カテゴリー別アーカイブ: 日常の風景
東洋陶器ふたたび
NHK学園市川オープンスクールのSさんがお持ちになった大鉢が
先日ご紹介した東洋陶器の器でした。
調べてみたところ、このロゴは昭和37年から44年に使われていたもの
ということで、この大鉢もそのくらいの年代のものということになり
ます。
「Asuka」というのは、シリーズ名で様々な形があった様子。
画像ではきちんと写っていないのですが、北欧デザイン風の鳥が
描かれています。
今回ご紹介しましたSさんの器も、先般ご紹介しましたカップも、
非常にコンディションがいいのには驚きです。
九州•小倉にTOTOミュージアムがありますが、そちらに食器が
たくさん展示されているそうです。
ご興味のある方は是非足を運ばれてみて下さい。
現場復帰
知人の「おむすびまるさんかく」の店主から預かっていた銀彩の
お皿の金繕いがようやく完成し、納入してきました。
画像手前にあるのが金繕いさせてもらったお皿で、奥にあるのが
お店で使われ続けていた同じお皿です。
大きく鳥脚型にひびが入っていたのですが、裂け目が大きい部分だけ
仕上げをし、他のところは目立たないようにしました。
このお皿は店主が25年前に購入したそうで、購入当初はまばゆい
ばかりに銀色が光っていたそうです。
店主は素地の焼締を見て、銀彩が硫化した状態との相性がいいに違いない
と読んでいたと言いますから、さすがとしか言いようがありません。
これにはお皿を作った作家さんも喜ばれることでしょう。
銀彩は金繕いをする際には繊細で、難しいところがあります。
今回はしっかりと銀彩が制作されていたおかげで助けられました。
いろいろ悩んで試行錯誤した金繕いとなりましたが、いい勉強を
させてもらいました。
今後の指針となってくれると思います。
新しいタイプの筆入れ
セブンカルチャークラブ成田のIさん自作の筆入れをご紹介致し
ます。
何と元になった材料は、ランチョンマットなのだそうです。
中の仕切りは、サインペンのセットが入っていたケースを流用されて
います。
市販の筆巻きだと筆が抜け出てしまうのが難点ですが、ケースを
分解して、その問題点も解消されています。
今までご紹介しました自作の筆入れは布を縫った物が大半でしたが、
Iさんの物は「縫わない」筆入れとして、新しいタイプです。
お裁縫は苦手という方には、とても参考になるかと思います。
ところでケースに入っている黄緑色の毛の筆は、削りカスを払う用の
筆なのだそうです。
こちらもいいアイディアですね。
3 3 3 …
宅急便で届いた荷物に入っていた緩衝材です。
材質は発砲スチロールなのですが、形がどうしても数字の「3」に
見えます。
この形が絶妙にいろいろな方向に変形して、どんなところに入れても
いい具合にクッションになってくれるのです。
この形を思いついた人は素晴らしい!と一人感動しておりました。
ポット ようやく完成
かなり長いことお預かりしていたティーポットの金繕いが
完成しました。
横断している線は、ズレが生じているくらい深刻なヒビでした。
かろうじて注ぎ口のところで繋がっているような状態だったのです。
加えて縁の部分は小さな破片が割れ、欠損も深くありました。
ティーポットの場合、熱いお茶が入るので、その水圧にも耐えられる
ように直さないと、大変危険です。
ですので内側に補強をして、お茶をその補強で受け止めるようにして、
ポット本体には水圧がかからないようにしてあります。
この補強の作業に時間がかかったこと、仕上げをしようとしたら
下地の状態が気になって、さらに作業をしてしまったことで時間が
かかりました。
仕上げは銀泥ですが、硫化が進むとマット黒釉に馴染むと思います。
それまではちょっとした景色になっている仕上げの線を楽しんで
もらえればと思っています。
東洋陶器
NHK文化センター千葉教室のWさんが、貴重な器をお持ちに
なったので、ご紹介致します。
下の画像にあるように、東洋陶器会社(現•TOTO)のカップです。
