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ようやく書き初め

本来1月2日に行うべき書き初めが、今日になってしまいました。
昨年末あたりから漢字用の筆に悩んでいたのですが、世田谷•
ボロ市で新しい筆を入手しました。

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奥に写っているのが、急場しのぎで使っていた筆で、手前が
今回入手した、ずっと使っていたのと同じ筆です。
比べてみると穂先の太さ、長さが微妙に違うのがお分かり
頂けると思います。
このわずかな違いが気になっていました。

こうして見ると奥の細く長い筆は、千字文を書くには良さそうです。
今回購入した手前の筆は、蘭亭序の復習には欠かせない感じです。

よく弘法大師は筆を選ばないと言いますが、史実は違います。
中国から書法によって違う筆を持ち込んだのは弘法大師なので、
「筆にこだわる」と言い換えた方がよいと思います。

その弘法大師にあやかる訳ではありませんが、用途によって筆を
変えて使ってみようと思います。


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玉毛とは?

先日根朱筆のブログを書く際に、前から疑問に思っていた「玉毛=
猫毛」について調べてみました。

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かな書用 玉毛筆

毛先に玉状のものが出来るからとか、毛先部分に膨らみがあるから
という理由で「玉毛」と称されているようです。

しかし実際筆を作っておられる方のHPによると、そのような状態は
確認出来ないとのことです。
先輩職人の「猫の名前は大抵タマだから」という話が紹介されていますが、
案外本当の理由はそんなところかもしれません。

私は愛猫家に配慮して、違う言葉に置き換えているのではないかと思って
いたくらいです。

玉毛は細い線を書くために使われますが、私のかな書の腕では玉毛は
まだ無理と言われています。
上の画像に写っている筆は、いつか使える日が来ることを願って
購入したものです。

筆について興味深い話がありましたら、またUPします。


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紙の力

何の芸術でも紙は重要と言われます。
書道においても、かなりのウエイトを占めると聞いては
いました。

かな用に因州和紙をお譲り頂いたので、使ってみました。

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かすれ具合も美しく、自分の腕が2割増しになったようです。

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奥に写っている白い半紙が今まで使っていた「改良半紙」です。
三椏を主原料としています。

手前の生成りの半紙が、因州和紙のものです。
改良半紙より表面の肌理が細かいように思います。

これだけ効果を実感すると「紙」の威力に納得です。


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筆の違い

習字で使っている筆の水毛が摩耗してなくなってしまったので、代用の
筆で臨書してみました。

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この筆はいつも使っているものと毛丈が3mmほど長く、毛直径が1mmほど
細いだけなのですが、違和感があって仕方がありません。

この筆自体は初心の頃に使っていて慣れているはずなのに、その後使い続けた
筆とわずかな差が気になります。

特に長さが問題です。
取り回しが格段にしにくくなりました。

たかだかそれだけに振り回される腕しかないと言えばそれまでですが、
空海だって筆は選んでいましたし…

早くいつもの筆を入手しなければ!と思うに至っております。


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千字文 臨書スタート

蘭亭序が終了して、いよいよ千字文の臨書がスタートしました。
千字文とは中国で習字の手本として作られたものです。
日本で例えれば「いろはにほへと」のようなものでしょうか。

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梁の武帝が王子達に書を習わせるため、王羲之の筆蹟の中から重複しない
文字一千字の模本を作らせました。
しかしこれは1字ずつの紙片であって、ばらばらで順序はありませんでした。
武帝は文学の才能を高く評価されていた周興嗣(しゅうこうし)を呼び、韻文を
作るように命じます。

周興嗣は一晩かかってこの一千字を用いた整然たる韻文一篇を作り、武帝に
奉りますが、その苦労のため髪の毛が真っ白になったという逸話があります。

今回お手本にするのは、南宋の高宗のものです。
高宗の文字は、細身で流麗なところが特徴です。
文字の太さに変化が大きく、引きがあります。
お手本を書いた原一菜先生が、腕が震えたとおっしゃるくらいです。

実際臨書してみて、流れるような線をゆっくり直筆で書くには、筆を二の腕で
支えなければならず、筋トレから始めなければならないと思いました。

上の画像は先生のお手本を赤一色でコピーしたものです。
月1回のお稽古なので、お手本を頂くと、まず単色でコピーし、上から
トレースするのを何枚か書くのです。

お手本を頂いた時に書き順や、運筆の注意点はお聞きしますが、細かい所は
お手本を見ながら推測して書きます。
さながらミステリー小説の謎解きをしているようなものです。

元は王羲之の文字とはいえ、全く違う筆法の高宗です。
1,000字の長い旅の始まりです。


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蘭亭序 最後の一枚

毎月6字づつお手本を頂いて進めてきた「蘭亭序」の臨書が、ついに
最後の一枚となりました。

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手前が先生のお手本で、奥が私の臨書です。

習字の筆を持つのは中学生以来という、右も左もわからない状態から
始まって、書の面白さを教えてくれた「蘭亭序」。
書聖•王羲之の文字は、きっちりとした楷書に始まり、行書、草書と変化し、
最後にまた楷書調に戻るという、初心者には最適の課題だったように
思います。

