カテゴリー別アーカイブ: 展覧会•イベント
旧朝香宮邸を読み解くA to Z
開館40年を記念して行われている「旧朝香宮邸を読み解くAtoZ」
展に行ってきました。
建築技法、建設に携わった人々、室内意匠や素材、各時代にまつわる
エピソード等、アルファベットのAからZを頭文字にもつキーワードを
ピックアップして解説してあるところを巡る展覧会です。
旧朝香宮邸は過去に2回、リニューアル記念やガレ展などで足を運んで
いましたが、今回訪れてみて、まだまだ見どころを逃していたのに気が
つきました。
旧朝香宮邸は朝香宮がヨーロッパに外遊の際、当時最新のスタイルであった
アールデコ様式に感銘を受け、ぜひ自邸に採用したいと心血を注いて完成
させたものです。
今回のAからZまでのキーワードに示された箇所を巡るのは、ちょっとした
宝探しのようです。
各コーナーに置かれた解説のカードは、おしゃれで収集欲をそそります。
普段、未公開の「ウィンターガーデン」(温室として作られたようですが
実際はサンルームとして使われていたそう)も拝見出来たのはラッキー
でした。
見学日は好天に恵まれて都内とは思えないような大きな木に囲まれた
庭園も満喫しました。
会期は5月12日(日)まで。
美しい建築を是非ご覧下さい。
手塚雄二展
現在、日本橋三越で行われている「手塚雄二展」に行って
きました。
NHKの日曜美術館でご覧になった方もおられると思い
ますが、この展覧会は東叡山寛永寺根本中堂天井絵奉納
記念として企画されたものです。
まず日本橋三越の本館1階ホールに6×12メートルという長大な
天井画が展示されていました。
本来なら高いお堂の天井に設置されているものが床置きされて、
間近で見られるという貴重な体験から始まりました。
大きさ、板に描くという初めてのチャレンジを感じさせない阿吽
の2頭の龍は大迫力。
様々な角度で堪能させて頂きました。
加えて第ニ会場の作品展示です。盛り上げたマチエールと金銀箔で
奥行きのある空間表現、岩絵具の丹念な塗り重ねで表された
美しい色彩。
会場内に「清けし、幽けし」という言葉がありましたが、その世界
に浸れる作品群でした。
手塚先生は東京芸大で指導にあたられたそうですが、生徒はこの
ような指導者に巡り会えて幸せだったのではないかと思います。
会期は3月4日月曜日まで。
お買い物ついでに、ご覧になれるボリュームです。
「本阿弥光悦の大宇宙」展
現在、東京国立博物館で開催されている「本阿弥光悦の大宇宙」
展を見てきました。
光悦は琳派の始祖として著名なので、皆さんご存知かと思います。
琳派のくくりで展覧会は多く行われていますが、光悦のみという
のは珍しいかと思います。
ですので私としては初見の作品も多くあり、「信(信仰)」「漆」
「刀」「書」「陶」と光悦の業績をカテゴリー分けした展示を
面白く拝見しました。
天才観測というキャッチコピーほど深掘り出来ていないのではないか
という批判はあるかと思いますが、時代背景や光悦がどのくらい
関わったのかは不明という解説は現段階の報告として正直なところ
だと考えます。
同時代の方の作品が展示されているので、光悦がいかに異才か感覚的に
わかりやすいと思います。まずは光悦を堪能しようくらいの感覚でご覧
になるのもいいかと思います。
会期は3月10日日曜日まで。
事前予約の必要はありません。
うるしとともに
現在、泉屋博古館で行われている「うるしとともに
くらしのなかの漆芸美」という展覧会を拝見して来ました。
住友コレクションの漆芸品の数々を用いられてきたシーンごとに
ひもとき、漆芸品を見るたのしみ、使う喜びについてもう一度
考えたいとした展示です。
漆芸技法について丁寧に解説されているので、改めて勉強したいと
いう方には最適ではないかと思います。
同時開催として近年、寄贈された染付大皿も展示されています。
斬新で大胆な意匠は大皿ならではです。
散策がてらお立ち寄りになるのには、よろしいかと思います。
2月25日日曜日まで。
贈答の礼と日常作法2024
礼法の方で「贈答の礼と日常作法」の講習会を行います。
日本では人生の折り目折り目に贈答を行うという習慣があります。
これが今日では見た目の美しさや新奇さが先行してしまい、本質が
忘れられてしまっています。
この講習では人前で恥をかかないための日常作法と包み・結びの
基本的な形式を学びます。
本質を学ぶことによって何となく曖昧にしていたことを明確にし、
日本文化の深淵に触れられます。
残席1名様ですので、お早めのご参加をご検討下さい。
毎月第4火曜日 13:00〜15:00
2024年2月27日火曜日スタート 全6回
講習費 ¥30,000
