カテゴリー別アーカイブ: 基本のき

スポイト瓶 替えゴム

本漆での直しを行う時に使う希釈液を小分けするのに、
スポイト瓶を使っています。

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1滴2滴と調節がしやすいので気に入っていたのですが、ゴム
部分が徐々に劣化。
だましだまし使っていたのが、ついに吸い上げるガラス管が
落下する事態に(涙)
瓶ごと買い替えかとネット検索していたところ、ゴムのみ
販売しているところを発見!

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1個68円とお安いので、またもや送料の方が高くなってしまい
ました。
しかし瓶を処分しないで済むという満足感が上回ります。
このような「もったいない」精神を大切にした品揃えに拍手
です。

追記
耐薬品性にすぐれたシリコン製の物もあるようです。
次はこれを購入するつもり。


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面相筆も

このところ「こんな筆もコリンスキー」だったという情報を
頂いておりますが、面相筆にもコリンスキーがあったという
のを見せて頂きました。

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以下に面相筆について榊莫山先生の本から説明を抜粋します。
本来は画筆です。
穂が細く、長いので、細かい描写や人や動物の面相(眉や
鼻、ヒゲなど)を描くのに都合がよいので面相筆と呼ばれて
います。
穂の付け根が二段式になっているのが特徴ですが、これは穂が
細くて持ちにくいので、持ちやすい太さにするためです。
毛の材は剛毛と分類される馬が多いようです。

面相筆というと私は穂の腹の締まりがゆるいのが気になり、
使っていませんでした。
今回ご紹介頂いた筆を実際使わせて頂いたのですが、コリンスキー
ならではの水毛がしっかりあり、なかなかの使い心地です。
小さな仮名文字にもいいようです。

お話を聞いて面白かったのが、コリンスキーの雄と雌では、毛の
堅さに違いがあるということです。
雄の方が雌より堅いそうで、使い心地に違いがあるそうです。

この筆を使わせて頂いて、使えないと思っていた細く長い蒔絵筆に
挑戦してみようかという気になっています。


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NOA 錆漆は硬化する

以前のブログで播与漆工さんの「すぐ塗れ〜る」は、佐藤喜代松
商店さんの「MR」という漆ですと書きました。
MRは加熱しない精製方法で酵素を失わせないという本漆です。
MRには他に3シリーズあり、その中の「NOA」というシリーズに
ついて書きたいと思います。

NOAは皮膚科の医師との研究で、たんぱく質を添加することにより
「かぶれにくい漆」を実現しました。
その他に低温低湿でも硬化するという特徴があります。
冬には大変便利な性質なので、私は重宝して使っています。

しかしこのNOAについてネット上で「錆漆は硬化しない」と流布
しているようなので、実験してみました。
作ったのは2種類の錆漆です。
①(砥の粉10+水4)+NOA生漆4 (重量比)
②(砥の粉+水:何とかまとまる程度)+NOA生漆(ペースト状)

②は本漆の金繕いで説明されていることがある感覚で作るパターン
ですが、①はきちんと計量しています。
作製方法は、①②共以下の手順です。

a.砥の粉と水を先によく練る
b.生漆を少量ずつ、3回程度に分けて混ぜる
c.1mmまでの厚みでつける

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硬化の環境は、温度20度前後、湿度40%程度です。
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3日後、紙ヤスリ(左)とカッター(右)で削ってみました。
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結論は「どちらも硬化した」です。

今回自分で実験してみて、ネットの情報が正確ではない場合が
あるということを実感しました。
NOAは、佐藤喜代松商店さんが研究の末、販売されているものです。
それはきちんとデータを公開していることでもお分かり頂けると
思います。
もしネットの硬化しないという情報で使用を躊躇されている方が
おられましたら、安心してお使い頂けるものですとお勧めしたいと
考えています。

注)NOAは「かぶれにくい漆」ではありますが、本漆としての
使用方法を守らなければ、かぶれます。お間違いのないよう。


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乾燥トクサの購入先 見つけました

トクサの入手先をご検討の方が多いと思います。
乾燥した状態のトクサを購入出来るところがないから
なのですが、このほど購入先の情報が入りましたので、
ご紹介致します。

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以前ブログで未確認ですがとご紹介しました「箕輪漆工」の
トクサは、後日購入して確認したところ、南洋種の大トクサと
わかりました。
大トクサは使えないことはないのですが、トクサに比べると
削りがはかどりません。
しかし今回情報が入ったトクサは、国産種でお勧めできるもの
です。

販売先は「並川平兵衛商店」です。
こちらは刀剣手入れ材料販売のお店です。
10gで600円。だいたい25節くらい入っていました。
これに消費税と宅急便代で、合計 1,728円。
ですのでまとめ買いするか、何人かでシェアするのがよいかと
思います。

ところでNHK文化センター横浜教室の方々から、トクサの苗の
購入先についてご相談を受けておりました。
横浜市内の花屋さんで、安心してお求め頂けるお店がありました
ので、3月の教室でご紹介したいと思います。
少々お待ち下さい。

今回ご紹介しました並川平兵衛商店では、角粉も扱っていますが、
こちらは鹿の角から作られたものではなく、貝殻を主成分とした
軽炭酸カルシュウムと重炭酸カルシュウムを混合したものです。
鹿の角から作られた角粉より使用感が若干落ちます。
お求めの際はその点を踏まえてご購入下さい。


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コリンスキーの筆

藤那海工房 金曜日クラスのIさんが、面白い筆を持って
来て下さいました。

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極めて細い筆なのですが、ネイルアートのものなのだそうです。
画像の右端に写っていますが、これが「コリンスキー」の毛
なのです。

