カテゴリー別アーカイブ: 日常の風景
粋な贈り物
何とも粋な贈り物を頂戴しました。
自由学園明日館の食堂椅子のミニチュアです。
自由学園明日館といえば拙著のグラビア撮影をした場所であり、出版記念
パーティーを開いた場所でもあります。
食堂の椅子はフランク・ロイド・ライトの弟子である遠藤新のデザインです。
スリットにはまった赤いパーツが印象的ですが、これは安く手に入る規格材を
使うための工夫です。
インテリアデザインを勉強した私にとって、椅子は必須アイテムと言えます。
これらを総合してミニチュアをプレゼントして下さるなんて、本当に粋な
計らいです。
早速、作業部屋に飾りました。
本当にありがとうございました!
コクリコ坂から 聖地巡礼?
昨日は港の見える丘公園の方からイタリア山庭園まで、横浜
山手西洋館の「世界のクリスマス」イベントを見学しました。
その後、イタリア山庭園を下ったところから「裏元町」と
言われる通りを通って元町・中華街駅まで歩いたのですが、
これがジブリ映画の「コクリコ坂から」の聖地巡礼みたいに
なったので、これもレポートします。
まずは「zaim cafe annex 」です。
こちらはギャラリーやパーティーなどのためのレンタルスペース
として運営されているところです。
大正末期建築の民家をリノベーションして、内部は無国籍な空間に
一新。
イタリア山庭園からしか見えないので、ちょっとした隠れ家風に
なっています。
「コクリコ坂」では建物のアイディアソースになったようで、
パンフレットの最初の見開きに屋根飾りが酷似した館が描かれています。
こちらは元町厳島神社です。
主人公・海の通学路に鳥居が出てきますが、この元町厳島神社が
モデルだと思われます。
実際は裏元町にありますので、山の上にある学校に通う海がこの
鳥居の前を通ることはないはずです。
しかし西洋館と神社の鳥居という取り合わせが、西洋と日本の
文化が出会う場所だった横浜らしさを出しているように思いました。
横浜は私が生まれた場所です。
元町はすっかり綺麗な街になってしまいましたが、面影が残る
ところに懐かしさを感じてきました。
グリーンダウンプロジェクト
ダウンジャケットの表地が切れてしまい、洋服としてのリサイクル
には出せない状態でどうしたものかと思っていたところ、テレビで
「グリーンダウンプロジェクト」のことを知りました。
グリーンダウンプロジェクトとは、羽毛循環サイクルを目指した活動です。
回収されたダウンは洗浄され、乳児が使えるくらい清潔に蘇ります。
その結果、二酸化炭素の排出も抑えることが出来る、羽毛の安定供給に
役立つなどのメリットがあります。
回収に出すのには、いくつか条件があるので、あらかじめ確認する
必要があると思います。
私の場合、近隣のアパレルメーカーの回収箱を利用しました。
買い物ついでに出かけたので、負担もなしです。
ご興味のある方は是非オフィシャルサイトをご確認下さい。
卒業大学について
日本ヴォーグ社の「手づくり手帖 初冬号」を始め、このところの
取材で金繕いに辿り着くまでの経緯をお話ししたので、卒業大学に
ついて問われることが多くなりました。
というのもいずれも大学名を記してないからです。
これは原一菜先生からのアドバイスを受け、明記しないと決めて
行っていることです。
決して卒業大学が名前を明かせないような学校ではありませんし、
ましてや経歴詐称でもありません(笑)。
ですので直接問われれば、正直にお話ししています。
ただ話だけではと疑義がある方には、証明する文書をお出し致します。
ご遠慮なく、お申し付け下さい。
梱包材で一工夫
薄め液を筆洗い用に別の瓶に分けて頂いていますが、これが
道具入れの中で倒れて金・銀泥の包みに浸透してしまうという
「事故」が起きることがあります。
浸透してしまうと金・銀泥は固まってしまい、使えなくなって
しまいます。
10月から受講を初められた方が、この「事故」を避けるとても
良い工夫をされていました。
ちょうど小分けした瓶がすっぽり入る穴が空いた梱包材を利用して
瓶が倒れないようなケースを作られていたのです。
空いた空間がある道具箱だと、どうしても瓶の転倒が心配になりますが、
これがあれば安心です。
このような工夫をして「事故」を防いで頂けたらと思います。
ところでもし金・銀泥に筆を洗って新うるしを含んだ薄め液が浸透して
しまった場合、洗って復活させる方法があります。
ある程度の損失が出ますが、洗う過程で粒が揃うということもあります。
ただ時間がかかります。
また私の方では説明するに止まりますので、ご自身で作業をして頂く
ことになります。
この点を考えますと、やはり「事故」には合わない方が良いかと思います。
漆塗り椀 塗り直しに出してみた
日常使いしている漆塗りのお椀が、購入後15年して痛みが
気になる状態になりました。
水を入れたまま放置してしまったりしたので、致し方ない
痛みです。
金繕いの教室を受講して下さっている方々から漆塗りの器の塗り直しに
困ったというお話をよく聞いていたので、お試しがてら塗り直しに
出してみました。
困ったという理由は、受け付けてくれるところがないというのと、塗り直しの
代金がとても高いというお悩みに集約されます。
私のお椀の場合、塗り直しに応じてくれる浄法寺塗りの滴生舎とわかって
