日別アーカイブ: 2021年5月28日

ふぐ印の「新うるし」ではないもの

先日、HPのコンタクトからご質問を頂きました。
拙著「金繕いの本」の内容に従い、萩焼のお茶碗に入ったにゅうのひび止め
をしたが、黒い筋になってしまった。これは何故かというものです。
詳しく記載して下さった作業の内容を精査したところ、気になったのが拙著
でご紹介した「新うるし」ではなく、「うらしま印・高級うるし 透明」を
お使いになったという点です。


画像手前が「新うるし」、奥が「うらしま印」

新うるしまたは工芸うるしと言われるものは本漆に対する総称で、各
メーカーで内容物はそれぞれ違います。
漆を元来の手法以外で精製したもの、漆以外の植物性樹脂、ナフサン系の
石油由来のものなどあるようです。
このことから両者は基本的な素性が全く違うものだと考えられます。

何の工芸でも同様かと思いますが、使う素材が違えば結果も違います。
料理に例えれば同じ小麦粉でも強力粉でと説明されているものを薄力粉で
作れば求めているものと違うものが出来てしまうようなものです。

つまりお問い合わせの黒い筋が出来てしまったというのは、お使いになった
「うらしま印・高級うるし 透明」での結果と存じます。

ご質問を頂いた方には拙著をお求め頂き、ご自身の大切な器の修復にチャレンジ
して下さったこと、大変感謝しております。
文末に金泥での仕上げにチャレンジするとありました。
ご満足のいく結果が得られていることを切に願っております。


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