コリンスキーとは、イタチの仲間のテンの最上級の毛につけられる
名前です。
書家•榊 莫山先生の著書「文房四宝 筆の話」で、
『イタチの仲間の毛は、穂先が鋭い筆になる。シャープな線が
ひけるのである。』
と書かれています。

コリンスキーと言えば、書道はもちろん、金繕いでもお世話になって
いる筆です。
それがネイルアートでも細い線を描くのは、コリンスキーだというのが
ちょっとした驚きでした。

そういえばプラモデル材料店でも最上級といってコリンスキーの筆が
販売されていました。
ナイロンなどの人工毛も、いろいろ工夫されて素晴らしい物が出来て
いますが、やはり最後は獣毛なのですね。
これは以前書いた、蒔絵筆がクマネズミの毛であることに通じると
思いました。


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自作の器に加飾する

NHK文化センター柏教室のFさんの作品をご紹介
致します。
実はこのフリーカップは陶芸がご趣味のFさん自作の
品です。

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ヘラで削った窪みに、金箔を加飾しました。

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こちらが反対側のまだ加飾してない部分です。
黒い釉薬が単調になってしまったので、金箔を入れてみようと
思いつかれたそうです。

陶芸をなさっている方なら、思ったように釉薬の効果が出ず、
物足りない結果になってしまったご経験があるかと思います。

そのような時に貝合わせで行って頂いた応用で金箔を貼り
込むというのは、オススメしたいテクニックです。

Fさんのフリーカップもワンポイントに金箔が入っただけで、
見え方がすっかり変わってしまいました。
Fさんの狙い通りになったのではないでしょうか?


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持ち帰り用箱

NHK学園市川オープンスクールのSさんが、塗り立ての漆器の
持ち帰りに素晴らしい箱をお持ちになりました。

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春慶塗りの菓子鉢の塗り直しです。
画像で写っていない裏面の塗り立てを行いました。

持ち帰り用に、どこにも触れない箱をご用意下さいとお願い
しておいたら、このような素晴らしい箱をお持ちになりました。
全ての材料をご自宅の中にあった物で工夫された、ご主人の
力作です。

Sさんは前にもご主人作の治具をご紹介させて頂きましたが、
本当に素晴らしい工夫をして下さっています。
この箱もどこにも触れないという条件はもちろんですが、安全に
持ち帰るための工夫がされていて、教室内のみなさまが感嘆しきり
でした。
何より奥様のためにご主人が工夫なさったというのが、気持ちを
暖かくします。

乾燥もこの箱の中でして頂けます。
あとは表面の塗り直しです。


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金繕いした器を洗う

講座で「金繕いをした器は洗えるのか?」という質問を
受けました。
金繕いは器を再び使うために直す技法ですから、洗えると
いうのは当然の条件になります。
ご質問の主旨は、「普段行っている食器洗いのように洗える
のか?」ということだと思います。

これに関しての答えは「洗えます」となります。
但し気をつけなければならないことはあります。
新うるしの教室で行っている仕上げの方法は「蒔き放ち」という
方法です。
特に表面をコーディングしていませんので、洗う際には漆器と
思って扱って頂くのがよろしいかと思います。

以下に以前のブログで書いた修復後の器の扱い方を再録
致します。

1.電子レンジで使わないこと…金銀泥がスパークします
2.食器洗浄機で洗わないこと
3.目の洗いスポンジで洗わないこと
スポンジ
4.クレンザーを使用して洗わないこと
5.割れた物を修復している場合には片手で持たず、両手で持つこと

仕上げた部分は、再度仕上げ直すことが可能ですが、せっかく
仕上げた状態を出来るだけ長くよい状態でお使い頂きたいと
思います。


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断面のヒビ止め

このところ断面のヒビ止めについて、同じような間違いが
続きましたので、ブログでご紹介致します。

ヒビを伴う接着の場合、ヒビ止めを行って頂きます。
断面に関しては、その状態を拝見してヒビと見なしていい状態
だった場合に、ヒビ止めを行って頂いています。

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これが接着には必ず断面のヒビ止めを行うというように記憶して
しまっている方が続きました。
さらにヒビ止めの際に、水を使用する方もありました。

前述しましたように、接着の際に断面のヒビ止めは必須では
ありません。
またヒビ止めに水を使用することはありません。

ご自宅で作業する場合、お手数ですが教室で板書して頂いた
ノートを再確認するようにお願いします。
もし手順が不明なところがあれば急いで作業せず、教室で確認
するまでお待ち下さい。


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接着前の準備

かなりバラバラになってしまった器を接着する場合、事前の
準備が大切です。
NHK文化センター横浜教室の方が、とてもよい方法を取られて
いましたので、ご紹介致します。

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基本的には講座前に仮組みし、パーツにナンバリングして、
それを写真撮影するのをお勧めしています。
この方の素晴らしかったのは、接合線にマークをつけたことです。

パーツがたくさんあると、それだけで接着の作業が大変に
なりますが、この事前作業で組み立て作業がスムーズに行え
ました。

たくさんのパーツに割れてしまった器を接着する予定の方は、
是非参考になさって下さい。

ところでこのような多数のパーツの組み立てであっても、1度に
行います。
全てのパーツを組み立てることによって器が成り立つからです。
組み立てを何回かに分けてしまうと、結局はまらなくなるパーツが
出ます。
そのためにも事前準備が重要なのです。


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