カテゴリー別アーカイブ: 日本の文化

鳳凰が棲む

桐をスケッチする機会に恵まれましたので、桐について
お送り致します。

桐は鳳凰が住処とし、竹の実を食べて生存するという中国の古伝説に
基づいて、吉祥の象徴になっています。

ご存知の方が多いと思いますが、桐の木は成長が早く、かつては女の子
が生まれたら桐の木を植えて、嫁入りの際には成長した木で箪笥を作る
という風習があったほどです。

桐の木の大木です。
荘厳さがあり、鳳凰が棲むというのもわかるような気がします。

桐の花のつぼみです。
つぼみには産毛があり、ベルベットのような感じです。
陽の数“5”で構成されたつぼみと花を見ますと、格の高さがわかります。

次の機会には皇室及び時の執政者の紋章となった桐文について
書けたらと考えています。


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大量輸出

金繕いの工程で、和紙を使う場合があります。
先月文化庁が、ユネスコの無形文化遺産に和紙の登録を目指す
との報道がありました。
そこでかつて和紙が大量に輸出されていた、という話をお送り
したいと思います。

江戸時代末から明治時代にかけて欧米各地の万国博覧会に出展
された和紙は、種類の多様さと品質の高さが評価されて、さかんに
輸出されるようになります。

用途は様々。
タイプライター用紙、謄写版原稿用紙、宝石包装紙、コーヒー濾過紙
などなど。
いずれも和紙の薄くて丈夫な特性を生かしたものです。

その量は現在では考えられないくらい膨大なもので、横浜港 では生糸、
絹製品に続く輸出品として第3位の輸出量を誇っていたのです。


横浜港パノラマ 20世紀初頭 (横浜開港資料館蔵)

しかしこの状態も、明治34年(1901)をピークに減少していきます。
これは資本主義の進展とともに紙の需要が急増していくのに、
手漉きの和紙が対応しきれなくなってしまった為でした。
同時に国産の洋紙生産が軌道に乗り、輸入もされるようになって
しまうのです。

輸出用の和紙を載せた馬車が、横浜港の桟橋にたくさん並ぶ…
明治時代にそんな風景があったのです。


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桜咲く

5月中旬くらいの陽気になった今日、すでに満開の桜を
撮影してみました。

桜は昨日の1日講座で制作して頂いたように、蒔絵の第1歩と
して使っております。
これは桜が日本人の最も好む花であることもありますが、陽木として
格が高いことにあります。
またホツレの形状に近いことも練習の題材として最適な理由
なのです。


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節分

今日は節分。
皆様豆まきをなさったのでしょうか?それとも恵方巻を
召し上がったのでしょうか?

節分とは暦の変わり目に過去を清算して白紙に戻す“禊ぎ”の
行事のひとつです。
これは生と死が近く生き延びるのが大変だった昔、中国で
始められたものです。

節分では鬼やらいとして鬼が嫌がる大豆を蒔きますが、中国から
伝来し朝廷で行われていた当初は、大豆ではありませんでした。

では一体何だったのか?
ヒントはバチバチ爆ぜる、痛い、鬼が嫌いな色をしている
です。


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先日花活けした梅がほころび始めました。

梅というと「松竹梅」の末位というイメージが強いと
思いますが、1年の内3日だけ最上位になる日があります。
そしてその時に合わせる植物も決まりがあります。

日本人にとって梅は春の訪れを待ち遠しく思う象徴なので、
梅1輪というように、咲き始めを愛でるのです。

ところで梅には必ず合わせる鳥が決まっています。
これは故事に基づいた決まり事なのですが、きっと
皆様ご存知だと思います。


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謹賀新年

2013年、新しい年を迎えました。
毎日ブログをチェックして下さっている方がありますこと、
御礼申し上げます。

今年も金繕いをなさっている方はもちろん、興味を持ち始めた
方にも楽しんで頂けるブログを発信して行こうと思っています。
どうぞよろしくお願い致します。

さてへび年にちなんで、うろこ紋をご紹介致します。

画像は三ツ鱗という家紋ですが、これはへびを表しています。
この三角形、年末のブログでご紹介した屠蘇の包みと関係
があります。

実は日本の文化には蛇が見え隠れしているのです。


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門松•屠蘇

原一菜(いちな)先生の『年迎え•門松•屠蘇』特別講座を受講
してきました。
この講座は松に紙と水引をかけた正式な門松を制作します。

根引きの松ですが、2本の種類が違うところが太田流です。
紙と水引のかけかた、飾り方にも決まり事があります。

一緒に調合、作製した屠蘇の包みです。

屠蘇とは疫を除する効があるといわれ、平安時代初期に中国から
伝わったとされています。
包みには7種類の薬効成分が封入されており、これを酒などに
抽出して頂きます。

実はこの屠蘇がとてもおいしいのです。
甘党の私は、みりんを用意しています。


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水引き

私の師であります原一菜(いちな)先生は、金繕いばかりでなく
太田流礼法水引折方の教授でもあります。
私も基本のきは学んでおりますので、ご紹介致します。



水引は「あわび結び」です。
これで上書きをして一般祝儀として完成します。

太田流ではもろなわ結び(チョウチョ結び)は致しません。
原先生によれば本来の礼法に適った祝儀袋のあしらいが解説されて
いないことが多いのだとか。

現代の生活に合わせて変化して行くのはよいのですが、日本文化の
伝統として守るべきものは守って行きたいと考えています。


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