カテゴリー別アーカイブ: 基本のき
目止め 他の手段?
下準備のひとつ、目止めについてお問い合わせがありました。
米の研ぎ汁を使う以外に方法はないか、というものです。
普段無洗米をお使いになっているとか、ご家族数が多くないのでお米を研ぐ
回数が少ない、研ぐ量が少ないなどなど、いろいろご事情があると思います。
しかし残念ながら米の研ぎ汁以外の方法は見つかっていません。
目止めを行わず作業を始めてしまうと、後で取り返しのつかないアクシデント
が発生する場合があります。
ですので何としても行って頂きたい作業なのです。
時間がかかっても構いませんので、必要な効果が出るまで作業を行って
下さい。
どうぞよろしくお願い致します。
難敵!油シミ
器を修復する下準備として、漂白をお願いする場合があります。
大半の方は、ヒビに食べ物の汚れが入り込んでしまっている
状態を解消するために行って頂いています。
この中に難敵がいます。
油シミです。
画像は私が修復をご依頼頂いている器ですが、ヒビが油シミになって
しまっています。
ある方法を3ヶ月以上試みていますが、1mm以上の幅がようやく細く
なってきた程度です。
このように時間はかかっても効果が出るシミばかりではありません。
まったく駄目な場合もあります。
油シミは目立ちにくいので、気がつかず使い続けてしまうことが多い
ですし、破損の程度が深刻に見えない場合もあるかと思います。
しかし器が破損していることには変わりがありません。
なるべく早いうちに手当をすることをオススメ致します。
ドーム状に注意
急須やティーポットの蓋、香合の蓋など高台がなく、ドーム状の
形状になっているものがあります。
これらの接着の場合、全く支えがないパーツが生じることがあります。
その為単に接着してしまうと、硬化を待つ間にズレが生じやすくなります。
これを回避するには、事前に準備が必要です。
あらかじめ教室にお持ちになり、ご相談下さい。
準備についてご説明致します。
金繕いをしていて難しいと思うのは、器ごとに破損の状況が異なるので、
同じような破損に思えても手段が全く異なることがあるということです。
月1回しか講座がありませんので待ちきれないかもしれませんが、
初心者のうちはご面倒でも一度教室にお持ちになり、手順をご確認下さい。
ちょっと待って相談というのが、ご自分の器を効率よく修復するコツかも
しれません。
トクサ 新芽が出ました
桜の満開までもう少しという今日、自宅で育てているトクサが
新芽を出しているのに気がつきました。
12月に根元から切った昨年のものの間から、新芽がでています。
よく質問を頂くのが、切ったものが翌春にまた伸びるのか?ということです。
画像を見てお分かり頂けるかと思いますが、切ってしまったものは再び
伸びることはなく、いずれ枯れてしまいます。
新芽は新しい場所から出て、伸びていくのです。
今年の夏の暑さはまだわかりませんが、鉢の下にすのこを敷くなど
暑さ対策を考えなければと思っております。
(自宅はマンションなので、コンクリートのベランダに鉢植えを
置いています。)
総体漆繕いについて
総体漆繕いとは、何らかの理由で器本体のほとんどを焼失した
場合に、特殊な技術で本来の器の姿に蘇らせることを言います。
これで著名なのが付藻茄子•松本茄子(静嘉堂文庫蔵)という
名物茶入れです。
狭義に繕った箇所を器色に馴染ませて修復することを言う場合も
あります。
あまり修復した箇所を目立たせたくないというご希望から、総体
漆繕いをお考えになる方がおられますが、いくつか注意点があります。
1点目は、器の釉薬に合わせた漆の調合が難しいところです。
色漆は色数に限界がありますので、絵の具のようには混色出来ません。
ですので器色に合わせるのが難しくなります。
そして難しい割に美しく見えにくい場合があります。
金繕いの工程のほとんどが欠損を埋めるという作業に費やされますが、
その最終工程としての仕上げが美しく見えにくいというのは残念です。
であるならば素材色としての金•銀泥で仕上げるのをお勧めしたいと
考えています。
2点目は、格の問題です。
総体漆繕いは「ごまかし」とみなされます。
これは格落ちとなりますので、お茶道具では避けたい問題です。
お茶道具を修復される方は、ご注意下さい。
以上の点を踏まえた上で、総体漆繕いにチャレンジしてみたい方は、
教室でご相談下さい。
ケースバイケースになりますので、修復されたい器に合わせて
お話したいと思います。
直筆と側筆
直筆とは、書いている線の中心を穂先が通っていること。
側筆とは、書いている線の中心から穂先がずれて通っていること。
いずれも書道用語ですが、線を描く時に心がけていると、きれいな
線を描くヒントになります。
側筆になっていると線の両サイドが乱れます。
線の中心を穂先が通るように真っ直ぐ筆を動かせれば、きれいな線が
描ける訳です。
筆の扱いに慣れていない現代人ですので、なかなか難しいことですが、
気にして頂くだけでも効果があるのではないかと思います。
2014年4月期講座募集状況
気温はまだまだ真冬並みですが、日差しに春を感じるように
なりました。
新春に金繕いを始めてみませんか?
