日別アーカイブ: 2018年1月13日

本漆について

このところ本漆での金繕いにチャレンジしたいというご相談が
続いています。
ご本人、教室の事情に応じて対応を検討しています。

その過程で気になっているのですが、本漆に関して誤解があるよう
なのです。


本漆の道具の一部

誤解1 本漆はカブレない
私の知る限りカブレない本漆はありません。
拙著で本漆初心者にお勧めしている「NOA」は、かぶれにくいと
称していますが、皮膚に付けたままにすればカブレます。

NOAの製造元の佐藤喜代松商店さんによると、NOAもタンパク質の
添加量を増やせばカブレなくなるそうなのですが、そのかわりボッテリと
もたついてしまい、使い勝手が悪くなるそうです。
もしタンパク質を添加するという方法以外にカブレを防ぐ方法があるの
なら可能性はないとは言えませんが、大正10年から漆精製販売業をなさって
いる佐藤喜代松商店さんが開発されたものですから、そうそう簡単に新技術
が開発出来るとは考えられません。

誤解2 本漆での金繕いは簡単
これはある意味正解でもあるし、不正解でもあります。
本漆は好みの環境を整えてあげれば、忠実に固化してくれます。
しかし条件が気に喰わなければ、新うるしより手痛いしっぺ返しをして
くれるところがあります。
人間ぽいですね。
ですから安易に「簡単」とは言えません。

もう少し実務的なことを説明すると、特殊な道具も必要になります。
それらを使いこなすことを考えると、やはり簡単とは言いづらいです。

何より使い方をきちんと学んでから使われるのが重要です。
カブレの問題だけでなく、器の修復を行うという目的を達するためには
様々な加減が必要なのです。


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