月別アーカイブ: 2015年7月
市川教室 体験講座終了2015
NHK学園市川オープンスクールの体験講座が本日終了
しました。
ご参加の方々の熱心なご様子に、説明する私も力が入るような
充実した講座となりました。
この講座は前半が金繕いの歴史、金繕いの実際などご説明をし、
後半で金繕いの仕上げとなる蒔絵体験をして頂きます。
今回の講座では皆様自分のやりたいイメージがあり、個性的な
制作をされていたのが、印象的でした。
桜のはなびらを塗りつぶすのではなく、輪郭線だけで表現されるなど
今までにないチャレンジをされる方があり、私も勉強になりました。
今回のような体験講座を、今後も計画しております。
時期が来ましたらホームページ上でもお知らせ致しますので、ご参加
検討下さい。
目立たないように直す
少々変わった依頼品が完成しましたので、ご紹介致します。
本来日本の修復は蒔絵技法の応用ですので、修復箇所がはっきり
わかるのが本分です。
ご紹介する依頼品は、ポーセリンアートの参考とするべく購入された
アンティークの品です。
実使用はしないということでしたので、修復箇所を目立たせないことを
最優先して作業しました。
お皿の全景です。
画像の12時方向が修復箇所です。
欠けからニュウが入っています。
表面の修復箇所の拡大です。
金彩の入った縁が三角形に欠け、そこからニュウがのびています。
欠け部は金彩に合うもので仕上げ、目立ちにくくしています。
ニュウは閉じてありますが、目立ちませんので、あえて仕上げをして
いません。
裏面です。
表の欠けに比べて、裏面は複雑な形に欠けていました。
実は作業時間の大半が、この欠けを埋めることに費やしています。
金繕いは臨機応変。
ご要望に応じて最適な方法で直すのも、繕いの醍醐味です。
西洋骨董の優品を拝見出来たことも、よい経験になりました。
※ニュウとは
軽症のヒビのこと。表面に欠損を生じていないもの。
トクサの劣化
トクサは摩耗してしまわない限り、乾燥させて再利用出来ると
以前のブログに書きました。
しかしあまりこれを繰り返すと、トクサが劣化してしまい、
やわやわになって、道具として用を成さなくなることがわかりました。
何回繰り返して利用したら駄目になるという明確な数字はありませんが、
表面の状態や、削れ具合からご判断下さい。
花材 ミズヒキ
先日花活けのお稽古を行った植物が興味深いものだったので、
ご紹介したいと思います。
タデ科の「ミズヒキ」という植物です。
藍と花が似ているとは思ったのですが、同じタデ科でした。
花穂です。
名前の由来は花びらに見えるがくが、赤白のツートンになることから
祝儀袋の水引に見立てたそうです。
がくから延びている白い物は、めしべです。
ひなびた風情が茶花にピッタリですが、これは自然に生えている
状態から枝振りを剪定したからです。
私は、この剪定がまだまだ思い切って出来ません。
そのためには仕上がりのイメージが出来、コンセプトが出来て
いないと駄目だなぁというのが反省点です。
藍 渇水する2015
順調に育っていた藍ですが、長雨が明けたあとに渇水させて
しまいました。
上から見ると問題ないように見えます。
しかし横から見ると、根元と枝先には葉があるものの、中間の葉が
なくなっています。
この部分が枯れてしまったのです。
現在は直射日光の当たらない場所に避難し、朝夕2回の水やりを
行ったところ、何とか葉が枯れる率が下がりました。
葉が枯れてしまった中間部分も、新芽が出だしています。
今年は藤那海工房 土曜日クラスで生藍染め大会を計画しています
ので、生育状況には責任があります。
この暑さで渇水し、野菜が高値になっているとニュースがありましたが、
頑張って育てて良い状態にもっていきたいと考えています。
自作のペンケース4
今まで3回ご紹介してきました「自作のペンケース」ですが、
今回はNHK文化センター ユーカリが丘教室のIさんの
ペンケースをご紹介致します。
Iさんのペンケースは、これまでの物とは違って布を縫うのでは
なく、段ボール芯を利用しています。
段ボール芯の波の部分に筆が上手くはまっています。
縫い付けた細ゴムで、筆が固定出来るようになっています。
