カテゴリー別アーカイブ: 生徒さんの作品
色漆の仕上げ
NHK文化センター千葉教室のKさんの作品をご紹介します。
茶道具の水差しの割れです。
内側からの画像がわかりやすいと思うのですが。縁が波紋様の
ように割れていました。
Kさんは接着後、欠損を埋めてみると表に描かれた瓢箪の蔓のように
見えるとおっしゃいました。
そこで仕上げは鉄釉の絵に合わせた茶色の色漆で行って頂きました。
近年の金の値上がりで金泥での仕上げを避ける方もおられますが、
今回はKさんご自身のお見立てで色漆を選択なさいました。
いつも色漆がベストの選択になるとは言えないのですが、今回の
ようにお見立てがマッチするといい作品になるという好例に
なりました。
網目文様の再現
NHK文化センター柏教室のSさんの作品をご紹介します。
網目文様のお皿の欠けです。
網目文様は漁業で使われる網を元にして作られた文様で、豊穣と成功、
魔除け・厄除け、武運長久などの意味がある吉祥文様です。
江戸時代に流行し有田焼にも多く使われましたので、この文様の
器をお持ちの方は多いと思います。
Sさんのお皿は縁が欠けて、この網目文様が一部失われていました。
欠けを埋めて仕上げて頂いた後、網目文様を再現するように薫銀泥で
失われた部分を再現して頂きました。
度々柄の再現についてはご紹介していますが、ちょっとしたことで
全くイメージが変わるのがご覧になれるかと思います。
ほんのひと手間ですので、該当する器を金繕い中の方はご検討下さい。
第2回草木染め講習会2025
今年2回目の草木染め講座を行いました。
残念ながら今年も暑さで藍の生育が悪く、ご協力頂いたピラティスの
Midori先生他の方々のおかげで何とか2回目が行えたという状況
でした。
Midori先生が育てて下さったヤマアイ
葉の形が尖っているのが特徴
今回ご参加の方々も染色用の白生地というより以前からお持ちの物の
染め直しの方が多かったです。
染め直して頂くと変色して使うに使えなかったとか、好みに合わなかった
というようなものが生まれ変わって使えるようになります。
また同じ染料を使っても生地によって違う染め上がりになるのも、
面白いところ。
数回目のご参加になる方は手順や要領に慣れてきたせいか、結果だけで
なく工程も楽しみ余裕が出てきたようです。
既に来年の講座の予約も満席になっています。
今年の藍の状態を考えると種の蒔き方を工夫した方がいいのではないか
とアドバイス頂いています。
他の素材に変える
JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室に来られていた方の作品を
ご紹介致します。
シャンパングラスの脚部の割れ、紛失です。
脚部分が割れてしまった後、紛失してしまっていました。
しかしカップ部分のカットが美しく、処分してしまうのには
ためらいがあったそうです。
ご相談があった時にまずお願いしたのが、ご自分が気に入る
代用品を探してもらうことです。
その結果探してこられたのはホームセンターで販売している
木材でした。
台形と円盤型の2つのパーツを合わせて脚部の代用になりました。
もちろん残ったガラス部分と脚部のパーツはただ接着してある
だけではありません。
しっかり繋がるように補強を入れています。
また白木だった木材部分は新うるしで塗って頂き、耐水性も
あります。
脚部が失われてしまったままでは使うことはできませんが、ここ
まで作業して頂くと十分お使いになれます。
新たに蘇った様子をご覧頂くと、お手元に諦めずにチャレンジして
みようと思う器があるのではないでしょうか。
同じでなくて良い
当、藤那海工房の金繕い教室のWさんの作品です。
湯呑みのひびの金繕いです。
画像でご覧頂けるように、ひび自体は内側の銀泥の仕上げ通りに
入っています。
ひび止めをしたところ、外側があまり目立たなかったので、必要
最小限に仕上げを留めています。
加えて外側は絵付けの色と同じ弁柄色の仕上げとして頂いたので、
より目立たなくなっているかと思います。
器は大抵は内側と外側を同時に見ることはありません。
ですので同じ仕上げとする必要はないのです。
そのように気がついて頂くと仕上げの選択肢が広がると思います。
固定概念にとらわれることなく、自由に発想してみてはいかがでしょう。
第1回草木染め講習会2025
今年も草木染めの講習会を行いました。
第1回目の今回はお使いになっていた物を染め直しする方が
多くあり、生まれ変わって新しい姿になるのを楽しんで頂き
ました。
今回ご参加の方は皆様初めてだったこともあり、色の変化を
楽しんで頂けたようです。
一応、こういう色に染まりますとサンプルはお示ししているのですが、
生地によって思わぬ変化を遂げます。
特に刺繍の入ったものは刺繍の立体感が際立ち、売っているものでは
得られない色と喜んで頂けました。
次は8月の末に行います。
この酷暑にめげず藍が再成長してくれるのを祈るような気持ちで水やり
しています。
金箔貼り
JEUGIAカルチャーセンターイオンモール八千代緑が丘教室に
来られていた方の作品です。
ご友人が作った木の葉から型取ったお皿の割れでした。
実は先端の尖った部分だけが割れていたのですが、そこだけ仕上げても
見た目があまり良くありません。
そこで破損したところより遥かに大きい面積に金箔を貼って頂きました。
緑系の釉薬と金箔の相性がよく、全体の印象が締まったように思います。
金箔を貼った範囲はきちんと計算して計画しています。
金箔の範囲が素敵に見えるのは何となくフィーリングで行ったものでは
ないからです。
このような攻めの姿勢の仕上げも楽しいかと思います。
チャレンジしてみたい方は教室でご相談下さい。
急須の金繕い
NHK文化センター千葉教室のNさんの作品をご紹介致します。
急須の取手の割れと注ぎ口の欠けです。
使用頻度の高い急須は金繕いのご希望が多い器でもあります。
中でも突出部である取手と注ぎ口の破損が望まれます。
Nさんの急須も取手は根元から割れており、注ぎ口も先端が欠け
ていました。
特に取手は急須自体を持ち上げるという荷重がかかる部分ですので、
ただ接着するのではなく、中に芯を入れて金繕いします。
表面の釉薬に類似した薫銀泥で仕上げられているので、画像では
どこが破損したのかわからないと思いますが、安全を重視した
金繕いになっています。
急須のように熱い飲み物を入れる器に関しては、どう安全を確保
するのか、確認の上、金繕いされるのをお勧め致します。
土鍋の取手
NHK文化センター千葉教室のSさんの作品をご紹介致します。
土鍋の取手破損の復元です。
三枚目の画像をご覧頂くとお分かりになるように、中空になっている取手
が割れて破片は紛失してしまっていました。
蓋をすることは可能でも掴むことができないのでは使えるとは言えません。
Sさんは失ってしまった部分を様々な素材で充填し、元の形に復元され
ました。
紐を捻ったような形を残った部分から想像して作るのは大変だったかと思い
ますが、ご覧頂けるように自然な形に作られていると思います。
仕上げはガンメタリックカラーの薫銀泥を使っておられます。
こちらも本体と違和感がない要因だと思います。
このような「もう駄目では」と思われるようなものでも金繕いは可能です。
諦めずにご相談下さい。