月別アーカイブ: 2020年5月

信楽焼の思い出

私が金繕いに出会ったのは、窯元めぐりがきっかけでした。
購入してきた陶磁器を日常に使ううちに欠けたり割れたりします。
何とかそれを直したいと思ったのが、金繕いとの出会いとなりました。

その窯元めぐりのスタートは信楽焼だったのです。

当時の私は勉強不足で信楽焼といえば自然釉だと思っていました。
ある窯元で何気なくそのように話していたところを咎められました。
「信楽焼とはどんなものなのか勉強してきましたか。」
作務衣を着た初老の男性でした。

あとでその男性は伝統工芸士の方だと判明しましたが、なぜ咎められた
のかわからず、とても困惑した気持ちは忘れることが出来ません。

先クールの朝ドラ「スカーレット」をご覧になったでしょうか。
信楽は大変良質の陶土を産出し、それが様々な表現を可能にします。
自然釉は廃れていたのを「スカーレット」のモデルになった陶芸家の方が
復興したので、現代の私たちも気軽に手に取ることが出来るのです。

その後の窯元めぐりでは事前にしっかり勉強し、出かけたことは言う
までもありません。
そういう意味で信楽焼は私にとって大切な窯元です。


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作品完成しました

生徒さんから譲り受けた器の金繕いが完成しました。
かなりバラバラに割れた小皿でした。
細かく欠損した部分もありました。


のりうるしで接着し、欠損を埋めた後、金泥で仕上げを行いました。
複雑な割れなので、仕上げの手順は工夫しています。
また仕上げてみて、欠損が埋まっていなかったところが判明したので
再度埋めなおしてから仕上げし直しています。

割れ方というのは本当に面白いと思いますが、この小皿も典型例です。
綺麗に左右対象で、末広がりの八の字のようです。

金繕いとは預かり品のみだと思っていた友人から、なぜ作品展が開けるのかと
問われたことがあります。
もちろん私もお預かり品の金繕いをしておりますが、常に自分の作品を
制作するようにしています。

この小皿も画像の他、何らかの展示で活躍してくれる予定です。


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持ち運び用ブラシホルダー

以前に作った持ち運びホルダーが傷んでしまったので、このSTAY
HOME期間を利用して、新たに作り直しました。


穂先を痛めたくない細筆5本のみ収納。
ゴム紐で巻いてボタンで止める式です。

筆はカラーダンボールの溝にはまり、ゴム紐で押さえてあるので動きません。
蓋も付いているのでキャップが抜け落ちる心配もなしです。

外側の合成皮革からカラーダンボール、ボタンは100均で購入したもので、
マジックテープとゴム紐だけは手芸店で入手しました。

コンパクトに作ってあるのは、カッターなどの道具と一緒に同じ道具箱に
入れたいからです。
これで忘れ物もしないという一石二鳥のブラシホルダーです。


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STAY HOME中の完成品

藤那海工房 西登戸教室のIさんが完成品の画像を送って下さいました
ので、ご紹介したいと思います。
鳥脚〜半分に割れた織部風の大鉢です。

器の形、柄に対して割れの線が絶妙にいい位置で入っています。
Iさんは作業が丁寧な方なので欠損の埋め方はもちろん、仕上げの仕方も
とても綺麗に完成しています。

STAY  HOMEで時間はあっても、なかなか金繕いが手につかないという方が
多いと思います。
定期的に教室がないと、どうしても先延ばしにしてしまうものです。
でもIさんの作品を見て頂ければ、ヤル気が起きてくるのではないでしょうか?

