千字文 臨書スタート

蘭亭序が終了して、いよいよ千字文の臨書がスタートしました。
千字文とは中国で習字の手本として作られたものです。
日本で例えれば「いろはにほへと」のようなものでしょうか。

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梁の武帝が王子達に書を習わせるため、王羲之の筆蹟の中から重複しない
文字一千字の模本を作らせました。
しかしこれは1字ずつの紙片であって、ばらばらで順序はありませんでした。
武帝は文学の才能を高く評価されていた周興嗣(しゅうこうし)を呼び、韻文を
作るように命じます。

周興嗣は一晩かかってこの一千字を用いた整然たる韻文一篇を作り、武帝に
奉りますが、その苦労のため髪の毛が真っ白になったという逸話があります。

今回お手本にするのは、南宋の高宗のものです。
高宗の文字は、細身で流麗なところが特徴です。
文字の太さに変化が大きく、引きがあります。
お手本を書いた原一菜先生が、腕が震えたとおっしゃるくらいです。

実際臨書してみて、流れるような線をゆっくり直筆で書くには、筆を二の腕で
支えなければならず、筋トレから始めなければならないと思いました。

上の画像は先生のお手本を赤一色でコピーしたものです。
月1回のお稽古なので、お手本を頂くと、まず単色でコピーし、上から
トレースするのを何枚か書くのです。

お手本を頂いた時に書き順や、運筆の注意点はお聞きしますが、細かい所は
お手本を見ながら推測して書きます。
さながらミステリー小説の謎解きをしているようなものです。

元は王羲之の文字とはいえ、全く違う筆法の高宗です。
1,000字の長い旅の始まりです。


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