月別アーカイブ: 2018年1月

本漆について

このところ本漆での金繕いにチャレンジしたいというご相談が
続いています。
ご本人、教室の事情に応じて対応を検討しています。

その過程で気になっているのですが、本漆に関して誤解があるよう
なのです。


本漆の道具の一部

誤解1 本漆はカブレない
私の知る限りカブレない本漆はありません。
拙著で本漆初心者にお勧めしている「NOA」は、かぶれにくいと
称していますが、皮膚に付けたままにすればカブレます。

NOAの製造元の佐藤喜代松商店さんによると、NOAもタンパク質の
添加量を増やせばカブレなくなるそうなのですが、そのかわりボッテリと
もたついてしまい、使い勝手が悪くなるそうです。
もしタンパク質を添加するという方法以外にカブレを防ぐ方法があるの
なら可能性はないとは言えませんが、大正10年から漆精製販売業をなさって
いる佐藤喜代松商店さんが開発されたものですから、そうそう簡単に新技術
が開発出来るとは考えられません。

誤解2 本漆での金繕いは簡単
これはある意味正解でもあるし、不正解でもあります。
本漆は好みの環境を整えてあげれば、忠実に固化してくれます。
しかし条件が気に喰わなければ、新うるしより手痛いしっぺ返しをして
くれるところがあります。
人間ぽいですね。
ですから安易に「簡単」とは言えません。

もう少し実務的なことを説明すると、特殊な道具も必要になります。
それらを使いこなすことを考えると、やはり簡単とは言いづらいです。

何より使い方をきちんと学んでから使われるのが重要です。
カブレの問題だけでなく、器の修復を行うという目的を達するためには
様々な加減が必要なのです。


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手づくり手帖 初冬号の入手

昨年11月に発売した「手づくり手帖 初冬号」の「手の人」の
ページに紹介して頂きました。

こちらがすでに書店への依頼では入手が出来なくなっています。
ただAmazonなどネットで検索してして頂くと、入手可能なところは
あるようです。

2月には次の号が出てしまいますので、入手希望の方はお早めに
ご検討下さい。
どうぞよろしくお願い致します。


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迎賓館赤坂離宮に行く

昨年から見学の申し込みを何度もして、ようやく抽選に当たりました。
和風別館と合わせての見学です。

本館南側を噴水越しに。
左右対称の美しい構成です。


先般のアメリカ・トランプ大統領来訪の際、鯉に餌をあげていたシーンを
ご記憶の方もおられると思います。
その舞台になった和風別館です。
事前申し込みで当選しないと見学出来ないのですが、これがなかなか当たら
ないのだとか。

かなりシンプルな和風建築でした。
奥に茶室があり、様々なスタイルで接遇が出来るように工夫されています。

和風別館の前には各所に設置される盆栽が置かれていました。

和風別館見学者に渡されるバッチです。
桐紋ですね。

本館北側です。
車寄せがあります。
この北側の前庭までなら事前申し込みをしなくても見学出来ます。

正門内側です。
フランスから輸入されたこの門は当初黒だったのですが、現在は白に
変えられています。

残念ながら現在メインの朝日の間は改修工事中で見学出来ません。
しかし日本の技術の粋を集めた雅な世界を堪能してきました。
今まで日本各地の洋館を見てきましたが、やはり別格です。
機会があったら是非ご見学をお勧め致します。


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再度ご連絡下さい!

新年早々にHPのコンタクトから藤那海工房の受講希望を頂いた方に
返信をしたのですが、未達になってしまいました。

あいにく私がPCに詳しくはないので、このような場合の対処が出来ません。
お心あたりの方が、このブログをごらんになっておられましたら、再度
コンタクトのページからPCメール以外の連絡方法(ご住所、電話番号など)
を明記してご連絡頂けないでしょうか?

