自然釉の徳利

カルチャープラザ公津の杜教室のMさんの作品をご紹介致します。
自然釉の徳利の割れです。



口縁の難しいところが細かく割れてしまったのを接着され、欠損している
部分も自然に補われています。

仕上げの金泥も自然釉に馴染んで、美しい作品になりました。

ランダムな陶器の肌は繊細な磁器ほど綺麗にならさなくてもいいですと
ご説明しています。
その反面、どこまで作業すればいいのか迷ってしまう方もおられます。

簡単に言えば周囲と違和感なく繋がっていればいいのですが、どの程度か
と悩まれるかと思います。

そういう方にはMさんの作品は参考になるかと思いますので、細部まで
じっくりご覧下さい。


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セット作りました

9月7日水曜日に開催予定の「金継ぎ技法で作る箸置き・アクセサリー
作り」のイベント向けにセットを作りました。

これをそのまま使われてもいいですし、一部をお好みのパーツに
入れ替えても構わない簡単セットです。

特に初めて参加する方はパーツ選びに迷ってしまうかもしれません。
個数に限りがありますが、ご検討下さい。

イベントは
9月7日(水) 10:00〜12:00/13:00〜15:00

お問い合わせ&お申し込みはトライラボさんまで。
070-5569-7908


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切り落とす

NHK学園市川オープンスクールのSさんの作品をご紹介致します。
一輪差しの割れです。


鶴首と言われる優美な形の一輪差しをお持ちの方は多いと思います。
残念ながらその首が割れやすいのも事実です。
割れてしまった首を接着するのは当然ですが、あえて外してしまう方
もおられます。

Sさんは折れてしまった部分を平らにならして、そこを金箔のクズで
仕上げられました。
下地の赤い漆が透けて見えるところが、より鮮やかに見せています。
画像では分かりにくいのですが、内部も赤漆で塗られています。

割れてしまった形をそのまま生かすという発想はあるかと思いますが、
その形が美しいかどうかというのは冷静に考える必要があります。
Sさんの一輪尺の場合、そのバランスも良かったということで、
面白い作品になったかと思います。


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梅の枝へ

NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの作品をご紹介
致します。
鉢の割れを梅の枝に変えて仕上げられました。

割れを接着して欠損を埋めたところです。
この形がまさに梅を彷彿させる形です。
ひと目見て、梅の枝に見立てて仕上げすることをお勧めしました。


接合の線を薫銀泥で仕上げるだけでなく、新たに梅の枝振りも加えて
頂きました。
それに弁柄漆で梅の花を描き加えておられます。
さらに蕊を金泥で入れて頂きました。

枝振りにしろ、蕾・花も梅の特性があります。
蒔絵をされる場合にはきちんとそれを把握してから行う必要があります。

また故実を踏まえて梅は紅梅がセオリーです。
いくら美しいからと言って白梅を選択してはなりません。

Oさんは接合の線で表面の釉薬が欠損して丸く削げていた部分を上手く
咲いた梅の花に蒔絵されました。
蒔絵前後を見比べて頂くと納得の完成形かと思います。

Oさんの作品のようにひと目で「これは◯◯◯にすべき」と判断がつく
ものばかりではありませんが、思いついたら是非チャレンジして頂きたい
と思います。


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箸置きの金繕い

昨日に続きNHK文化センター柏教室に在籍されていたTさんの作品を
ご紹介致します。
割れてしまった箸置きの接着&補強です。

割れてしまったのは画像左下のものです。
金泥の仕上げが数カ所入っているのがお分かりになるかと思い
ます。

平らな形の箸置きだったので、裏面から和紙で補強して頂きました。
手間はかかりますが、再破損の心配なくお使い頂けると思います。

同じデザインの箸置きがあると一つだけ違う印象になってしまうのは
気になるかと思います。
Tさんの場合、破損していないものは三角形の突起部分の釉薬が剥げて
しまっていたので、色漆を使って彩色して頂きました。
4つ並べると違和感がないかと思います。

