カテゴリー別アーカイブ: 貝合わせ

ホンビノス貝 食してみた

以前のブログで、貝合せのカリキュラムではホンビノス貝の
使用はご遠慮頂きたいとご説明しました。

ホンビノス貝はハマグリと同種ではありますが、北米原産で
船舶のバラスト水に混ざって日本に定着してしまったものです。

これが「シロハマグリ」とか、「大ハマグリ」などと称されて
販売されていることがあり、購入されてしまう方がおられます。

しかし日本人が古来より馴染んで来たハマグリで貝合せを
制作して頂くことが日本文化に触れることにもなりますので、
ハマグリで制作をお願いしたいと考えております。

とはいうものの、ホンビノス貝は食すとハマグリに似た味と
いうので、食べてみることにしました。

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ホンビノス貝にはハマグリのように柄はなく、一律白で、深い筋が
入っています。

最初はハマグリと食べ比べる為にお吸い物にするつもりでしたが、
どうしてもこの筋に入った汚れのようなものが気になり、また
酒蒸しにしてしまいました。

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今回はオリーブオイル&醤油の和洋折衷味です。

実際食べてみて、確かにハマグリに近似した味だとわかりました。
10個で360円でしたので、価格も手頃だと思います。
料理をするならば、十分楽しめるのではないでしょうか。

しかし工芸品を制作するのには、外観の美しさにおいてハマグリに
勝てるものではありません。
やはり貝合せには、ハマグリをお使いになるのをオススメ致します。


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貝磨きにクエン酸は駄目

カリキュラムの中の「貝合せ」には、ご自分で磨いて頂いた
ハマグリ貝を使って頂いています。
その磨き方は教室で説明する通りに行って頂きたいのですが、
ある教室の方が、お教えしていない方法で磨こうとなさいました。
それはクエン酸を使うというものです。
その結果が下の画像です。

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光沢が全くありません。
まるで何年も海で洗われたかのような感じです。
ご本人のお話ですと、クエン酸をかけると泡が出たそうです。

貝がらの主成分は炭酸カルシュウムとタンパク質です。
かたやクエン酸は、ナチュラルクリーニングでソフトなイメージが
ありますが、あくまでも酸なので貝がらを溶かすのです。

確かにクエン酸は、水あか、鏡のうろこ汚れに効きますが、ハマグリの
白い膜をこれとイコールと考えてはなりません。

講師は、研鑽の結果得られた「最短にして最良の方法」をお教えするのが
仕事だと思っております。
その為、一般的に言われる方法であっても、検証の結果、何らかのリスク
がある方法は排除しています。
この検証は、受講生の方がすぐ思いつくような方法は全て試してあるという
くらい蓄積があるものです。

お教えしないということは、承知していないからではなく、失敗しやすく、
かつリカバリーが極めて困難になるからだとお考え下さい。

画像でご紹介しました貝は、どのような方法をとっても永続して美しい
光沢がつくことはありません。
どうぞこれを教訓に、お教えしている方法で磨くようお願い致します。


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自作ミニ箔ハサミ量産完了

先日自作のミニ箔ハサミを試作した話題をアップしましたが、
量産が完了しました。

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根元を和紙で巻いて補強してあるところが、手作り感にあふれています。
しかし使い心地は、保障致します。

さてこれだけアップにしますと、何を使って作ったかおわかりになった
のではないでしょうか?

道具に関しては、専門家が使う高価なものがたくさん販売されていますが、
初心者のうちは安価なもので代用することをお勧めしております。
完成度を高めたくなったら、必要に応じて買い求めて頂いています。

教室で他の方が求められるのを見て一緒に購入してしまったが、あとで
見たら何のために購入したのかわからないという方もおられます。

形から入るタイプの私が言うのも何なのですが、自分の状態や必要に
合わせて購入した方が、道具の意味や価値がわかるように思います。

どうぞ焦らず道具は揃えていって下さい。


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箔切り三昧

貝香合の講座準備の一つで、金•銀箔切りを行いました。

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箔を切るのには、竹製の箔刀と鹿革が張られた箔切り台を使います。

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これは特別に購入しないとなりませんし、慣れないと難しいので、
初心者が扱うにはハードルが高いと思います。

今回短期講座で大量に必要なので、合わせてこの特別な道具がなくても
出来る方法を模索しています。
料紙作りの専門書などに初心者でも簡単に出来る方法として出ている
ものがありますが、それを実際試しつつ検討しています。