場所 藤那海工房(西船橋駅より徒歩11分)
出光美術館「青磁」展
現在、出光美術館で行われている「青磁」展に出かけてきました。
中国で生まれた青磁は、作られた場所、時代で様々な変化を
見せます。
中国をはじめアジアから欧米まで、そして皇帝・貴族から一般の人々に
受容されます。
この展覧会は中国の青磁生産の代表的な窯から高麗や日本、さらに東南アジア
などの青磁も取り上げ、世界の人々を魅了した青磁の世界を紹介します。
私は特に南宋時代の青磁が好みです。
青磁の色味を最大限に生かしたシンプルな造形が絶妙に美しいのです。
また今回は日本も含めた他国への青磁の広がりも面白く拝見しました。
青磁という共通項はありますが、それぞれの国によって解釈が違うのです。
この辺りも楽しんでご覧になると新しい発見があるのではないかと思います。
会期は来年1月28日(日)まで。
会場は混んでおらず、じっくり、ゆっくり拝見出来ました。
染・織 ふたり展2023
金繕い教室の生徒さんである小高みどりさんが参加されている
「染・織 ふたり展」を拝見しました。
染織(せんしょく)という言葉があるように繊維を扱うという意味
で一緒に表現されていますが、実は全く作業が違う世界のものです。
それぞれの分野で研鑽されたお二人の作品は何も打ち合わせされて
おられずとも一つの空間に展示されると不思議なハーモニーがあります。
小高さんの作品です。
小高さんの作品は「友禅」の技法で、1色1色、防御しながら染めて
いきます。
染めは失敗が許されないのかと思いきや、技術的に習熟された小高さん
は、リカバリーの技術があるとか。
一幅の絵画のような作品を堪能させて頂きました。
織りの川上さんの作品です。
星座を表現された作品です。
面白いのが星を表した金色の部分です。
一見、金属にも見えるのですが、フェルトに染め用の金泥をまぶした
ものだそうです。
毎回変化のある表現を見せて下さるのが楽しいところです。
会期は12月9日(土)まで
銀座のギャルリ・シェーヌです。
年迎え 門松・屠蘇特別講座2023
今年も「門松・屠蘇」の講座を行います。
これは私の別の顔である礼法の師範としてのご案内になります。
年迎えの為に用いる正式な「根引きの雄松・雌松」に紙と水引を掛け、
正式な飾り方とは何か、日常行われている事柄がいかに略式であるかを
学びます。
また正月に行う初めての儀式「屠蘇」の調合、作製も致します。
お正月は日本人が古くから大切にしている伝統行事です。
今年は正式な門松を飾って厳かに迎えてみましょう。
日時:12月20日(水) 10:00~12:00/14:00~16:00
12月26日(火) 10:00~12:00/14:00~16:00
場所:藤那海工房 (最寄駅・西船橋駅より徒歩11分)
定員:各回 5名様
講習会費:¥8,000(雄松・雌松一対、屠蘇の材料費込み)
お申し込み:HPの「コンタクト」からメッセージをお願いします。
振込先、工房場所、持ち物などご連絡致します。
お申し込みをお待ちしております。
草木染め2023 最後の成果
今年の草木染め大会は3回で終了しました。
その最後のレポートです。
Hさんの作品です。
ご自分でなさったのが絞りです。
着物をお召しになった際の膝掛けにするそうで、淡いベージュ色が
上品な染め上がりになりました。
上に乗っているのは帯揚げです。
今回初チャレンジのやしゃぶしの鉄媒染です。
渋いベージュですが、どんな着物にも合う万能カラーです。
すでに藍は花が終わり、あとは種を実らせるばかりになっています。
来年の開催に参加をご希望の方はお声がけ下さい。
やまと絵展
現在、東京国立博物館で行われている「やまと絵」展を見に行って
きました。
やまと絵とは中国に由来する唐絵や漢画といった外来美術の理念や
技法との交渉を繰り返しながら独自の発展を遂げてきたもの、と定義
されています。
やまと絵自体は平安時代前期に成立とされていますが、当初の絵画は
中国からの影響を色濃く残しています。
本館の関連展示である「近世のやまと絵」まで通じてご覧になるとわかり
やすいと思うのですが、柔らかな筆致の絵画に昇華していきます。
題材も四季の移ろい、花鳥・山水といった自然を取材したものから、月ごと
の行事、さまざまな物語など文化を感じさせるものまで様々です。
また百鬼夜行や鳥獣戯画は現在の日本のサブカルチャーの萌芽となるのは
皆様が認めるところでしょう。
著名な作品が多く展示されているので、会期末が迫るにつれて混雑が予想
されます。
展示品が小品が多いせいか、ガラスケース前の滞留が目立ちます。
見学の際には空いているところから、隙間からと要領よく見学されることを
お勧めします。