吉野紙と美吉野紙

このところ「吉野紙」と「美吉野紙」の違いについて、ご質問が
続きましたので、改めてご説明したいと思います。

吉野紙です。
楮を原料とする和紙で、現在は奈良県吉野町の昆布さんただ1軒のみが
生産者となっています。

古来、漆の濾し紙として使われてきましたが、丁寧な塵取り作業で得られる
柔らかい紙質で宮中の女官から「やわやわ」と呼ばれ懐紙としても
使われていました。

金繕いの教室では粘り強い繊維を生かして補強に使っています。

美吉野紙(みよしのかみ)です。
素材はレーヨンなどの化学繊維です。
吉野紙に比べて安価なので、漆漉しにはこちらが使われることがほとんどです。

用途をご理解頂いたところで、入手先です。
吉野紙は和紙になりますので、和紙店で取り扱いがあります。
私は日本橋の小津和紙さんで購入していますが、榛原さんでも取り扱いがあると
聞いています。
大きさは半紙を長くした感じで、だいたい1枚¥400程度と高価です。

一方、美吉野紙は漆材料になりますので、専門店での取り扱いになります。
日本全国にある漆材料店で必ず入手出来ますが、100枚〜50枚と個人では使い
切れない数がセットされていますので、数人でシェアして購入されるのが
いいかと思います。

私の知る限り10枚単位での販売があるのが藤井漆工芸さんです。
東急ハンズにも卸しておられるので、お出かけになれる方はこちらでの購入が
便利かと思います。

ネーミングの妙と言いますか、「美」の1文字で全く違うものになります。
見た目も見分けられないという方もおられるくらいです。
用途が違い、購入先も違いますので、是非ご理解頂きたいと考えています。

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