また食卓で活躍していることでしょう。


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マグカップ取手補強

NHK文化センター柏教室に在籍されていたTさんの作品をご紹介
致します。
マグカップの取手の割れを補強して仕上げられました。

画像でお分かりになるように、かなり取手がバラバラに割れていました。
それを丁寧に接着し、内側から補強を入れて頂きました。

マグカップの取手は破損が多い部位ですが、再度使用したいとなると
補強が必須となり時間がかかります。

Tさんの作品の場合、まず接着が綺麗に収まっている事が成功の第1歩
となりました。
その後の補強の入れ方もとてもスムーズに作業されていたように思います。

これはTさんが熱心に他の方の作業をご覧になっていたことが大きいの
ではないかと思います。
とかく自分の作業に夢中になりがちですが、他の人の作業を自分の作業に
置き換えて考えられるのがTさんです。

カルチャーセンターにお越しになると、たくさんの作例を見られるのが
強みです。
その強みを最大限に活かしてご自分の制作をして頂ければ幸いです。


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金繕いの世界 講習会終了しました

昨日、NHK学園市川オープンスクールで行った「金繕いの世界
〜愛着のある器を甦らせる〜」という講習会が終了しました。

この講習会は前半で金繕いの歴史から実際の作業がどんなものなのか
画像をふんだんに使ってご説明した後、お手元の直したい器が金繕いが
可能なのか判定し、小皿に蒔絵体験もして頂けるものです。


蒔絵体験の様子

今回は従来から行なっている桜の花びらの蒔絵に加え、流水紋の置き目の
選択もご用意しました。




桜の花びらにしろ、置き目にしろ、制作される方によって全く違う作品
が出来上がります。
ご説明する側としても楽しみにしているところです。

金繕いの世界と題して歴史を説明する講演会はオンラインを含めて時々
行なっています。
実際の講座ではなかなかお話できない内容なので、機会がありましたら
是非ご参加頂ければと考えております。


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着彩する

NHK文化センター柏教室のSさんの作品をご紹介致します。
骨董の小皿の欠けです。
裏面ではありますが、欠損を埋めた後、仕上げの上に着彩して
頂きました。


仕上げの金泥で途切れてしまった柄を金泥の上から色漆で
着彩して戻しています。
ちょっとした作業ですが、損なわれてしまった感じが薄れるので、よく
お勧めしている方法です。

コツはやりすぎないこと。
そこはかとなく着彩して金泥のニュアンスを残すことです。

Sさんの作業は、そのニュアンスがとても良く出来ており、大変
高い完成度の作品になりました。

金繕い(金継ぎ)が流行することで、仕上げの状態を主張するものが
多くなっているように感じます。
でもこのような奥ゆかしい主張こそ日本らしい感じがしませんか?

該当する器に出会いましたら是非チャレンジしてみて下さい。


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お皿に金の糸

NHK文化センター千葉教室に在籍していたSさんの作品をご紹介
致します。
ディナー皿の割れです。


まず偶然の妙に驚かされる割れとひびの位置です。
人間が考えられない位置と大きさ。
絶妙のバランスで入っています。

実は接着がずれてしまっていました。
預かり物でしたので、根気良く修正し仕上げられました。

当初、プラチナ泥で仕上げを試みられたのですが、持ち主の方が金泥を
望まれたので変更されています。

やはり金繕いというと一般に金のイメージが強いようです。
預かったものを仕上げられる場合はご希望をきちんと確認するべきだと
思います。

日本だけでなく世界の方が金繕いに魅了される一端がこのお皿で表現
されていると思います。
絶妙さをご堪能下さい。


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柔らかい仕上げ

前回に引き続きカルチャープラザ公津の杜教室のMさんの作品を
ご紹介します。
マグカップの取手の欠けです。

釉薬の雰囲気に合わせて筆ではない道具を使って仕上げをされています。
ほわっと柔らかい雰囲気に仕上がりました。

この方法は何度かご紹介していますが、簡単なようで簡単ではないのが
難しいところ。
必ず説明を受けて練習してから挑んで下さい。

何気なく馴染んでいますが、これはMさんがきちんと欠損を埋められて
いるからこその仕上がりです。
安易に挑めると思ったら大間違いです。

高い完成度になるには相応の努力と時間が必要ですし、どう仕上げたいか
という主体性も必要です。
もちろんご希望を聞いて最適な方法はお教えしますが、全部お任せでは
アドバイスも難しくなります。

日常で「素敵!」と思われたら記憶に留めてみて下さい。
インスピレーションはそこから始まります。


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