もともと字を書くのは好きで、書道にも興味がありましたが、まさに
はまった状態になりました。
その蘭亭序のお手本が最後の1枚となり、感慨深いものがあります。

蘭亭序終了後は、千字文に挑戦する予定になっています。
324字の蘭亭序が6年かかっていますから、1,000字となると…
計算するのが少々怖い感じになります。

お手本が終了になっても、時々復習で臨書してみようと思っています。
王羲之の文字は、後年の書家が習っただけあって本当に美しい文字なの
です。


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書き初め2015

今年始めての臨書です。

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元旦から水引折方を行ったのですが、表書きの書が情けなく、
やはり日頃からの精進が肝心と実感しました。
特に引っ越しの期間、一ヶ月ほど筆を持たなかったら、悪いクセ
が出ていると先生から指摘が…
習い事は、止めた時から腕が落ちるという話に納得です。

月に6字づつ臨書を進めてきた蘭亭序も、あと7枚となりました。
内容的にも以前のブログに書いたように、王羲之が言いたかったことの
クライマックスを迎えています。
そう考えると感慨深さが増します。


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台北 国立故宮博物院展の書

今日は台北 故宮博物院展に展示されていた書について、書きたいと
思います。

書の展示でメインなのが、蘇軾(そしょく)の「行書黄州寒食詩巻」です。

蘇軾

これは蘇軾が地方に左遷された際に、その辛い状況を訴えたものです。
字の大きさも大小まちまち、形も乱れ、縦に引いた線が物悲しく揺れます。
内容がわからなくても、蘇軾の心情が読み取れる気がします。

量的に展示が多いのが、米芾(べいふつ)です。

米ふつ

その流れるような書は魅力がありますが、安易な臨書は許さない
難しさがあります。

個性といえば、徽宗(きそう)オリジナルの「痩金体」の書です。

き宗書

一目見てわかる、そして忘れられない字体です。
縦に長く華奢な感じは、繊細であったのではないかと性格の推察さえ
出来そうです。
しかし一筆一筆に迷いがなく、“自信”が感じられる王の字です。

私が気に入っているのは、高宗の「行書千字文冊」です。

高宗

現在私が臨書している王羲之の書を手本としているだけあって、美しく
品格のある文字です。

原一菜(いちな)先生から、書とは上手下手ではなく、心で書くもの
というお話を伺いました。
まさに蘇軾の心情を訴える文字がそれです。
まだまだ臨書するだけの私ですが、自分の字とは一体どんなもの
なのか考えていきたいと思いました。


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蘭亭序 ラストスパート

以前のブログで、漢字の練習には王羲之の「蘭亭序」を臨書して
いると書きました。

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蘭亭序は、王羲之が蘭亭で行った曲水の宴での詩集のための序文の
草稿です。
酔って書き、後になって書き直そうとしたものの、草稿以上のものが
書けなかったという逸話があります。

王羲之は書聖として知られていますが、この蘭亭序は名文としても
名高いものです。
私の臨書は、全324文字のうち残り52文字。
ちょうど王羲之の死生観が語られているクライマックスにさしかかって
います。

酔って書いたという逸話の真偽のほどはわかりませんが、率直に「死」に
ついて語っている様子に、私は好感を持って臨書しています。


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かな書 調子に乗る

まだまだの腕前でブログにご紹介するのはいかがなものかと
思うのですが、調子に乗っているという話題でご容赦下さい。

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かな書は原一菜(いちな)先生から、漢字の草書を書くのに
やっておくとよいということで2年程前に始めたのですが、
あまりに上達しないので、6ヶ月以上全く書かないというくらい
逃げていました。

しかし過去の優品を見て、やはり美しいかなが書きたいと奮起し、
根気良く練習を始めました。
かなは、少し線が違っただけで違う字に見えてしまうという難しさが
あります。
最初はこの点ばかりを先生から指摘されていましたが、筆の持ち方や、
墨の含ませ方を修正し、徐々に解消しました。

現在は墨継ぎや、かすれなど、より臨書として完成度を高める練習に
重点を置いています。

かなを練習してみて、漢字の草書の軽さを表現するのに役立ったのは
当然なのですが、金繕いの仕上げでも上達が見られたのには驚きました。
筆の運びが、やわらかくなったようなのです。

仕上げというと、皆様緊張されると思います。
でも緊張して上手くやろうと思えば思うほど、筆を持つ手が硬くなって
動きが悪くなるのではないでしょうか?
何度もお話していることですが、やり直しは可能ですので、リラックスして
筆を持って頂ければと考えています。


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