よい結論が出ましたら、教室でご質問があった場合にお話したいと思います。


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貝桶柄の打掛

京都国立博物館に収蔵されている貝桶柄の打掛をご紹介致します。

打掛全体
打掛部分

江戸時代(18世紀) 「浅葱綸子地貝桶文様」

浅葱色の地に友禅染めと刺繍で、貝桶と蛤の柄が入っています。
それぞれの蛤、貝桶が変化に富んだ表現がされており、その丁寧な
仕事振りに、この打掛に込められた願いが見えるようです。

貝合せは、遊びとして発祥しましたが、蛤が他の貝とは決して対にならない
ことから江戸時代には嫁入り道具の筆頭になりました。
転じて貝桶は吉祥文様として入れられているのです。

金繕いのカリキュラムでは、金箔のあしらいの練習として貝合せの
制作を入れています。
その際、蛤のご用意をお願いしています。
これに対してアサリでは駄目か?ホンビノス貝では駄目か?という
質問が多くあります。

このような歴史をご理解頂ければ、蛤でなければならないとご理解
頂けると思います。
まずは蛤で制作頂き、その後お好みの貝でチャレンジして下さい。


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皿貝磨き

このゴールデンウィークは、貝合せの講座の準備に費やしています。
まずは皿貝を磨いてみました。

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皿貝には、アラスジサラガイ、ベニサラガイ、サラガイの3種類があり、
市場にはどれも皿貝として入荷されます。
皿貝は白貝とも呼ばれ、美しい曲線を描く白い外観と、鮮やかな色の
内側がさくら貝を彷彿とさせます。

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内側の色は、かなり個体差があります。
自然の貝なので当然ですが、これを作品にすれば他にないオリジナルの
ものが出来ることになります。

TOPページの新着情報に入れましたが、この皿貝を使った講座を港北
カルチャーセンターと、よみうりカルチャー川口で計画しています。
ご興味を持たれましたら、講座へのご参加をご検討下さいませ。


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自作ミニ箔ハサミ

先日ブログでご案内しました港北カルチャーセンターでの
「自然の貝で貝香合作り」ですが、少しずつ準備を進めています。
今回の講座では切箔や野毛を扱って頂きますが、その際にミニ
箔ハサミが必要なので、自作しています。

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画像左が自作の品で、右が市販品の先を自分でカスタマイズした
ものです。
ポイントは材料が竹は竹でも家庭用品を使って作っているところです。

試しに一つ作って使ってみましたが、使い心地はなかなか快適です。
すでに必要分材料は揃えたので、あとは組み立てるだけ。
講座初日には間に合いそうです。

自分で作ってみて、どういう状態が箔ハサミとして必要なのかわかって、
思わぬ勉強になりました。
ちなみに非売品です(笑)。


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自然の貝で貝香合作り

港北カルチャーセンターで、貝香合作りの短期講座を行います。
皿貝、はまぐり、ヒオウギガイの3種を、パール粉や金銀箔で
装飾したものです。

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完成した作品は、絵を描いて貝合せに仕立てる他、食器としても
使えるので、珍味入れやわさびをのせたり、ティーバックトレー
としても使えます。
またアクセサリトレーとしてもいいかと思います。

美しいものを生活に取り入れる…そのように楽しんで頂ける講座を
考えております。
ご検討、よろしくお願い致します。

講座日:6/6(土)、7/4(土)、8/1(土) 全3回
時間 :15:30〜17:30


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皿貝を食す

皿貝を入手しました。

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皿貝は白貝とも呼ばれ、マルスダレガイ目ニッコウガイ科の2枚貝です。
市場にはアラスジサラガイ、ベニザラガイ、サラガイの3種が入りますが、
全て皿貝として扱われます。

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貝を使いたいので、この道具を使って貝柱を切り、むき身にしました。

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今回はワイン蒸しにしてみました。
クセのない淡白で、上品な味です。
なので色々な調理法が楽しめそうです。

表は白い皿貝ですが、内側が美しいピンクをしています。
現在、この貝で講座の企画が複数進行中です。
お知らせ出来る状況になりましたら、ブログにアップします。


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ハマグリ貝 キズ隠し

近年のハマグリ貝は、金属製の熊手のようなジョレンという道具を
船で引いて海底をさらうという採り方で、キズがついていることが
多いとお知らせしてきました。

このキズを貝の歴史として慈しむのが、貝合せの遊び方としては
よろしいのではないかと思いますが、どうしても辛いという方も
おられます。

NHK学園市川オープンスクールのAさんのなさった方法は、それに
対するひとつの解決策です。

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メキシコ貝の厚貝(ある程度厚みのある貝)を埋め込まれました。
メキシコ貝自体、強い光沢感があるものですので、とても存在感が
あります。

ハマグリ貝を貝合せの遊び道具としてではなく、作品と考えるのであれば、
このような方法の他、対処方法があります。
チャレンジしてみたい方は、教室でご相談下さい。


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