月別アーカイブ: 2015年10月

2015 第3回生藍染め大会

今年最後の生藍染めを行いました。
風呂敷の縫製品を入手しようか迷ったのですが、染め足しをする
ことにしました。

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飾り座布団や古袱紗に仕立てようと思っている端切れです。
少々色が浅いので、もう一度染めようと考えました。

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特に変化が大きかったのが、この2枚です。
一番上の画像で右側に写っているものです。

2枚で染液に浸けた時間が違うのですが、ほとんど変わりがありません。

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貝香合を置くと、こんな感じになります。
ハマグリ貝は茶系統の色が多いので、濃い色の方が映えると思います。

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もう1回取れた染液で、紙を染めました。
画像より実物はきれいなペパーミントグリーンに染まっています。

絹は1回目の染液から上げると青くなりますが、紙は緑にしか
染まりません。
紙の製造過程によるものではないかと聞いていますが、確かな話は
わかっていません。

染液に浸ける時間より、浸けた順番で色が変わります。
染液の中の染まる成分の残り具合によるのではないかと思われます。

藍は種から育てた1年草なので、あとは花が咲いて枯れていきます。
生藍染めのために花穂を取っていましたが、今後は鄙びた花の風情を
楽しんで終わりにしようと思います。


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欠けの仕上げ方

よみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんの作品をご紹介
致します。

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Sさんの作品は度々ご紹介していますが、上の画像のような複雑な線でも
難なく仕上げられるようになられています。
特に上の陶器は完成度が大変高く、見応えがあります。

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今回悩まれていたのが、上のような「欠け+ひび」の欠けの部分の
仕上げ方です。
欠けは、いかにベタ面を綺麗に塗り上げるかにかかってきます。
均一に薄く塗るには、いくつか方法があります。
どの方法が自分に合っているか、仕上げたい場所にあった方法は何か
と考えて選択するのもいいでしょう。

仕上げを上達するには、コンスタントに仕上げをするのが一番だと
思うのですが、なかなか都合よく仕上げる器があるとは限りませんので、
作業のついでに仕上げを想定した練習をする、というのがオススメです。


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手を洗うのは…

金繕いの講座の際、手指を石けんで洗って下さいとお願いしています。
それはなぜなのか、改めてご説明しておきたいと思います。

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手指を洗っておいて頂きたいのは、講座の都合上ではありません。
本漆にしろ、新うるしにしろ、油分に弱い性質があるからです。

例えば本漆が皮膚についてしまった場合、油を塗布するとかぶれを
回避出来ます。

器の修復上では油分が修復箇所についていると、削る•磨くなどの作業を
すると、欠損面からごっそり剥がれてしまうなどということがあります。

この場合、まず器を洗うことからお願いしています。
もちろん欠損を埋めていた作業もやり直しです。

このようになってしまったのは、修復前の器の洗浄が不十分であったか、
もしくは手指に油分が付着していたなどの理由が考えられます。

修復を始める前の器の洗浄は、徹底して行いましたか?
(仕上げ前の器も洗浄が必須です。
ご不明の方は、教室で手順を確認して下さい。)

ご自宅で作業をする際、もしくは作業の状態をちょっと確認する時に
手指を石けんで洗わずに修復箇所を触っていませんか?
洗っていない手指で、他の方の作品の修復箇所を触っていませんか?

ちょっとしたことが時間をかけてやってきたことを、台無しにして
しまいます。
ご面倒でも器と手指の洗浄は徹底なさって下さい。


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試行錯誤中

NHK文化センター ユーカリが丘教室のHさんの作品をご紹介
致します。

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湯のみは、唐津焼•中里太郎衛門窯のものです。
画像右に写っている黒釉のものは、小さい欠けが点々とあり、修復箇所が
目立つのを気にしておられます。

このような場合は、銀泥で仕上げて、硫化するのを待つのが一番よい方法
ではないかと思います。

男性に多いタイプなのですが、Hさんも教室でご説明していない独自の
方法で仕上げをされています。
それが本当に効果的な方法なのかは、Hさんご自身が納得されるべきと
考えています。


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貝桶•貝合せ柄の小皿

藤那海工房金曜クラスの方が、修復されている小皿をご紹介致します。

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対の貝桶と貝合せが描かれた小皿です。
愛嬌すら感じる筆致がとても魅力的なので、撮影させて頂きました。
貝桶•貝合せの柄も珍しいと思います。

骨董店でお求めになったそうですが、いつの時代のものなのか、
確認し忘れてしまいました。

江戸時代に貝桶•貝合せは婚礼の際の持ち物として筆頭となります。
それだけ格が高いのは陰陽の影響もあるかと思いますが、一組の
ものでなければ合わないというところに日本人が「互いに分ちがたい」
という心情を感じたからだと考えます。

この小皿も婚礼に関するものとして作られた器かもしれません。
よいものを見せて頂きました。


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トクサの花

自宅で育てているトクサに花(胞子葉群)がつきました。

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ツクシのような頭です。
トクサはスギナの一種というのが、よくわかります。