洋食器に詳しい方はご存知と思いますが、衛生陶器メーカーの
TOTOは、会社の黎明期に洋食器を生産していました。
同族会社のノリタケが「オールドノリタケ」と評価を得ているように、
東洋陶器の食器も評価を受けています。
Wさんは何でもないところで、このカップを入手されました。
欠けがあるというので、破格の値段だったそうです。
でもこれはWさんが東洋陶器に関して、知識があったからなのです。
磁器の美しさと柄のモダンさに注目されたのも当然のことです。
欠けを直して、薄くなってしまった縁の金彩を戻す予定です。
Wさんの完成をイメージして、わくわくされているご様子に
私もご指導するのが楽しみです。
雄雌の違い
先日ご紹介しましたコリンスキーの面相筆を購入してきて
頂きました。
右の穂先が長い方が、雄。
左の穂先が短い方が、雌。
なのだそうです。
コリンスキーは、尾から筆用の毛を取ると聞いていますので、
雌雄の差は尾の毛の長さの違いということになるかと思います。
面相筆ではありますが、かな書に使ってみる予定です。
トクサの植え替え2016
鉢に根が一杯になってしまったので、縁あたりにしか新芽が
出なくなっていたトクサを植え替えました。
スコップを鉢の縁に沿って入れただけで、すっぽりと株が
抜けました。
根が一杯なのがわかります。
これを園芸ハサミで切り分けて、昨年藍を育てていたプランターに
植え替えました。
かなりダイナミックな方法ですが、トクサ自体は丈夫な植物
なので、数週間で落ち着くと思います。
新しい新芽が出れば大丈夫と見ています。
広くなった環境で良い芽が育つのを期待しています。
自作のシール
金繕いの講座を受講の方にはおなじみになっている自作の
シールです。
欠損位置を示すのに使っています。
元々の姿は上の画像左に写っている電気工事用の「絶縁テープ」です。
これをハサミで三角形に切って、塩ビ板に貼って準備しています。
画像右に写っているのは軽包装用のバッグシーリングテープです。
スーパーなどで野菜が入ったビニール袋の口を縛るのに使われています。
こちらは絶縁テープより耐水性がありますので、洗ったり漂白しても
しっかりくっついています。
ただ入手経路が限られるのと、硬い質なのでマスキングテープ変わりに
使うのには扱いにくいかもしれません。
ですので100円ショップでも手に入る絶縁テープでも十分かと思います。
最初の画像に見えるように自分で切ったテープを行儀よく貼っています。
一見綺麗に見えるので、市販されているのですか?と聞かれることも
多いのですが、類似したものでも市販されているものはありません。
これをご覧になるだけだと、さぞかし私は几帳面な性格なのだろうと
思われるかもしれませんが、出来るだけ効率よくたくさん貼れるように
しているだけで、性格は反映されてはいないと思います。
受講を始められたばかりの方は、慌てて準備なさる必要はありませんが、
あれば便利なので、覚えておいて頂ければよろしいかと思います。
難しい質問
今月から受講を始められた方から、難しい質問がありました。
受講することによって一人で直せるようになるのか、という
ものです。
講座のカリキュラムは1年で組んでおりますが、それを学んで
頂く事でご自身で金繕いが出来るようになると考えています。
ご自身の器を直しながら、他の受講者の方の金繕いの様子を見て、
技術の幅を広げられるところも大きな魅力かと思います。
基本の技術が身に付けば、新しい器も応用して直していける
のですが、難しいのは同じ破損をしている器はないということ
なのです。
カリキュラムを消化しても継続して講座に通って下さる方は、
講師がいることによって安心感もあるかもしれませんし、続けられる
ということもあるかもしれません。
冒頭の質問に対する回答は「はい」とお答えしましたが、何とも
難しいご質問と言えます。
講師としての気構えは、お一人で直せるようになることを目指して
お教えしておりますので、ご受講続けて頂けたら嬉しいです。
