TOPページでもお知らせしている通り、4月期の募集が始まって
います。
NHK文化センター柏教室で新規開講する日曜クラスですが、
ご好評を頂き、昨日満席となりました。
お申し込みを頂いた方には厚く御礼申し上げます。
既存の教室で今期募集を行うのは、以下の3クラスのみです。
◯NHK文化センター ユーカリが丘教室
毎月第3月曜日 午前10時〜12時 4/21からスタート
◯よみうりカルチャー 大宮教室
毎月第4月曜日 午後13時〜15時 4/28からスタート
◯よみうりカルチャー 川口教室
毎月第2木曜日 午前10時半〜12時半 4/10からスタート
4月の講座日まで受付可能です。
ご検討よろしくお願い致します。
粉鎮 箸置きで代用
金繕いの講座を受講中の方から、粉鎮の代用品について
よいアイディアが寄せられました。
箸置きで代用が可能というのです。
確かに箸置きであればサイズもちょうどいいですし、材質や
デザインも豊富です。
お好みのものを探してみて下さい。
金泥 金の純度
先日金泥は金ではないのではないか、という質問を受けました。
そもそも金泥とは金箔を微細な粉末にしたもので、金の純度は
元にしている金箔に依ります。
その金箔が金の純度に関して独特の基準がありますので、ご説明したい
と思います。
実は金箔と称してよいとされているのは、純金58.82%以上からなのです。
一般的に銀と銅が混合されており、それらも「純金箔」と言うのです。
なぜ24Kでないものを「純金箔」と言うのか、とても紛らわしいのですが、
理由は定かではありません。
何かの事情から発生したとは思いますが、慣例としか表現出来ません。
ところで教室で教材としてお出ししている金泥は、金の含有率が97.66%
(23.4K)と高純度の一号金を使用しています。
パッケージに「純金泥」と表示されていますが、決して偽装表示では
ありません(笑)。
金色の泥という意味では、金と銀の合金から作られている青金泥、水金泥。
真鍮から作られている本金紛粉、準金泥などがあります。
金の含有率が低いもの、金ではないものについては、名称が違います。
当然これらは金泥とは色味が違いますので、必要に応じてお勧めしています。
銀 硫化中
NHK文化センター ユーカリが丘教室のNさんの作品を
ご紹介致します。
銀の仕上げが、いい色に硫化しています。
ちょうど釉薬の色に馴染んでいるので、ここで硫化を止める作業を
して頂き、縁については濃い色に合うまで硫化を進めることになりました。
このように部分的に硫化の進行度を変えることも可能です。
銀の硫化については、以前のブログに書きましたように様々な原因物質が
あります。
進行させるのに特別な方法はないのですが、箱や梱包材でしまい込んで
しまうのではなく、表に出しておいた方が進むのは確かです。
実は強制的に硫化を進める方法がありますが、自然に硫化するのとは発色に
相違点があります。
また薬品等を使用しますので、手順を教室でよくご確認下さい。