10月から受講を始めた方がおられますので、改めて道具としての仕立て
方をご説明致します。

まず刈り取るのは、寒くなってから。12月から翌年3月がいいでしょう。
その後は天日干しをして、含んでいる水分を乾燥させます。
1週間程度で十分です。
この時、トクサの色は枯れ色ではなく、緑色が残っていても構いません。

道具として使う場合は、20〜30分水に浸してから使用します。
乾燥したまま使うと、バラバラになってしまいます。

道具としてのトクサは、消耗品です。
頂くなり、育てるなりの入手方法をご検討下さい。


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筆置き いろいろ

先般私が使っている筆置きをご紹介しましたが、受講中の方々が
お持ちの筆置きをご紹介したいと思います。

NHK文化センター ユーカリが丘教室のIさんの筆置きです。

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箸置きを作る機会に、筆置きを作られたそうです。
手作りらしいゆがみが、いい味出しています。
筆の納まりも良さそうです。

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こちらは藤那海工房金曜クラスのIさんのものです。
画像左上の物は、木をご自分で削られ、赤金という金箔を貼られた
ものだそうです。
これに絵を描き添えたいご希望なので、膠下地をお勧めしたところです。

そして画像右下に写っているのが、江戸時代の筆置きを作家さんが復刻して
作られたものなのだそうです。
角度が悪くてわかりにくいのですが、舟の形をしています。
縁部分が金の陽刻になっており、華やかな意匠になっています。

特に筆のかかりがありませんがデザインがおしゃれなので、使っていて
楽しめるものだと思います。

以前からご紹介している筆入れにしても、粉鎮にしても、皆様楽しんで
おられる様子がとてもよいと思っています。
このように気に入った道具をお使いになっていると、作業も楽しく
進められるのではないでしょうか?


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復活した大鉢

NHK文化センター ユーカリが丘教室のIさんの作品を
ご紹介致します。

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縁に複数の欠けと、ヒビが大きく入ってしまった大鉢です。
ざっくりした陶器ですが、縁は角が出ていて形を戻すのが難しい
タイプでした。

複数の欠けを丁寧に埋められて、ヒビと合わせて仕上げられました。
金泥の線が優雅になびいているようで、とても印象的です。
同じクラスの皆さんから、その美しさに感嘆の声が上がりました。

実はこの大鉢は破損してしまった時にあきらめられて、使っておられ
なかったのです。
そういったものが実用に復帰するのが、金繕いの意味でもあると思い
ます。

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こちらはそば猪口の縁の欠けを銀泥で仕上げられました。
欠損箇所が多かったのですが、Iさんは丁寧な作業で綺麗に
埋められました。

銀泥はやがて硫化し、染付けの青に馴染みます。
一般にしまい込むより、外気に触れていた方が硫化の進行は早く
なります。
このそば猪口がいい色合いになるのが、楽しみです。


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返却OK

NHK文化センター ユーカリが丘教室のMさんの作品をご紹介
致します。

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掛け花入れです。
口のところがバラバラに割れていました。
接着からして大変でしたが、首が傾いて狭くなっていたところの
欠損を埋めるのに難儀されました。

ようやく完成し、持ち主のところに返却される予定です。
複雑に入った仕上げの金泥が、新しい文様のように見えます。
これだけの完成度であれば、きっと喜ばれることでしょう。

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こちらは思い切りよく仕上げられた作品です。
磁器ですがゆらぎがあり、趣のある柄が描かれているお皿です。
真ん中にヒビの線が入っているのが、仕上げの線と相まって
とてもいい雰囲気を出しています。

度々仕上げの線の太さについては書いていますが、細ければよい
のではなく、器とのマッチングだと思います。
そういう意味でMさんの作品は、よいお手本になると思います。

Mさんも新しい技術に挑戦して下さっています。
お預かりものは緊張するかと思いますが、より高い完成度に
向けてお手伝い致します。


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蘇ったカップ

NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの作品をご紹介
致します。
洋の器を仕上げて下さいました。

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愛らしいデミタスカップ&ソーサーのセットです。
特にカップは、底面が四角で、縁が円形という珍しい形をしています。
知人の方の物だそうで、破損してしまってからは飾りものになっていた
そうです。
しかしこのように修復されれば、お使いになりたいと思われるのではない
でしょうか?

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もう1点は、マグカップです。
本来は欠けが1カ所だったのが、さらに割ってしまったという何とも
大変な状況から復活しました。

複雑に割れた線がまるで文様のように見え、不思議な魅力を醸し出して
います。
面白いのが、綺麗に左右対称になっているところ。
文様に見えるのは、そんなところからかもしれません。

金繕いというと和の器のイメージが強いと思います。
しかしTさんの作品を見て頂ければ、繕いの線が違和感ないことに
納得されるでしょう。

次々新しい技術に取り組んでおられるTさん。
今後の完成も楽しみです。


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