京都国立博物館に収蔵されている貝桶柄の打掛をご紹介致します。
江戸時代(18世紀) 「浅葱綸子地貝桶文様」
浅葱色の地に友禅染めと刺繍で、貝桶と蛤の柄が入っています。
それぞれの蛤、貝桶が変化に富んだ表現がされており、その丁寧な
仕事振りに、この打掛に込められた願いが見えるようです。
貝合せは、遊びとして発祥しましたが、蛤が他の貝とは決して対にならない
ことから江戸時代には嫁入り道具の筆頭になりました。
転じて貝桶は吉祥文様として入れられているのです。
金繕いのカリキュラムでは、金箔のあしらいの練習として貝合せの
制作を入れています。
その際、蛤のご用意をお願いしています。
これに対してアサリでは駄目か?ホンビノス貝では駄目か?という
質問が多くあります。
このような歴史をご理解頂ければ、蛤でなければならないとご理解
頂けると思います。
まずは蛤で制作頂き、その後お好みの貝でチャレンジして下さい。