いたので滴生舎に問い合わせしました。
元々高価なお椀ではないのですが、往復の送料と塗り直し代合計が新しく
購入するより安価に済む代金でした。
結果はこの通り、新品のようです。
浄法寺塗りは仕上げの磨きをしていないので、しっとりとした落ち着いた
質感をしています。
これが使っていると透明感のある艶や輝きが出るので、自分のお椀を
育てたと感じます。
ご存知の方も多いと思いますが、浄法寺は国内最大の漆の生産地でも
あります。
国内で使用されている漆のうち、国産はわずか2%で、その内の約7割が
浄法寺とその周辺地域で採られる「浄法寺漆」です。
そのクオリティーの高さから、日本最高峰と称されます。
今回塗り直しを依頼したのは、浄法寺漆と製作者の岩館隆さんに敬意を
表したところがあります。
15年間育てたお椀がリセットしてしまったのですが、また育てる楽しみが
出来ました。
幸せ感じる おむすび
度々ご紹介していますが、知人の大倉千枝子さんがやっている
おむすびのお店「おむすび まるさんかく」に久しぶりに行きました。
ランチメニューです。
メインのおむすびとイワシの梅煮他、野菜のおかずがいろいろです。
こだわり抜いた食材で作られた品々は体に優しい味で、本当に
食べると幸せを感じます。
お弁当箱の左端に入っているエノキダケは、店前で天日干しにして作られた
ものです。
天日に干すことによって滋味が深まるそうです。
私が器を好きになったのも大倉さんの影響大なのです。
美味しいお食事と一緒に器も楽しめるお店に、是非お出かけ下さい。
その際には予約をオススメします。
粉鎮 ボトル型
可愛いボトル型の箸置きを粉鎮代わりにされている方が
おられたので、撮影させて頂きました。
リサイクルガラス風なところが、また可愛いです。
金泥・銀泥の包みを押さえるものは、お待ちになった方がいいです。
箸置きは大きさ、重さ、価格共に丁度いいものが見つかりやすいので、
オススメです。
ご自身のテンションが上がるものを、お使い下さい。
一足先に
先日予告しました「手づくり手帖 初冬号」が一足先に
手元に届きました。
掲載されているのは〝手の人〟という作家のものづくりへの想いや、
創作のポリシーをインタビューしたコーナーです。
前半は私が金繕いに辿りつくまでの道のりが書かれており、後半は
金繕いの魅力について解説して下さっています。
道のりについては出版後かなりご質問を頂いたのですが、原先生からの
アドバイスもあって、あまり詳しくお話していませんでした。
それを今回の記事で思い切ってお話しています。
また金繕いの魅力についても、とてもわかりやすく書いて下さって
います。
このあたりは手仕事の雑誌の編集者さんならではの、鋭い視点なのでは
ないかと思います。
さらに作品画像もとても綺麗です。
それぞれの作品で、良いところを上手く引き出されています。
掲載された作品は拙著に収録されていないものばかりなので、拙著を
お求めになった方でも楽しんで見て頂けると思います。
書店でお求めになれますが、私の手元にもお譲り出来る部数を用意して
います。
あまり多くはありませんので、ご希望の方はお早めにお申し付け下さい。
※おかげさまで私の手元にあるものは完売致しました。
購入をご希望の方は、お手数ですが書店等でお求め下さい。(11/24)
「金繕いの本」が出来るまで 11
前回、校正の話をアップしました。
その直前まで悩んだのが、サブタイトルです。
タイトルの「金繕いの本」というのはブックデザイナーの平野さんの
提案で、企画がスタートしてすぐに決まりました。
シンプルな言葉の方がわかりやすくて良いという説明に、監修の原一菜先生
共々納得したからです。
しかしこれには販売上、問題がなかったとは言えません。
それは現在、陶磁器の修復というと圧倒的に「金継ぎ」と称する方が
ポピュラーになってしまっていたからです。
そこで内容を表すサブタイトルの重要性が強まりました。
最初の案が、
必ずできる成功の実例集
はじめてから本漆、ガラスなどの応用テクニックまで
はじめてから応用技術まで、これ1冊でわかる
でした。
今、読んでもカタイですね。
次に出たのが、
この1冊で応用までできる
はじめてでも必ずできる
割れた器がよみがえる
まだまだ内容を具体的に表そうとしています。
最後に提案したのが、
はじめてでも上手にできる
はじめての方から、しっかり学びたい方まで
うつわを直したいと思ったら
愛着あるうつわを蘇らせる
大切な器を蘇らせる
慈しんで直す大切な器
少し最終案の片鱗が出てきました。
決定した「大切なうつわを直したい」は、Y編集長の決断です。
私のあとがきの冒頭の文を読んで、これだ!と思ったそうです。
金繕いをやってみたいと思うきっかけは、これではないかと。
シンプルかつダイレクトに訴える文が一番力があるというのが、
Y編集長の考えです。
この考えは本当に的を射ていて、このところ受けた取材でも
このサブタイトルを流用されています。
それはこの言葉が印象的で力強いからではないでしょうか?
私もこのサブタイトルがとても気に入っています。
素直な気持ちが表現されているのはもちろんですが、自分が
忘れてはいけない原点を示してくれているように思うからです。