もしご不明の点があればメールでのお問い合わせにお答えしています。
画像を添付して頂ければ、さらにご説明がしやすいかと思いますので、合わせて
お送り下さい。

 


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器の撮影

金繕いご依頼品はもちろん、作品として制作する器の修復前と後の
画像を撮影しておくようにしています。
その際、問題になるのが光沢です。
釉薬がかかっている器は、どんなに工夫しても光ってしまう部分があり
ました。

撮影に詳しい生徒さんにお伺いしたところ、お使いになっていたのが
「ドームスタジオ」という傘のような仕組みで囲いが出来る機材でした。

半透明のドーム状の膜で外光が柔らかく拡散し、照りが出ません。

こんな感じです。

ネットオークション出品画像を撮影するために、同様の機材がたくさん販売
されています。
コンパクトに四角く折りたためる物とか、ご自身のニーズで選択肢は様々
あります。
価格も数千円程度とさほど高くありません。

機材を使うかどうかはさておき金繕いbeforeを撮影しておくと、どこまで削り
込むのか確認が出来ます。
スマホでも構わないかと思いますので、記録として撮影はオススメしたいと
思います。


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嬉しいお届け物

手作りの食品の他、とりどりの野菜を頂きました。

自粛期間から緊急事態宣言期間は既に1ヶ月以上。
買い求める品はワンパターン、献立はネタ切れになり、今後どうする!?
状態でした。

思えば東日本大震災直後、スーパーから食材が消えた期間も頂き物で
凌いだのでした。

この食材をどう活用しようと考えるだけで楽しくなります。
ありがとうございました!


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オンライン教室 試してみた

緊急事態宣言の折、オンラインで様々なことを代用している方が多いと
思います。
私も藤那海工房の生徒さん達にお願いして、オンラインの教室を試してみました。

使ったのはiPhoneやiPadなどアップル製品に標準搭載されているFaceTimeという
複数人でも可能な無料ビデオ通話アプリです。

かなり楽しかったのと、意外に画像で器の状態が確認できるというのは大きな収穫
でした。
ただこれは生徒さん達がかなりご経験のある方達であること、それぞれの器が初見
ではないことが条件にあるように思います。

これで全てが解決するとは言えませんが、質問に対して会話ですぐ回答が得られる
というのは魅力です。
試行錯誤にお付き合いして下さる方はお申し出下さい。


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カトラリーの塗り直し

先日アップしました本漆での塗り直しについて、ご説明したいと思います。
木製のカトラリーは大抵、ウレタン塗装という樹脂系の塗装で木部をカバー
しています。
これが使用によって剥がれてきて、見た目を損なうばかりか木部を痛める
原因になります。

塗り直しをする場合は残存するウレタン塗装を紙ヤスリで除去して、本漆を
塗り直していきます。
紙ヤスリは200番台から始め、出来れば600〜800番くらいまで使い、大きな
傷を残さない状態にしておきます。


塗り直しの初めに気になるのが、ひときわ色が濃くなる部分が出ることです。
これはウレタン塗装が使用でしっかり剥げてしまっていた部分に起こります。
それはより漆が染み込んでしまうからです。

あまり気にならないという方もおられるかもしれませんが、気になる場合は
色が濃くなってしまった部分を紙ヤスリで落としながら塗り直しの作業を
進めます。

2〜3回塗ったら紙ヤスリをかけて調整することを繰り返していると、全体が
同じような色味になってきます。

全体の塗り重ねは最低5回は必要と考えています。
塗り重ねる程、色は濃くなりますので(艶ありのものだと艶も出る)あとは
好みで調整されると良いのではないでしょうか。


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こんなふうに使います

先日、リサイクル材料で治具を作った話をアップしました。
実際どんなふうに使っているのか、ご覧頂きたいと思います。

本漆で拭き漆の塗り直しをしている箸とスプーンです。
長辺側の材が少し高くなっているので、滑り落ちたりしないのが良いところ。
また室の中の湿度も通りやすいのも重要なポイントです。

器の場合です。
縁、高台部分に破損がある場合、表と裏の作業が同時進行で出来るようになり
ます。
いずれにしろ1点1点管理が出来るのが便利だと思っています。

こんな工夫をしているという方がおられましたら情報をお寄せ下さい。
ブログでご紹介させて頂きたいと思います。


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