黒楽茶碗のひび

黒楽茶碗にたくさんヒビが入ってしまったものの金繕いを
ご依頼頂きました。
こちらも本漆で修復し、ヒビがわからないように仕上げています。


縁から高台にかけて1.5〜2cm間隔で20本弱のヒビが入っていました。
おそらく画像では全くわからないと思います。

このヒビにしっかり黒漆を染み込ませて、止めています。
一部縁に近いところに、ごく小さな欠けがあったので埋めてありますが、
こちらもわからなくなっています。

このような方法を取れたのは、事前に下準備をして過剰に黒漆が素地に
染み込まないようにしているからです。
下準備がなく黒漆を染み込ませると、柔らかく隙間のある素地が漆を
含んでしまい、数ヶ月乾燥しない状態になる可能性があります。

器の釉薬に馴染ませて修復する方法を「総体漆繕い」と言いますが、
過去にたくさん名品があります。
静嘉堂文庫の茶入れ「付藻茄子」「松本茄子」は、その代表例でしょう。

このところ金繕いのご依頼を受けた器をご紹介していますが、HP上では
ご依頼を受けていないとしています。
基本的に私が直接存じ上げている方か、間に紹介者がいらっしゃる場合は
金繕いをお受けしております。


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