今日は台北 故宮博物院展に展示されていた書について、書きたいと
思います。
書の展示でメインなのが、蘇軾(そしょく)の「行書黄州寒食詩巻」です。
これは蘇軾が地方に左遷された際に、その辛い状況を訴えたものです。
字の大きさも大小まちまち、形も乱れ、縦に引いた線が物悲しく揺れます。
内容がわからなくても、蘇軾の心情が読み取れる気がします。
量的に展示が多いのが、米芾(べいふつ)です。
その流れるような書は魅力がありますが、安易な臨書は許さない
難しさがあります。
個性といえば、徽宗(きそう)オリジナルの「痩金体」の書です。
一目見てわかる、そして忘れられない字体です。
縦に長く華奢な感じは、繊細であったのではないかと性格の推察さえ
出来そうです。
しかし一筆一筆に迷いがなく、“自信”が感じられる王の字です。
私が気に入っているのは、高宗の「行書千字文冊」です。
現在私が臨書している王羲之の書を手本としているだけあって、美しく
品格のある文字です。
原一菜(いちな)先生から、書とは上手下手ではなく、心で書くもの
というお話を伺いました。
まさに蘇軾の心情を訴える文字がそれです。
まだまだ臨書するだけの私ですが、自分の字とは一体どんなもの
なのか考えていきたいと思いました。