房 金繕い教室のHさんがカードケースを使って便利に
収納されていたので、ご紹介致します。
ハガキファイルをご利用の方が多いのですが、使いたい番手を探して
めくる必要がありますし、出し入れもスムーズではありません。
その点、蛇腹式のカードケースだと一覧できますし、取り出ししやすいと
思います。
強いて言えば入れられるサイズに紙やすりをカットする必要がありますが、
使う時にはカットしなければならないものですから手間というほどでも
ないかと思います。
何よりコンパクトなので、持ち運びにも便利さを感じることでしょう。
どうしたらいいかお悩みの方は参考になさって下さい。