お手数をおかけいたしますが、どうぞ宜しくお願い致します。


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書き初め2018

書き初めを1月7日まで、遅くとも1月中にすると開運・運気上昇に
なると聞き、今日かな書を書いてみました。

昨年から取り組んでいる散らし書きです。

単純に1字の形を取るのも大変なのですが、墨の濃度を変化させる
のに難儀しています。

でも積み重ねは絶対効果があるはず。
前回わからなかったこと、出来なかったことが少しずつ出来ている
ように感じました。

一足飛びに何か出来るようにならなくても1歩1歩進む。
今年もそんな風に心がけたいと思います。

 


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NEW筆&ヘラ置き

年明けの休みの内に何とか作れないかと虎視眈眈と狙っていたのが
本漆用の「筆&ヘラ置き」です。
以前作ったのがあるのですが筆が転がってしまって、どうにも気に
なっていました。

材料にしたのが飾り台と三角形の棒材です。
飾り台はこれにディスプレーしたりするものだと思うのですが、下に
入れる板材にしてしまいました。
これで板をカットする手間が省けます。
難点は少々重いところですが、安定感があると解釈することにします。

ざっくり棒材をカットしたところです。
隙間が空いているところにヘラを立てかける予定。

筆を置く部分の彫り込みをしたところです。
細い筆2本と太い筆1本が置けるように幅が変えてあります。
元々のイメージは以前から持っているカトラリーレストです。

もう少し暖かくなったら拭き漆をして完成!

ということで以前作ったものに、あり合わせの端材を接着して改良。
これはこれでコンパクトで便利だし、何より金具を取り付けただけで
出来て何ていいアイディアなんて思っていたんですね。
しかし筆が全面接してしまうことで、転がってしまうとは(涙)
本漆の場合、筆が思わぬところに転がったら、それだけで“事故”です
からね。

こんな失敗もありますが、自作の道具が楽しみの一つでもあります。


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箱に割り箸

昨年末に質問頂いたのが、高台部分にも割れが入っている器を
どう作業したらいいかということでした。
以前ご紹介していますが、私は専用の治具を用意しています。

二つの棒材の間に高台をまたがせて乗せれば、作業中の部分がテーブルに
着かないで済みます。

径が小さい器の場合は、固定していない棒材を足して調整します。

ここまで専用の道具を用意しなくてもという場合には、割り箸が
便利です。

割り箸を箱の底に固定して器を乗せれば完了です。
蓋を閉めれば埃も入りませんし、本漆の場合なら加湿して室にも
出来ます。
もっと簡便にされている方は、器自体に短くカットした割り箸を
固定されていました。

たかが割り箸ですが、その厚みがあれば十分用を足します。
乾燥を待って器の表、裏と別の日に作業するのは非効率です。
ご自身のやりやすい方法でなさってみて下さい。


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DRYING BLOCK

前から気になっていた珪藻土で出来た調湿剤を購入してみました。

塩などの調味料の容器に入れておくと、調味料が固まらないというのです。
早速粗塩と砂糖の容器に入れてみました。
湿気の高い時期にどれだけ効果があるのか楽しみです。

購入した白は秋田県産の珪藻土。
他にあるピンクは石川県産、緑は秋田県産珪藻土と石川県産浅黄土のブレンド
と自然素材の色味なのだそうです。

吸湿力には限界があるので、一定期間使用したら時々外に出して乾燥させる
必要があるようですが、その他は特にメンテナンスが必要ないのも簡単です。

珪藻土といえば輪島の漆器の下地に使われているのが珪藻土です。
軽石のように多孔質になっている珪藻土は焼成されても漆を吸い込み、
堅牢な下地を作ります。

漆器の中でも高価な輪島の品ですが、手間のかかる下地があればこその
ものなので納得です。


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薬膳の屠蘇散

喪中ということで昨年末の門松・屠蘇散作りの講座に参加
出来ませんでした。
残念に思っていたところ、薬膳料理を修めた方から屠蘇散を
頂きました。

これをみりんで抽出して頂きました。
内容が多いのか複雑かつスパイシーで、とても美味しかったです。

屠蘇散は平安時代初期に伝わり、疫を除する効ありとされるもの
です。
これで新しい年の始まりという気分も高まりました。


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