表は裏にのりのついた布を貼っておられます。
このような布は100円ショップでも販売しているそうで、簡単に
作れます。
またボタンがついていますが、これに輪ゴムを引っ掛けて、しっかり
閉じることが出来ます。
秀逸なのが、上部が折り曲げられるようになっているところです。
筆の取り出しがしやすくなっています。
このケースだと筆が痛まないし、何より軽量、コンパクトなところが
いいそうです。
リーズナブルで、手間もかからず出来るので、汚れてしまったら、気軽に
作り直すことも可能です。
段ボール芯の波を利用するというのが、目からうろこのケース
でした。
筆のケースに悩まれている方は、是非参考になさって下さい。
ダイナミックな線
NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの作品を
ご紹介致します。
確か菓子鉢としてお使いだったかと思いますが、陶器が割れて
しまったのを接着し、金泥で仕上げられました。
割れの線が、ダイナミックに入っています。
器が大振りなので、この線が効果的な景色となっています。
しかしご本人としては線を均一に描きたかったのが、途切れ途切れに
なってしまったと、少々不本意なご様子です。
これは器の形が複雑で、表面もざらざらしているので、筆の運びが
上手くいかなかったからのようです。
そこでオススメしたのが、筆の号数を上げて太い物を使うことです。
仕上げ用として最初にお求め頂いているのが0号ですが、これは
だいたい1cm角くらいならば楽に仕上げが出来ますが、それ以上に
なると難しくなってくるはずです。
特に今回Tさんが取り組まれた器は、表面のざらざらに負けないように
長い距離を仕上げなければなりませんので、たっぷり新うるしを含ませ
られる太い筆が必要だったかと思います。
筆が太くなると先も太くなるイメージがあるかもしれませんが、
オススメしているメーカーのものですと、穂先が利いているので、
1本で細い線も、ベタ面も仕上げることが出来ます。
ご興味のある方は、教室でご相談下さい。
モダンな仕上げ
NHK文化センター柏教室のUさんの作品をご紹介致します。
横から見ると、きれいな台形をしたモダンな器です。
これが割れたものを接着し、欠損を埋めて金泥で仕上げて下さいました。
割れの接着が難しく、ズレが出てしまったので、それの修正に難儀
されましたが、完成してみると、割れの線がモダンな器にとても
マッチしていて、元からこのデザインだったかのようです。
これが金繕いの面白いところですね。
ところで仕上げが畳つけと呼ばれる高台がテーブルに接する部分に
差し掛かった場合、仕上げを長持ちさせる工夫があります。
そのような修復をなさっている方は、教室でご質問下さい。
表裏
NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介
致します。
ご本人は細い線を描く限界とおっしゃいますが、器の感じと
丁度良いバランスだと思います。
ヒビの美しさが自然に表現されているのも、好感度が高い理由
ではないでしょうか。
また釉薬に金泥が映えて、とても美しいです。
面白いのが、器の表と裏でキズの出方が違うということです。
これはあり得ることです。
器の質と、破損の衝撃との兼ね合いで生じたことと思われます。
Hさんは熱心に受講され、練習も怠らないので、どんどん完成度
が高くなっています。
難しいので、もっと上達してからとおっしゃっている器も
積極的にチャレンジして頂きたいと思っています。
はまゆうの会2015
友人の日本画家•斉藤佳代さんのグループ展に行ってきました。
斉藤さんのグループ展は、先日の「こころばえの会」も記憶に
新しいところですが、先月に続いて作品を発表される斉藤さんの
制作活動には頭が下がります。
今回のはまゆうの会では、大きい作品に取り組まれている上、
新しい作風にもチャレンジされています。
梅雨明けも近くなり蒸し暑い日々ですが、斉藤さんの作品は
さわやかな清涼感があります。
銀座にお出かけの際には、足を伸ばしてみて下さい。
銀座スルガ台画廊で、7月18日(土)までです。